目次
住民税の均等割と所得割
Lesson1で住民税は「道府県民税」と「市町村民税」があると話したが、どちらも「均等割」と「所得割」という2つに区分される。
均等割は納税者に対して均等の額(みんな一律同じ金額)で課税される。
一方、所得割は課税所得金額に道府県民税または市町村民税の税率を掛け、それから税額控除をしたもので、これらを合算して道府県民税や市町村民税が計算される。
所得割額=(前年の総所得金額等-所得控除額)×税率-税額控除額
住民税の納税義務者
道府県内または市町村内に住所がある者は、住民税の均等割および所得割の納税義務者となる。
一方で道府県内または市町村内に事務所・事業所または家屋はあるものの住所がない者は、均等割だけの納税義務者となる。
住民税が課税される地域
1月1日時点で住んでいる市区町村から課税される。
(1月2日に別の地域に引っ越しても、引っ越し前の地域から源泉徴収または催促がくる)
住民税の標準税率と制限税率
住民税の税率には、通常適用される「標準税率」と、道府県や市町村がそれぞれの実情に合わせて設定できる上限を示した「制限税率」とがある。
総合課税分の標準税率は、都道府県が4%、市町村が6%で、合計10%。
東京都の住民税
東京都の特別区内については、地方自治法により特別の地位を与えられているので、特別区内に住所のある個人が納める住民税は、道府県民税に相当する税は「都民税」として、また市町村民税に相当する税は「特別区民税」として課税される。(呼び方が違うだけ)
住民税の納付税額と納付方法
各都道府県および各市町村は、サラリーマンやOLなどの勤務先などから提出された給与支払報告書や所得税の確定申告書に基づいて住民税額を計算して、各人へ通知する。
また、住民税の納付方法は、「特別徴収」と「普通徴収」の2つがある。
特別徴収
給与所得者を対象とした納税方法。一般のサラリーマンはこっち。
市区町村から「特別徴収税額通知書」により給与の支払者(事業主=特別徴収義務者)を通じて税額12カ月分が本人に通知される。
また、給与の支払者は、通知された税額を6月から翌年5月まで、毎月の給与から天引きして納付する。
普通徴収
事業所得者や公的年金所得者など給与から住民税を差し引くことができない方などを対象とした納税方法で、市区町村から送付される納付書で住民税を納めるもの。
フリーランスなどの個人事業主はこっち。
年度当初の納税通知書は、毎年6月半ば頃に発送される。
一般のサラリーマンでも、市区町村に言えば普通徴収に出来る。
住民税の計算方法
住民税の計算は以下の4ステップで行う。
例)独身で年収入が300万円の場合
STEP1:給与所得金額を計算する
給与所得とは、その年(1月1日~12月31日)に得た給与収入から、給与所得控除を差し引いた額のこと。
サラリーマンなら源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」という項目に記された額がそれ。
もし分からなければ、以下の表に従って計算する。
給与等の収入金額 | 給与所得の金額 |
650,999円まで | 0円 |
651,000円から1,618,999円まで | 収入金額-650,000円 |
1,619,000円から1,619,999円まで | 969,000円 |
1,620,000円から1,621,999円まで | 970,000円 |
1,622,000円から1,623,999円まで | 972,000円 |
1,624,000円から1,627,999円まで | 974,000円 |
1,628,000円から1,799,999円まで | 計算基準額(※)×60% |
1,800,000円から3,599,999円まで | 計算基準額(※)×70%-180,000円 |
3,600,000円から6,599,999円まで | 計算基準額(※)×80%-540,000円 |
6,600,000円から9,999,999円まで | 収入金額×90%-1,200,000円 |
10,000,000円から | 収入金額×95%-1,700,000円 |
(※)計算基準額の計算方法
① 収入金額÷4,000
② ①で求められた額の小数点以下を切り捨てる
③ ②で求められた額×4,000
例)500万×80%−54万円 = 346万円
STEP2:所得控除額を引く
基礎控除や配偶者控除など差し引けるものを引く
例)基礎控除と社会保険料控除のみの場合
346万円−(住民税の基礎控除33万円 + 社会保険料控除50万円)=263万円
※社会保険料控除は払った全額が控除になる
※住民税の基礎控除は33万円(所得税の場合は38万円)
STEP3:調整控除額を計算する
調整控除額とは、配偶者控除、扶養控除、基礎控除について、所得税と住民税の間に控除額の差が生じているため、その差による影響をなくす目的で平成19年から始まった制度。
調整控除は、STEP2で求めた課税される金額が200万円以下か、200万円を超えるかで計算方法が変わる。
課税される金額が200円万以下の人
1.所得税との人的控除額の差の合計
2.課税される金額
市区町村民税 = 1と2のいずれか小さい金額×3%
都道府県民税 = 1と2のいずれか小さい金額×2%
課税される金額が200万円を超える人
1.所得税との人的控除額の差の合計
2.課税される金額-200万円
市区町村民税 = (1 – 2)(5万円を下回る場合は5万円)×3%
都道府県民税 = (1 – 2)(5万円を下回る場合は5万円)×2%
例)
1の所得税との人的控除額の差の合計は5万円(基礎控除が所得税の場合38万円で住民税の場合33万円と5万円差があるので)
2は263万円−200万円=63万円
1−2をするとマイナスで下回るので5万円
所得税との人的控除額の差の合計5万円✕3%=1,500円
所得税との人的控除額の差の合計5万円✕2%=1,000円
263万円−2,500円=2,627,500円
STEP4:住民税額を計算する
都道府県民税と市区町村民税あわせて、10%で計算する。
例)2,627,500円✕10%=262,750円 ←これを12分割して払う
まとめ
- 住民税は前年度の所得に対して課税される(前年の所得に対して決まった住民税を今年払うことになるので、前年が儲かったけど今年全然という場合は払うのが大変になる)
- 住民税の課税方法には、一律で課税される均等割と所得によって異なる所得割がある。
- 住民税の税率には、一律決っている標準税率とプラスして、市区町村によって異なる税率の制限税率がある。
- 住民税の納付方法には、給与から天引きされる特別徴収と自分で市区町村に収める普通徴収がある。
- 住民税はちょっと計算が面倒だが、だいたい所得の10%だと思っておけば大丈夫