皆さんは、ビジネスシーンで「守破離」という言葉を聞いたことがありますか?
「守破離(しゅはり)」は、日本の武道や芸能などにおいて使われる言葉で、師弟関係や修行の段階の在り方を示すものです。
そのような「守破離(しゅはり)」ですが、近年はビジネスシーンでも多く使用されるようになりました。
今回はビジネスにおける「守破離(しゅはり)」について詳しくご紹介します。
目次
「守破離(しゅはり)」とは?
「守破離(しゅはり)」とは、文字通り3つの漢字から成り立っています。
ここでは、それぞれの文字の意味を見ていきましょう。
守(しゅ)
「守(しゅ)」とは、師匠に言われたことや、師の流儀・基本の型を守ることです。
破(は)
「破(は)」とは、師の流儀を極めたあっとに、自分が良いと思った型を作り、工夫して既存の型を破ることです。
離(り)
「離(り)」とは、独自の境地に身をおき、一流を目指すことです。
師匠の型や自分が作った型を踏まえ、オリジナルに進化させることを指します。
「守破離(しゅはり)」それぞれの意味を見ていくと、師匠の流儀である最初の型とは違った型に変化していくように感じます。
しかし、守〜離とどんどん進んでいっても、あくまでベースは「守」で学んだ師匠の型です。
そのため、どれだけオリジナルに工夫した型が生まれたとしても「守」の延長線上に存在しているということが特徴です。
「守破離(しゅはり)」はいつできたの?
今やビジネスでも使われるようになった「守破離(しゅはり)」ですが、その発祥は千利休と言われています。
千利休の教えを和歌の形にした『利休道歌』に収められている一首で「規矩作法 守り尽くして 破るとも 離るるとても 本を忘るな」に由来して作られた言葉です。
直訳すると「決まりや作法を守り身につけ、改善・改良のために型破りをしても、元の型から離れて新たな型を創造したとしても、基本の型を忘れてはいけない」と言う意味となり、簡単に言うと「基本を大切にしなさい」というような内容です。
千利休はお茶を広めた第一人者として有名ですが、教えも幅広く浸透しているのですね。
ビジネスにおける「守破離(しゅはり)」とは?
さて、ビジネスでいう「守破離(しゅはり)」とは、一体なんなのでしょうか?
「守破離(しゅはり)」は茶道や武道、芸能などで使われる言葉ですが、ビジネスにおいても、コミュニケーションやビジネスマナーにおいて活用ができます。
ビジネスを始め、人とコミュニケーションをする際には「言語」が使われますが、近年は対面でのコミュニケーションの機会が少なくなったこともあり、苦手意識がついた人も多いことでしょう。
また、チャットツールが主流化している関係で、人が会話をする際は、身振りや手振りを始め、声の調子やボディランゲージなど、非言語手段の活用が難しくなってきています。
そのため、特に「共通言語」の大切さが謳われているのです。
共通言語とは?
「共通言語」とは、使用している言葉の文脈や発信者の意図が反映されているものです。
言葉を伝えようとするときは、少なからず自分の意図や目的が含まれているはずです。
「共通言語」は、さまざまな意味になりうる言葉に「自分の意図や目的」を伝えるために、コミュニケーションを加えて伝える言語だと言えるでしょう。
ただし、上述した通り共通言語は「限られたコミュニケーションの中」で、限定的にしか使用できません。
そもそも使用されている言葉の意味が分からなければ共通言語にしても意味がないため、文脈と意図をしっかりと理解するようにしましょう。
共通言語のメリットは?
近年貴重となっている「共通言語」には、コミュニケーションの精度とスピードアップという2つのメリットがあります。
言語が通じるという基本的なことだけではなく、アイスブレイク中のちょっとした会話や、相手を思いやったコミュニケーションを行うことで、相手との認識のズレがなくなり、スムーズな対話が可能となります。
例として「あのお店のうどん」と伝えるのと「●●というお店の●●といううどん」と伝えた方が、会話も弾みコミュニケーションがスムーズにいくと思いませんか?
対面で言葉が通じる相手と、という基本的な場面のみとはなりますが、共通言語はスムーズなコミュニケーションにおいて重要な役割を担っているのです。
「守破離(しゅはり)」 と共通言語の関係は?
共通言語は、言葉だけではなく状況によって意味が変化するという特徴がありますが、そもそも言葉の意味があって初めて成立するものです。
そこで「守破離(しゅはり)」の考え方を使って共通言語を考えてみると、一連の流れができることがわかります。
意味の理解、意味を守る「守」
まずは、言葉の意味を学びます。
「この言葉はどういった意味なのか?」「なにを指している言葉なのか?」をしっかりと理解するところから始めましょう。
ビジネスで言うと、公式の内容・マニュアル・ルールを理解し、記載された内容を守って行動することを指します。
相手の視点を把握し、文脈を理解する「破」
先ほども述べたように「あのお店のうどん」とだけ伝えても、相手にはなかなか意味が伝わりません。
「なんでそのような話をしているのか?」「何を伝えたいのか?」と考えることが多く、コミュニケーションの弊害にもなってしまいます。
そのため、相手にどう伝えれば正しく伝わるのかを意識し、コミュニケーションを行いましょう。
さらに、言葉の文脈もしっかり理解することが大切です。
なぜ・どのような意図でその言葉を使っているのか?を知りたいときは、言葉の前後にある文脈の理解が一番の近道です。
言葉の認識や理解のすり合わせ「離」
共通言語は、その場だけで終わるものではありません。
コミュニケーションを行っている相手との関係性や仲の良さ、性別や年齢によっても大きく変わってきます。
認識や理解のスピードは人によって様々ですから、都度すりあわせや意識の共有をアップデートするなどを行いましょう。
もし認識や理解が違っていたら、また「守」に戻って、意味の理解を深め、一度振り返ってみることが大切です。
ビジネスにおける「守破離(しゅはり)」においても、重要なのは「守」になってきます。
基本がしっかり確立されていなければ、その後の「破」「離」を進められないでしょう。
時間がかかるのは当たり前なので、着実な方法で「守破離(しゅはり)」を行っていくことが大切です。
守破離とは まとめ
- 「守破離(しゅはり)」とは、文字通り3つの漢字から成り立った教え
- 元々は日本の武道や芸能において使われる言葉で「師弟関係や修行の段階の在り方」を示すもの
- 「守(しゅ)」とは、師匠に言われたことや、師の流儀・基本の型を守ること
- 「破(は)」とは、師の流儀を極めたあっとに、自分が良いと思った型を作り、工夫して既存の型を破ること
- 「離(り)」とは、独自の境地において一流を目指すことで、師匠の型や自分が作った型を踏まえ、オリジナルに進化させること
- どれだけオリジナルに工夫した型が生まれたとしても「守」の延長線上に存在しているということが特徴
- 「守破離(しゅはり)」は、千利休の教えを和歌の形にした『利休道歌』に収められている一首が由来となっている
- ビジネスでは、コミュニケーションの精度とスピードアップのために「共通言語」が重要視されている
- ビジネスシーンにおける「守破離(しゅはり)」は、意味の理解、意味を守る・相手の視点を把握し、文脈を理解する・言葉の認識や理解のすり合わせのことである
- ビジネスにおける「守破離(しゅはり)」においても、重要なのは「守」