副業する時は会社の許可が必要?副業の申請方法や注意点を解説

副業や兼業が促進されるようになってきている現在ですが、副業が全面的に解禁されたというわけではなく、副業を許可制としたり条件付きの副業のみが可能となっていたりする場合もあるようです。

副業するときにはなぜ会社の許可が必要になるのでしょうか。この記事では、副業を始める時に許可が必要なのはどんなケースなのかについてや、会社への副業申請の仕方などについて解説します。これから副業を始めようと考えている人はぜひ参考にしてみてください。

副業する時は会社の許可が必要?

副業は、「本業以外から収入を得ること」をいいます。

日本国憲法の第22条で職業選択の自由が示されているように、本来副業するかしないかは個人の自由であり、法律にも副業を禁止しているものはありません。

日本国憲法第22条

  1. 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する
  2. 何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。

参照:衆議院「日本国憲法第22条」

ただ日本は昔から副業禁止の風潮が根強く残っていたことや、本業への影響や長時間労働などの問題があり、会社の就業規則に「副業禁止規定」を設けているケースも多くあります。

2018年の1月にモデル就業規則が改定されたことや、政府から「副業・兼業の促進に関するガイドライン」が作成されたことを皮切りに副業や兼業を解禁する企業が少しずつ増えてきていますが、副業を全面的に解禁しているわけではなく、会社の許可を得て副業を行うというのが一般的のようです。

就業規則で副業禁止とされていない場合でも、副業を始める際は会社への相談や申告が必要な場合が多いでしょう。

副業が禁止されている場合は?

副業が禁止されている場合は、基本的には副業は認められません。ただし、会社によって副業を全面禁止していないというケースや、一部の副業を制限しているというケースなどがあり、副業への対応もそれぞれの会社によってさまざまです。

副業を始めたいと思った場合は、まず会社の就業規則を確認しましょう。副業についての規定がない場合は上司に相談をして、副業が禁止されているかどうかの確認を行うのが良いでしょう。もし副業が禁止されていたとしても、条件付きで副業が認められる場合もあります。

副業が禁止されている理由

法律では副業が禁止されていないにも関わらず、会社で副業を禁止するのはなぜなのでしょうか。主に4つの理由が挙げられます。

本業に支障が出る可能性があるため

副業は本業の後や休日に行う場合が多くなりますが、自分の時間や休息時間などを削って副業をする場合、本業に集中できなくなったり睡眠不足から体調を崩してしまったりすることにもなりかねません。

本業に悪影響を及ぼしてしまう可能性があるという理由から副業が禁止されるケースがあります。

情報漏洩の可能性があるため

副業の中で本業の機密に関わる情報を漏らしてしまう可能性があることから副業を禁止されているケースもあります。

機密情報の漏洩は会社が副業を禁止していなかったとしてもしてはいけない行為です。もしも本業の機密情報を漏洩した場合、故意でなかったとしても懲戒処分に罰せられる可能性があります。

競合会社での副業によって本業に不利益を与える可能性がある

会社によっては本業と競合する会社や同業の会社での副業が禁止されている場合もあります。その理由としては、競合会社で副業することで本業に不利益をもたらす可能性があるからです。

競合会社や同業の会社での副業は、本業での知識やスキルを役立てることができるというメリットもありますが、同時に会社独自の技術を他社に提供してしまうことになってしまいます。

こうした影響を防ぐために、会社によって競合会社での副業が禁止されているケースもあるため事前に確認しておきましょう。

副業内容によって会社のイメージダウンにつながる可能性がある

副業の種類や内容によっては、会社のイメージダウンにつながる可能性が考えられます。社会的な信用を低下させてしまうような副業を行うことは禁止されており、副業が原因で本業に影響を与えた場合は懲戒などの処分を受ける可能性もあります。

労働時間の管理が難しくなるため

労働基準法の第32条では、労働時間の基準を1日8時間、1週間に40時間と定めています。会社側は労働者の労働時間を適切に管理する責務を負っており、法定の労働時間を守るほか、休憩や休日を適切に与えなければならないとされています。

労働基準法第32条(労働時間)

  1. 使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて労働させてはならない。
  2. 使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。

参照:e-Gov法令検索「労働基準法」

一般的な会社員の場合、1日に8時間労働しているため、副業を少しでも行った場合は法定の労働時間を超えてしまうことになります。労働基準法第38条では、働く場所が異なる場合であっても労働時間は通算することとされているため、社員が労働時間の規定を超えて働いていた場合、会社側が罰せられる可能性があります。

労働基準法第38条(時間計算)

労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。

参照:e-Gov法令検索「労働基準法」

副業をする場合、会社側は労働者がどのくらい働いているかを把握・管理することが難しくなります。労働時間の増加は、結果的に本業に悪影響を及ぼしてしまう可能性もあるため、副業が禁止される場合があります。

ただし例外もあり、労働基準法第36条で定められている協定(36協定)を締結することで、法定の労働時間を超えて1ヶ月45時間、1年360時間を上限とする時間外労働が可能になるケースもあります。時間外労働を行うためには、会社側と労働者代表との間での合意が必要です。

副業が認められない可能性はある?

副業が許可制の場合は副業について会社に申告しなければなりませんが、副業の種類や内容によっては認められないケースもあります。副業が認められない場合、上述した副業が禁止されている理由の中で当てはまっている項目がある可能性があります。

副業をしたい目的や理由がある場合は、本業に支障が出てしまうような副業や、競合会社での副業、また社会的な信用を低下させてしまうような副業を避けて選ぶようにしましょう。

許可を得なくてもできる副業はある?

会社で副業が禁止されている場合は基本的には副業することはできません。しかし、副業ではない方法で本業以外の収入を得ることは可能です。

一般的に副業と認識されているようなものでも副業にはあたらないという場合もあるため、自分のしようとしている副業が事業にあたるのかどうか一度確認してみましょう。

株式などの投資

株式やFXなどの投資は「資産運用」とされていて、自分の資産である株式を売却して差額益を得るという行為にあたるため、本来副業には該当しません。

投資は副業にはあたらないため、一般的に副業が禁止されている会社でも行うことが可能ですが、会社によっては就業規則で株式などの投資を禁止している場合もあります。

投資を副業と捉えている会社もあるため、投資をしていることがバレたくない場合は証券会社での口座解説の際に「源泉徴収ありの特定口座」を選んだり、確定申告で住民税の納付方法を「普通徴収」にしておきましょう。完全にバレないとは言い切れませんが、バレてしまう確率を減らすことができます。

不用品販売

「不用品販売」は、服や生活用品などの不用品をメルカリなどのフリマアプリに販売して収入を得るという方法です。不用品販売は「生活資産の売却」 にあたり営利目的ではないため副業とはみなされず、確定申告を行う必要もありません。

ただし、販売するものが宝石や貴金属、書画、骨董品などの1個もしくは1組の価額が30万円を超える場合は譲渡所得の対象となるため、確定申告が必要になります。譲渡所得の対象物は、取得から5年以内での売却の場合は「短期譲渡所得」、5年を超えている場合は「長期譲渡所得」となり、課税対象となる金額も変わってくるため事前に確認しておきましょう。

また、せどりなどの「仕入れて販売する」という方法で利益を得る目的の場合は副業になるため、副業が禁止されている場合は注意が必要です。

ハンドメイド販売

ハンドメイド販売も、自分が作った作品を販売して利益を得ているという意味では副業に含まれるため、稼いだ金額によっては税金の申告が必要になります。

ただ、本格的にハンドメイド販売を行っているのではなく趣味程度に作っているという場合は、会社側から副業とはみなされないというケースもあります。材料費や梱包材などの経費もかかるため、本業をしながらのハンドメイド販売はそれほど大きな利益にはならないという理由から、会社から認められるケースもあるようです。

収入から経費を差し引いた年間の所得が20万円未満であれば確定申告を行う必要もありませんが、売上があった場合は住民税の申告が必要になる為気をつけましょう。

ポイ活

ポイントサイトでゲームやアンケートなどを行ってポイントを得るというのが「ポイ活」です。ちょっとしたスキマ時間を使って気軽に行うことが可能。たまったポイントは現金や電子マネーをはじめ、お店の割引クーポンや楽天ポイントなどの他のポイントに交換することもできます。

アンケートや動画視聴1件につき単価は1円程度なので、毎日続けても大きな金額を稼ぐことはできませんが、ノルマなどもなく空いた時間を使ってできるのでまとまった時間が取れないという人にもおすすめです。

副業の申請方法

ここからは副業を始める際の会社への申請方法について解説します。会社によっても手続きの仕方は異なるため、疑問点は会社に直接確認することをおすすめします。

会社のルールを確認する

まずは会社の就業規則を確認し、副業することが禁止されているかどうか確認しておきましょう。副業が許可されている場合でも、制限があったり許可が必要だったりする場合もあります。その場合は手順に従って申請を行うようにしましょう。

どんな副業をするのか検討する

副業を始める際は、なぜ副業をするのか、その目的を明確にしておくことが大切です。収入を上げる他にも、自分自身のスキルアップや自己実現など副業の目的はそれぞれ異なります。

自分の目的を達成するための副業をするにあたって、本業に影響がない範囲でできる副業の種類や内容を考えます。あくまでも副業は本業の合間に行う仕事と捉え、無理なく行える副業を選択しましょう。

会社に申告または副業申請書を提出する

副業が許可制となっているケースでは、会社に申告するだけで良い場合と副業許可申請書などの提出が必要となる場合とがあります。申請書は会社によってそれぞれ書式が異なっていることが多いため、わからない場合は会社側に確認しましょう。

申請書には副業の種類や内容、働く時間などを記入することが求められる場合があります。申請書がなく会社への申告のみの場合は、本業に支障が出ないようにしながら副業を行っていくために、会社側と副業について十分に話し合いを行っておくようにしましょう。

副業を許可する場合の留意点

副業が許可されるためには、次の点に気をつける必要があります。

  • 就業時間や健康管理
  • 職務専念義務
  • 秘密保持義務
  • 競合避止義務

副業の就業時間や自分自身の健康管理はもちろん、本業の就業時間は本業に専念することや情報を外部に漏らさないこと、競合会社での事業を避けることなどを守ることが大切です。

参照:厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」

副業のメリット・デメリット

副業には、労働者にとっても会社側にとってもメリットやデメリットがあります。

副業のメリット

まずは副業のメリットから見ていきましょう。労働者側のメリットとして、主に5つが挙げられます。

  • 収入の増加
  • 新しいスキルの習得
  • 好きな仕事ができる
  • 転職や起業に向けての準備
  • 時間を有効活用できる

副業をする一番大きな理由は「収入の増加」という人も多いでしょう。収入が上がることで生活費の足しや貯金ができるようになり、私生活にも余裕が生まれるのは誰でも嬉しくなります。

また、自分の好きな仕事に気軽にチャレンジできるのも副業のメリットです。新しいスキルや知識を獲得することで、将来の転職や起業に向けた準備を行うこともできます。空いた時間を使ってコツコツ続けられるのも副業の魅力と言えるでしょう。

次に会社側のメリットです。副業が会社にもたらすメリットには、主に次の3つがあります。

  • 社員のスキルアップにつながる
  • 優秀な人材を確保できる
  • 会社の事業拡大につなげられる

副業を通して獲得したスキルは本業に活かせる場合もあります。社員のスキルアップは会社にも利益をもたらすため、会社にとっても大きなメリットです。

優秀な人材は自分自身の成長やスキルアップにも熱心であることが多いため、副業ができない会社だと転職してしまう可能性も考えられます。副業を解禁することで優秀な人材の流出を防ぎ、副業者を受け入れていくことで外部から優秀な人材を確保することが可能です。また、自社の事業拡大や利益の増加につなげられる可能性もあります。

副業のデメリット

副業にはメリットがある一方でデメリットもあります。まずは労働者側のデメリットから見ていきましょう。労働者側のデメリットは次のとおりです。

  • 本業と両立するのが難しい
  • 副業によってはあまり稼げない場合もある

本業と副業を行っていく上で長時間労働になってしまうことは避けられません。過重労働になった結果、睡眠不足や体調不良を引き起こし、本業に支障が出てしまう可能性も考えられます。

副業の種類によっては時間をかけてもそれほど稼げないというケースもあるため、副業を続けることへのモチベーションにも影響します。

副業は労働者にデメリットがあるように、会社側にもいくつかデメリットがあります。

  • 長時間労働になることによる本業への影響や労働者の健康への懸念
  • 情報漏洩や社会的信用の低下などのリスクがある
  • 副業をきっかけにした転職や起業など優秀な人材の流出

労働者が長時間労働になってしまうことにより、労働者自身の健康問題や本業へ影響が出てしまう可能性もあります。副業先への情報漏洩や社会的信用が低下してしまうリスクも考えられます。

副業がきっかけで転職や起業をする人もいるため、優秀な人材であれば会社的に損失を受けてしまう可能性があるというデメリットもあります。

副業する際の注意点

最後に、副業を行う上での注意点を解説します。

年間の副業所得が20万円を超えたら確定申告が必要

本業での収入については会社が年末調整を行ってくれるため税金を申告する必要はありませんが、副業の収入については自分自身で申告を行わなければなりません。

確定申告が必要になるのは、本業以外の所得が年間で20万円を超える場合です。所得は収入から経費を差し引いた金額となり、収入=所得ではないため気をつけましょう。

確定申告は税務署での手続きをしなければならないと思っている人も多いかもしれませんが、ネット上からでも申告することが可能です。国税庁のホームページの「確定申告書等作成コーナー」でスマホやパソコンを使って手続きが行なえます。

自分自身で就業時間や健康の管理を行う

副業は本業のように就業時間が決まっていないため、在宅で副業を行う場合などは特に長時間副業をするといったことも起こり得るかと思います。

副業では就業時間の管理も健康の管理も全て自分自身で行う必要があります

両立が難しい場合は副業を辞めるという選択も

本業と副業の両立は、考えている以上に難しいものです。始めたばかりの頃は順調でも、だんだん難しくなってくる場合も考えられます。無理をして体を壊したり、本業に支障が出てしまったりする可能性もあります。

場合によっては副業を辞めるというのも一つの選択肢です。副業したからといって必ず稼げるようになるとは限りません。特に未経験からできるような副業の中には、かけた時間の割に稼ぐことができないものもあります。

副業は始めやすく辞めやすいという特徴があるため、本業や私生活への影響が大きいと感じたら副業を辞めるという選択肢も視野に入れておきましょう。

まとめ

今回は副業を行うには会社の許可が必要になるのかどうかや会社への申請の仕方について解説しました。

  • 副業が解禁されている会社でも、会社に副業を申告し許可を得ることが必要な場合が多い
  • 副業をしたい場合は会社の就業規則を確認して副業が禁止されていないかどうかを確認する
  • 副業の種類や内容、会社への影響などによっては副業が認められないという可能性もある
  • 株式などの投資や不用品販売は副業とはみなされないため、副業が禁止されている場合でも行うことが可能
  • 副業をしたいと思ったら、まず会社の就業規則で副業が禁止されていないかを確認することが大切
  • 副業する際は、上司に直接申告するだけでいい場合や副業許可申告書が必要になる場合など会社によっても対応が異なるため、会社のルールに従って申請を行う
  • 副業が認められるためには、仕事の時間や健康の管理、職務専念義務、秘密保持義務、競合避止義務といった点に留意して副業の種類や内容を選ぶ必要がある
  • 副業には労働者側にも会社側にもそれぞれメリットやデメリットがある
  • 副業する場合は収入や経費の管理を自分自身で行う必要があり、所得が20万円を超えたら確定申告をする必要がある

副業をする場合は会社に許可を得ることが必要になるケースもあります。副業が認められるかどうかは会社によって異なりますが、本業へ影響や機密情報の漏えい等、本業の会社に悪影響を及ぼしてしまうような副業は避けて、本業や私生活と両立させることができる副業を選ぶことが大切です。

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