在宅ワークで自宅や備品などどこまで経費にできるのか分からず、お悩みの方がいるのではないでしょうか?
今回は、在宅ワークで自宅は経費にできるのか?その他経費として計上できるものの対象範囲や、どういった場合に確定申告が必要になるのかをまとめました。
経費の対象になるものやその範囲の判断、確定申告が必要かどうかの判断は難しいところがありますよね。
また、インターネットで検索してもいまいち分からず、結局解決しないなんてこともあるでしょう。
こちらの記事では判断の目安になる情報を載せていますので、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。
目次
在宅ワークで経費にできるものは?
在宅ワークで仕事中に発生したお金は「経費」とすることができますが、計上方法は以下の3種類に分かれています。
- 全額を経費にできる
- 一部を経費にできる
- 経費にできない
それぞれどのようなものが該当するのかを見ていきましょう。
全て経費にできるもの
まず、在宅ワークで必要とするもので業務上の用途のみの場合に全て経費として計上が可能です。
代表的なものを3つ紹介します。
パソコン
在宅ワークを行ううえで欠かせないものがパソコン機器。タブレットやプリンターなどの電子機器も全て経費にすることが可能です。
仕事で必要なofficeや動画編集などのソフトウェアも経費として考えられます。
ただし、金額によっては計上方法に注意が必要です。
購入金額が10万円を超える場合は数年間に渡って計上が必要な減価償却として処理をしなければならず、勘定科目は「器具備品」になります。
一方で、10万円未満の場合は一括で経費とすることができ勘定科目は「消耗品費」なりますので、覚えておいてくださいね。
デスク
自宅を仕事場としている場合に、デスクはパソコンを置いたり作業をしたりと業務において必要なものと判断できます。
よって、全て経費として計上が可能です。
デスクだけでなく仕事のために購入した椅子などの家具も経費として計上することができます。
事務用品
会社で使用する場合と同様に在宅ワークで使用するペンやノートなどの文房具類も仕事にかかる費用として計上することができます。
在宅ワークに関連する書籍や雑誌など購入した際も経費になります。
日常的に使用するティッシュペーパーなどの消耗品も必要経費として計上可能です。
しかし、プライベートでの使用頻度も高いことからどこまで経費として良いのか判断が難しいところです。
家事按分をして経費に計上しましょう。
一部経費にできるもの
全て経費にできるものを解説しましたが、ここからは一部経費にできるものを紹介します。
一部と限定的なのは、仕事だけでなくプライベートでも使用しており、仕事分とプライベート分で合理的に使用割合を分けて考える必要があるためです。
この分け方を「家事按分」といいます。
一部経費にできるものを3つまとめましたので見ていきましょう。
通信費
在宅ワークでパソコンや携帯を使用するなら必ず発生するのが通信費用。
インターネット回線や携帯の月額使用料などが通信費用あたり、経費として計上が可能です。
しかし、インターネット回線や携帯の使用はプライベートでも利用していることが多く、どの程度経費にできるかは家事按分が必要になってきます。
家事按分の際に、どれぐらいを経費にできるかは明確に決まっていないため自身で決めることができます。
しかし、あからさまに経費の割合が多くしたり、適当に決めてしまったりすると指摘を受ける可能性もありますので注意しましょう。
光熱費
パソコンやプリンターなど機器を使用する場合の他に照明器具の使用、エアコン使用にかかる費用も電気代として考えられます。
電気代も仕事とプライベートで分けて考える家事按分が必要です。
ちなみに、ガス代や水道代は経費の計上はケースによって異なります。
水道代は経費にできないと思われがちですが、経費に計上が可能です。
ガスは在宅ワークで使用する機会がほぼ無く、料理教室を開催している方などを除いて経費に計上することは難しいため基本的には計上できません。
自宅の家賃
自宅で仕事をする際に、通信費や電気代が経費として認められることが分かりましたが、自宅の家賃も経費として認められています。
作業を行っている部屋の面積や作業時間などを適切な割合でその支出を仕事分とプライベート分に按分して、仕事分のみ経費として計上可能です。
一般的に、部屋の半分を使用してフルタイムで仕事している場合は50パーセント程度が目安となります。
自宅以外に事務所や店舗がある場合は、そちらの家賃や光熱費なども経費として申告できます。
個人事業主の場合は、事務所をもたずにシェアオフィスやコワーキングスペースなどで仕事をしている方もいますよね。
施設の月額利用料を経費として計上することが可能です。
経費にできないもの
在宅ワークで経費にできないものは以下の2つです。
- プライベートで使用するもの
- 国民保険料や生命保険料、税金
それぞれどういうことなのか見ていきます。
プライベートで使用するもの
プライベートで使用するものは在宅ワークでの経費として計上することができません。
プライベートで使用するものは仕事で必要なものとはいえないため経費にはならないのが一般的です。
節税対策のために経費として計上できるものは、できるだけしたいと考える方もいるでしょう。
例えば、仕事とは関係のない家具や、仕事中の飲食代などは経費として認められません。
しかし、クライアントとの打ち合わせで提供した飲食費用は経費として計上できる可能性があります。
あくまでも経費は仕事で必要なもののみ計上でき、プライベートと分けなければなりません。
国民健康保険や生命保険料、税金
国民健康保険や生命保険料、税金なども在宅ワークの経費として計上することはできません。
ただ、社会保険料控除や生命保険控除などとして所得控除を受けることができるので確定申告の際に忘れずに申告しましょう。
税金に関しても所得税・住民税は経費にはできませんが、業務用として家事按分した固定資産税は経費として計上が可能です。
在宅ワークで確定申告が必要なケース
毎年2月~3月にかけて行われている確定申告。
手続きをしたことが無い方は「手続きが大変そう」「税金を取られる」などとあまり良いイメージを持てないのではないでしょうか。
しかし、現在は使用料が安くて使いやすい会計ソフトが増えているので、確定申告にかかる負担が減ってきているのでそこまで心配はありません。
在宅ワークで確定申告が必要なケースは以下の3つの場合です。
- 本業を在宅ワークにしている場合
- 副業を在宅ワークにしている場合
- パートやアルバイトと在宅ワークを掛け持ちしている場合
詳しく見ていきます。
本業を在宅ワークにしている場合
本業を在宅ワークをしている場合に、前年所得が所得税の基礎控除額48万円を超えた場合は確定申告が必要になります。
所得とは収入から必要経費を差し引いた金額のことです。
基礎控除とは納税者本人に対する控除で、年間所得が2,400万円以下の納税者なら誰でも控除を受けることができます。
よって、本業として在宅ワークをしているケースでは、所得が48万円を超えると課税される所得があるため確定申告が必要です。
副業を在宅ワークにしている場合
会社員など給与所得者が副業を在宅ワークにしている場合があります。
副業で在宅ワークをしている方は副業の所得が20万円を超える場合に確定申告を行わなければいけません。
アルバイト・パートなど雇用形態が正社員ではなくても所得の金額が20万円を超えるなら確定申告が必要となります。
また、会社員は毎月の給料から所得税を源泉徴収して12月に年末調整していますが、所得金額によっては確定申告しなければならないと覚えておきましょう。
年の途中で退職し年末調整をされなかった方は所得税が納め過ぎになる場合があるので、副業の所得に関わらず確定申告を行いましょう。
所得によっては納め過ぎた税金が還付される可能性もあります。
パートやアルバイトと在宅ワークを掛け持ちしている場合
パートやアルバイトと在宅ワークを掛け持ちしているケースも会社員で在宅ワークを副業としている場合と確定申告の基準は同じです。
年間所得が20万円を超えた場合は確定申告が必要になります。
ただし、副業による収入が20万円を超えていても、経費が10万円だった場合は所得は10万円となるので確定申告は不要です。
また、2ヶ所以上で勤務しており、年末調整をしていない勤務先の収入と在宅ワークの所得の合計金額が20万円を超える場合は確定申告が必要です。
在宅ワークで確定申告が不要なケース
在宅ワークで確定申告が必要なケースが分かったところで、次は在宅ワークで確定申告が不要なケースを解説します。
不要なケースは以下の2つの場合です。
- 確定申告の必要な条件に満たない場合
- 年末調整できる場合
それぞれ見ていきましょう。
確定申告の必要な条件に満たない場合
確定申告の必要な条件に満たないとされるのは、以下の2つのケースです。
- 本業として在宅ワークをしており年間所得が48万円未満の場合
- 会社員やアルバイトなど掛け持ちで在宅ワークを副業としており年間所得が20万円未満の場合
上記に該当する場合は確定申告の対象とはなりません。
自分は確定申告が必要か判断がつかない場合や申告方法が分からない場合は、国税庁のHPを参考にしてみてください。
参考:国税庁ホームページ
年末調整できる場合
本業で在宅ワークをしている場合でも作業量ではなく時間給としているケースでは、給料扱いで年末調整を行うことがあります。
この場合、年末調整で税金の処理は完了しているので確定申告は不要です。
確定申告を行わなかった場合はどうなる?
確定申告が必要な条件を満たしているにもかかわらず、行わなかった場合は「脱税」扱いや「追徴課税」が課されることになります。
期限までに税金を納めなかったことに対する「延滞税」、確定申告を行わなかったことに対する「無申告加算税」や仮装隠蔽があった場合の「重加算税」など、状況に応じて算出された割合の追徴課税が課されることも。
ちなみに「脱税」となった場合は「十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金」と刑罰を課されてしまうためバレなければ大丈夫と思わず納税者としての義務を果たしましょう。
第六編 罰則 第二百三十八条
在宅ワークで自宅は経費にできる?対象の範囲や確定申告は必要か解説まとめ
- 在宅ワークで経費にできるものは3種類に分けられる
- 全て経費にできるもの(パソコン・デスク・備品等)
- 一部経費にできるもの(通信費・光熱費・家賃等)
- 経費にできないもの(私的に使用するもの・国民健康保険・国民年金・税金等)
- 確定申告が必要なケースは?
- 本業として在宅ワークをしており前年所得が所得税の基礎控除額48万円を超える場合
- 副業として在宅ワークをしており副業の所得が20万円を超える場合
- パートやアルバイトと掛け持ちで在宅ワークをしており副業の所得が20万円を超える場合、年末調整していない勤務先の所得と在宅ワークの所得の合計が20万円を超える場合
- 確定申告が不要なケースは?
- 確定申告の必要な年間所得額に満たない場合
- 年末調整できる場合
- 確定申告しないとどうなるの?
- 脱税とみなされたり追徴課税が課されたりする可能性がある
以上、在宅ワークで自宅は経費にできる?対象の範囲や確定申告は必要か解説をまとめました。
特に家事按分して経費に計上したものに対し、もし税務調査で指摘された時にも慌てず説明ができるよう準備しておくことが大切です。
また、確定申告が必要なケースに当てはまっていたら後回しにせず期限内に必ず申告しましょう。
在宅ワークでどこまで経費にできるのか、自分は確定申告が必要なのかお悩みの方の参考となれば幸いです。