プログラマーの将来性は?需要のあるプログラマーになるための4つの能力。

IT業界の拡大や技術の進化によって、以前にも増して「プログラミング」が注目されている2020年。「プログラマーに挑戦しようかな?」と思う人も多くなってきました。

 

しかし、中には「プログラマーは将来性がないのでは」「AIに取って替わられる仕事と聞いた」と、目指すこと自体に不安を覚える人もいるのではないでしょうか。

 

本記事ではプログラマーの将来性はあるのか」の観点から、需要や人手不足、今後プログラマーが必要になるスキルまで解説します。

 

ぜひこの記事でプログラマーの将来について知り、自分は本当にプログラマーを目指すべきなのかの参考にしてくださいね。

 

プログラマーの将来性は明るい 

結論からいえば、プログラマーの将来性は明るいといえます。2020年は世界的な混乱もあり、IT業もたしかに影響を受けました。

 

しかし現在、企業がテレワークを経験したことで、オンライン環境やツールが見直されつつあります。Web・IT関係のコンテンツ需要が伸びると同時に、開発に関わるプログラマーの必要度も減らないと推測されます。

 

また、2020年度から小学校でもプログラミングの授業が始まるなど、国が以前と比べIT化を勧めるようになりました。

 

以下では、さらに「プログラマーの需要」「IT人材の人手不足」「プログラマーの仕事はAIに奪われるのか?」の3つの観点で、将来性の考察を深堀りします。

 

プログラマーの需要はいまだ多い

世界的な情勢も影響し、2020年に入ってから全体の求人数が減少しています。「dodaの転職求人倍率レポート」や「厚生労働省の一般職業紹介状況」を見ても、有効求人倍率は右肩下がりです。

 

実際にdodaのデータのうち、プログラマーを始めとする「IT・通信業界」に絞って見ても、2020年1月に入ってから大きく数値を落としました。

 

しかし、それでも2020年6月のIT・通信系の有効求人倍率4.83%と、他の職種に比べて高い数値を誇っています。また「求人の数」だけで見ると、実は6月のIT・通信業界は前月比102.5%と微増しました。

 

これはテレワークに対応するために、社内インフラを整備できるエンジニアが求められているからと考えられます。それに伴い、実際にプログラミング作業を行うプログラマーの需要も回復していると推測可能です。

 

Web会議・在宅ワーク・オンラインセミナーが浸透しつつある2020年。それら支援するシステムやツールの重要度が増す中、プログラマー仕事の意義は大きくなっています。元々成長業界だったことも考えると、今後もプログラマーの需要は多いのではないでしょうか。

 

プログラマーの人材不足は進んでいる

拡大するプログラマーの需要に対し、プログラマーの人手不足も同時に進んでいます。経済産業省が発表した「IT人材需給に関する調査」によると、2018年の時点ですでに22万人の不足、将来的に2030年では約45万(高位シナリオだと最大79万人)が不足すると試算を出しました。

 

また、dodaの求人倍率4.83%は、求職者1人に対し4.83件の求人があると示すものです。

つまり、企業としてもさらにIT人材をほしがっていると予想できます。(2019年度末は9%弱まで上昇した)

 

市場規模に対して人材が足りていないのが現状であり、少子高齢化による労働人口の低下も影響しています。とはいえ、このまま売り手市場(採用枠<求職者)が続くと楽観するのも危険です。

 

・競争相手になるIT人材の絶対数は増加

・IT発展による必要なスキルレベルの上昇

・オフショア開発(賃金が安い海外企業への業務委託)による海外人材との競争

 

といったことから、状況や参入市場次第ではハイスキル人材と競争する可能性があります。さらに後術するAI技術の発展によって、レベルの低いプログラマーは淘汰されるかもしれません。

 

のんびりと悠長に構えていると、参入障壁が一気に上がることについても頭に入れておきましょう。

 

プログラマーの仕事はAI に奪われる?

結論からいえば、プログラマーの仕事がすぐに奪われる可能性は低いです。AIといえどクリエイティブな分野や、コミュニケーションが必要なプロジェクト案件などの細かい作業は手がでないためです。

 

ただし、今後の予想としては「AIに代替可能な領域のプログラミングはなくなる」との見解が強くなっています。単純作業やルーチン化している工程などです。以下の論文やツールの存在も、これらの考察を深めるものです。

 

オックスフォード大学の論文ではプログラマーは49%で代替可能と発表

・AIによる自動プログラミングツールの存在

 

AIに負けないプログラマーを目指すには、対人関係のスキルや後述するAIスキルをうまく取り込みましょう。

 

将来活躍するプログラマーになるため4つの能力

将来活躍するプログラマーになるためには、ただ1つのプログラミング言語を勉強するだけでは不十分です。「市場価値が高い稼げるプログラマー」や「上流のシステムエンジニア・マネージャー」を目指すためにも、今後必要になるスキルや能力を押さえておきましょう。

 

以下では、将来活躍するプログラマーになるための4つの能力をご紹介します。

 

1.常に新しい技術・知識を仕入れること

IT市場の移り変わりは激しく、現在も新技術が誕生しています。常に最新技術・知識を仕入れて時代のスピードについていけなければ、プログラマーとして生き抜くのは困難になるでしょう。

 

経済産業省の「IT人材白書2019概要」でも、IT人材への「質」の不足に対する不満が、2014~2018年で常に9割以上を占めています(大幅に不足約3割・やや不足している約6割強)。スキルがなければ淘汰される時代です。

 

時代に合わせたプログラミング言語の習得、最先端技術を扱うプログラマー・エンジニアとの交流を欠かさないなど、トレンドに敏感なプログラマーを目指しましょう。

 

2.AI・loT・セキュリティ開発知識を身につけること

今後プログラマーにとって役に立つ技術として、「AI」「IoT」「セキリュティ」の3つの開発知識が挙げられます。

 

将来性ある開発知識 詳細
AI(人工知能) ・医療・物流などあらゆる分野で応用可能かつ需要ある知識

・将来的にはAIエンジニアとしてのキャリアパスも拓ける

loT(internet of Things) ・「モノのインターネット」と呼ばれ、IT機械とそれ以外のモノをつないで遠隔操作・監視・対話を可能にする技術

・家電やカメラなどの家のものから工場の製造機械まで幅広い

セキュリティ ・IT業界市場や技術が拡大するにつれて重要度を増す領域

・現代社会で情報漏えいは命取りになるため、セキュリティに関する専門知識や開発経験は重宝

 

とくにAI関係は世界中で開発が進んでいる最新の技術です。「AIに淘汰されるプログラマー」ではなく「AIに強いプログラマー」こそが、将来活躍できる人材といえます。

 

3.コミュニケーションスキルなどの「人間力」を高めること

同僚や上司とのコミュニケーションを円滑にするスキルを伸ばしておきましょう。営業職のような交渉力やプレゼン力ではなく、業務報告を怠らないなどの基本的な対話能力です。

 

エンジニアとのやり取り、同じチームでの進捗報告、上司の意思決定のサポートなど、プログラマーも「プロジェクトチームの一員」としての動きが求められます。また普段からコミュニケーションがスムーズであれば、トラブルが発生したときもすぐ相談・協力できる体制も整います。

 

パソコンと1対1が多い作業だからこそ、意識的に人とのつながりを大切にする「人間力」を磨いておきましょう。

 

4.上流・マネジメントの目線をもつこと

もしあなたが将来的に上流工程(エンジニアやマネージャー)を目指していなくても、上流の仕事を理解・意識することをおすすめします。次の工程を考えた仕事ができれば、プログラマーとしての業務幅が広がります。

 

たとえばシステムエンジニアの目線をもちながら業務に臨めば、設計や仕様について上流と綿密な話し合いが可能です。その中で制作物の品質を上げられれば、会社からの評価や自分のスキルアップにもつながります。

 

「プログラミングに加えて管理スキルもある」人材になれれば、会社や転職市場の中でも大きな付加価値を生み出せるでしょう。経験を活かした他職種への転職も考えられます。

 

【キャリアアップ】
システムエンジニア ・クライアントの要望を受けて仕様を決定

・分析・設計・テストを担当する

プロジェクトマネージャー ・現場やプロジェクト全体の管理を行う

・プロジェクト始動前から企画・費用などをクライアントと話し合い決定

【キャリアチェンジ】
他のエンジニア職 ・インフラエンジニア、ネットワークエンジニア、データベースエンジニアなど
ITコンサルタント ・IT知識を駆使し、企業の経営をコンサルティングする

・現場知識があれば説得力が出る

Web系 ・Webデザイナー、IT系ライターなど

 

自分のキャリアパスに応じた上流スキル習得も、将来活躍できるプログラマーの条件です。

 

プログラマーの現状|労働環境や転職市場は?

プログラマーの将来性は明るいと解説しましたが、「じゃあ実際に働くとなるとどんな環境なのか」「本当にプログラマーを目指しても(転職しても)いいのか」と疑問に思うのではないでしょうか。

 

ここからは働くプログラマーの現状について、以下4つの項目に分けて解説します。

 

・プログラマーの平均年収

・プログラマーの残業時間や労働環境

・プログラマーの転職事情

・フリーランスエンジニアの現状について

 

では順番に見ていきましょう。

 

プログラマーの平均年収

厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、2019年のプログラマーの平均年収は約425.3万円です。(企業規模10人以上・決まって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別報酬で計算)

 

過去5年間の平均年収の推移もご紹介します。

 

西暦 プログラマーの平均年収
2014年 425.6万
2015年 408.4万
2016年 414.6万
2017年 416.1万
2018年 418.3万
2019年 425.3万

 

プログラマーの平均年収は、400~425万円の間で推移しています。求人ボックスの調査結果も448万円と考えると、400万円強が平均年収といえるでしょう。

 

国税庁の調査では日本の正社員の平均年収は432万円です。数字上では、日本人の平均はあるとわかります。

 

またプログラマーの年収は、取り扱っているプログラミング言語でも変動があると、株式会社ビズリーチ(検索エンジンスタンバイ)の調査結果も出ました。

 

順位 言語 年収 最大提示年収 求人数
1 Go 600 1,600 2,202
2 Scala 600 1,300 1,489
3 Python 575.1 1,499 9,344
4 Kotlin 575 1,200 961
5 TypeScript 675 1,200 667
6 R 574.8 1,000 220
7 Ruby 550 1,200 11,676
8 Swift 550 1,200 3,353
9 Perl 525 1,200 4,509
10 C 525 1,000 9,347

(出典:プログラミング言語別年収中央値を発表、求人検索エンジン「スタンバイ」調べ|株式会社ビズリーチ

 

1位のGO言語はGoogleが開発したプログラム言語です。stackoverflowの「2019年にエンジニアが学びたいプログラミング言語ランキング」で3位にランクインしました。(1位はRust・2位はPython)

 

プログラマーの残業時間

賃金構造基本統計調査によれば、プログラマーの過去5年間の残業時間は13~20時間に収まっています。2019年のdodaの「平均残業ランキング」でもランクインはありません。データ上で見ると、「あまりブラックではないのでは?」と予想できます。

 

しかし、同じく賃金構造基本統計調査での「平均勤続年数(2015~2019)」の平均が約6.4年と、他と比べてあまり高くありません。また「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」では、IT人材のスキルが高いほど残業時間が増えるとの結果もでていました。

 

Twitterやネット上の口コミでは「帰れない」「仕事がきつい」との声も依然多いです。事前に応募先の口コミや離職率、業績を確認し、企業端でよいか悪いかの判断は必要になるでしょう。

 

プログラマーの転職事情

先述のdodaの求人倍率やIT業界の需要・人手不足を考慮すると、プログラマーの転職市場は比較的明るい方です。

 

「Paiza株式会社」の調査やIT系転職エージェント「Geekly」のアンケートによると、むしろこれを機に「企業に依存しない働き方をしよう!」と、転職に積極的な人が多いとの結果が出ました。

 

転職市場では経験者が有利ですが、過去1年で約5~10の求人倍率を考えると、未経験でもチャンスはあります。ただし、プログラミングスクールに通う、資格を取るなどして自主的にスキルを磨く必要があるでしょう。

 

転職活動は、転職エージェントやスクールの支援を受けて進めることをおすすめします。

 

フリーランスエンジニアの現状

クラウドソーシングやSNSの普及に伴い、「フリーランスエンジニア」の働き方も注目されています。ただし、いきなり未経験からフリーランスをスタートさせるのは、スキルや営業の面でおすすめしません。

 

独立して生計を立てるには、プログラミングだけでなく営業力も問われます。なにも持たない状態で「勉強しながら働く!」のは、非常に危険なチャレンジとなるでしょう。教えを請う上司も同僚もいません。

 

まずはプログラミングスクールや実務経験と通じてスキルと人脈を身に付け、そこから初めて独立を視野に入れることを推奨します。

 

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