PHPの開発にフリーの統合開発環境のEclipseを利用されてはいかがでしょうか。EclipseはPHPの編集をサポートしてくれるプラグインが充実しているので、多くのPHPプログラマーが利用しています。
しかしEclipseの設定は難しいのでは、と思われる方もいるでしょう。今回はそのような方にPHP開発用のEclipse設定手順について紹介します。
PHPのプログラミングに何を使う？
PHPのプログラムを書く際、何を使うのが良いのでしょうか。Windowsをインストールしたパソコンならメモ帳やフリーのエディタでもプログラムが作れます。しかしプロはもっと便利なツールを使っています。
今回紹介したいEclipseは、プロがよく使っている統合開発環境の1つです。Eclipseを解説する前にPHPの開発に必要な機能について解説します。
プログラムを書くなら統合開発環境を
PHPのプログラマーの多くは、ソースコードの編集をサポートしてくれる機能が充実し、他にもメリットの多い統合開発環境を利用します。
とはいえWindowsパソコンならメモ帳でも書けます。メモ帳を使えば、複雑な統合開発環境の使い方を覚える必要はなく、簡単に使えるのではと思う方もいるでしょう。
しかしメモ帳でプログラムを書いているようなプロはいません。それはメモ帳でソースコードを書いていると余計時間がかかるからです。プログラムを書く場合、エラーにならないプログラムを短い時間で書くことが重要です。
しかしプログラムのコードを考えながら、同時にエラーに気を配ることは簡単ではありません。編集をサポートしてくれるうえ、作業時間を短縮してくれる機能が充実した統合開発環境が必要です。
PHPの開発環境に求められる機能
プロは短時間で多くのソースコードを作成でき、作業時間を短縮できる点を評価して統合開発環境を利用します。ではPHPの開発環境に求められる編集支援機能とは具体的にどのような機能でしょうか。
PHPのプログラムを開発するために必要な編集支援機能は次の4つです。
- プログラムの構文が見やすい。
- ステートメントと変数の区別がつきやすい。
- 文法チェックを自動でやってくれる。
- 次に記述するステートメントや変数の候補を表示してくれる。
今回紹介するEclipseは、これらの編集支援機能を全て満たした、統合開発環境の中でも人気の高いソフトです。
統合開発環境Ecliseとはどんなソフト
先ほど紹介したようにPHP開発者は統合開発環境を利用するのが一般的です。そして今回紹介するEclipseはその統合開発環境の代表的な1つですが、どのようなソフトでしょうか。
Eclipseを知らない方のために、その概要とPHPとの関係について説明します。
EclipseはJava専用？
PHPを学ぶ前にJavaを学んだことがある方は、その学習でEclipseを利用された方がいるかもしれません。確かにEclipseはJavaの開発環境として有名ですが、PHPの開発にも利用できます。
なお今回紹介しているEclipseはIBM社で開発され、オープンソースとして提供されている統合開発環境です。当初はプログラミング言語Java専用の開発環境として作られました。
それどころかEclipse自体がJavaで作られているので、Eclipseを利用するためにJavaの実行環境が必要です。
しかしEclipseのプラグインによる拡張機能を利用することで元々Java専用だったEclipseがPHPの編集にも利用できます。
EclipseにはPHPの文法チェックや編集支援をサポートするプラグインが用意されているので、ぜひ、PHPの開発環境として利用してください。
Eclipseは無料で使える
先ほどEclipseはIBM社で開発されたと紹介しましたが、当初からオープンソースとして提供されており、無料で使える点もEclipseの特徴です。
そして、今は非営利組織Eclipse Foundationによって管理されていることから、企業に所属された方でも安心してEclipseを利用できます。
さらにEclipseは、無料で使えるからといって機能で劣っていることはありません。2001年に公開されて以来、世界中の多くの開発者から支持されていることから便利なプラグインが充実しており、多機能なのに軽快に動作する統合開発環境です。
EclipseでPHPを開発するには
EclipseをPHPのプログラム開発で利用するには、PHP用のプラグインを設定しなければなりません。さらにEclipse Foundationが提供しているEclipseは英語版のみなので、日本語化するためのプラグインも適用してください。
なお、Eclipseに日本語化するためのプロジェクトMergeDocプロジェクトは、PHP開発向けのプラグインを組み込んだEclipseのインストールキットを配布しています。このキットをインストールするとEclipseを日本語化したPHPの開発環境が作れるので、ぜひ利用してください。
EclipseでPHP開発環境を作るには
最新のEclipse2020は多くのプログラム言語向けのプラグインを用意しており、PHPにも対応しています。そして公式サイトや日本語化プロジェクトのサイトからPHP開発者向けパッケージをダウンロードしてインストールすれば、すぐにPHPの編集が可能です。
次からEclpiseを用いたPHPの開発環境構築手順を紹介します。
Eclipseをダウンロード
Eclipse Foundationが運営しているEclipseの公式サイトには、Windows版やmacOS版などのパソコン用OSに対応したインストールキットが用意されています。
ただし公式サイトからダウンロードできるのは英語版のみです。もし、日本語のEclipseを使いたい場合は、Eclipseの日本語化に取り組んでいるMergeDocプロジェクトのサイトからダウンロードしてください。
Eclipseを初期設定
先ほどの日本語化されたEclipseをダウンロードしたら、インストール先に展開してください。展開したフォルダの中にeclipse.exeがあるので、これを実行すると初期設定が行われます。設定が終わるまで時間がかかるのでしばらくお待ちください。
初期設定が終わるとワークスペースの入力画面が出ます。そしてこれを設定し、起動ボタンを押すとEclipseが起動します。なお、Eclipseを起動した際、毎回ワークスペースの入力画面が出ますが、そのまま起動ボタンを押してください。
まずはプロジェクト作成を
Eclipseが起動してもすぐにファイル編集はできません。まず、プロジェクトを作成し、その下にファイルを作成してください。なお、PHP用のEclipseを使用している場合、PHPプロジェクトを作成し、その下にPHPファイルなどを作成します。
PHPのソースコードを編集する
Eclipseを使う場合、まずはプロジェクトを作成してください。Eclipseではプロジェクトの下にPHPのソースファイルを作成します。
続いてPHPのソースコードを作成してください。作成するとエディタが開いて、その中で編集支援機能が動作します。編集機能とはステートメントの候補が出たり、利用可能な変数を表示する機能で、マウスで候補をクリックするだけで追加可能です。
また、エディタ内で文法チェックが動作するので、エラーがあればすぐに不具合箇所を発見できます。
EclipseにPHPを実行する環境を用意するには
EclipseでPHPの編集が可能になったらそれで環境構築が終わりではありません。統合開発環境には、作ったソースコードを実行する環境も設定できます。ぜひ、PHPを実行する環境も用意してください。
次から、EclipseでPHPを実行する環境の作り方を簡単に解説します。
PHPコマンドを指定する
Eclipse内で作成したPHPのソースコードを実行するには、PHPの実行可能ファイルを設定します。
もし、実行可能なPHPがインストールされていれば、Eclipseの「ウィンドウ」タブにある「設定」をクリックして設定画面を開いてください。ここでPHP実行可能ファイルの指定が可能です。
そして、コマンドラインから実行するPHPの実行ファイルを指定した場合は、「PHP CLIアプリケーション」で実行できます。
複数のPHPファイルを使って実行するには
編集したPHPのソースファイルを実行できるようになったとしても、クラスの一部だけ担当しているのでファイル単体では実行できない、といったケースもあるでしょう。
そのような場合は、テスト用のPHPファイルを用意しておき、そのファイルにインクルードする形で編集中のPHPソースコードを実行させることも可能です。Eclipseの「実行」メニューにある「実行の構成」で、テスト用のPHPファイルを指定してください。
Webブラウザから利用する
PHPはWebページを動的に生成するためのプログラム言語です。そのためプログラムの動作確認をWebブラウザで行うケースも少なくありません。Eclipseを利用すると、編集したプログラムの動作をWebブラウザで確認することも可能です。
なお、実行時に開くWebブラウザも、先ほどPHPの実行可能ファイルを設定したのと同じ、Eclipseの設定メニューから指定できます。
まとめ
今回紹介したようにフリーの統合開発環境として多くのプログラマーが利用しているEclipseはPHPの開発にも利用できます。
なお統合開発環境のメリットは、プログラム作成支援機能によって迅速かつ正確にプログラムが書ける点です。EclipseによるPHPプログラム開発で、この機能を実感してくださいね。
