IT業界に詳しくない人であれば、プログラミングのことをシステム開発だと思っているかもしれません。この考え方は間違いではありませんが、正しくもありません。
そこで今回は、システム開発とプログラミングの違いについて解説していきます。また、プログラミング言語の種類と選び方についても紹介していくので、ぜひご覧ください。
目次
システム開発とプログラミングの違い
業務の効率化やネット通販など、現代社会は急速なIT化が進んでいます。これは、世界中のIT企業が日々システム開発を行ってきた結果といえます。
システム開発のことをプログラミングのことだと思っている人は多いでしょう。しかし、「システム開発」と「プログラミング」は全く違うものです。
システム開発とは
システム開発とは、クライアントの要望するシステムを実現するための開発の全工程の総称のことです。
IT企業が行っているシステム開発は、次の流れで工程が進んでいきます。
- 要件定義
- 外部設計
- 内部設計
- プログラミング
- テスト
- 運用・保守
システム開発の大まかな流れは、クライアントからの要件を明確にして、それを実現するためのシステムを設計します。そして、作成した設計書に従ってプログラムを作成し、クライアントの要件を満たしたシステムになっているかをテストします。テストに問題がなければクライアントに納品し、運用を開始します。
プログラミングは開発工程の中の1つ
システム開発といえば、プログラミングのイメージが強いかもしれません。しかし、プログラミングは、開発工程の中の1つでしかありません。設計書がなければ、プログラミングはできません。
システム開発において、プログラミング工程を担当する人のことをプログラマーといいます。一方、プログラミング以外の設計やテストを担当する人のことをSE(システムエンジニア)といいます。
なお、プログラミングスキルがなければ設計書などを作成することができないこともあり、プログラマーとしての経験を積んだ後に、SEとなる場合がほとんどです。
プログラマーとSEの違いとは?それぞれの仕事内容を徹底解説! プログラマーに向いている人とは?適性をチェックしよう!システム開発向けのプログラミング言語の種類と選び方
システム開発におけるプログラミング工程とは、設計書の内容をコンピューターが認識できる機械語に翻訳する作業のことです。このとき使用する機械語のことを、プログラミング言語といいます。
プログラミング言語には、数多くの種類があり、言語によって機能や特徴が異なります。言語によって得意分野は違うので、開発するシステムに適した言語選びが重要となってきます。
一例にはなりますが、開発するシステムに対し、おすすめのプログラミング言語は次の通りです。
- 業務システム:Java
- 人工知能開発:Python
- iOSアプリ開発:Swift
- Androidアプリ開発:Kotlin
- Webサイト制作:HTML
- Webサービス:Ruby
- ECサイト制作:PHP
- オンラインゲーム開発:C言語
なお、Javaは業務システムの開発しかできなくて、Pythonは人工知能の開発しかできないなどといった話ではありません。基本的に1言語習得すれば、多分野で利用することができます。あくまでも各プログラミング言語には「向き・不向き」があるということです。
それでは、各開発でおすすめのプログラミング言語について、詳しくみていきましょう。
幅広い分野で活躍する「Java」
業務システムや家電などの組み込みシステム、アプリ開発やWebサイト作成など、幅広い分野で活躍しているプログラミング言語がJavaです。現在、最も使われている言語といって間違いないでしょう。
Javaはその汎用性の高さから、多くのIT企業が開発言語として使用しています。IT企業の求人においても、Javaの経験者は優遇される傾向にあります。これからプログラミング言語を学びたいけど、どの言語を学べばいいか迷っているという人はJavaを選ぶのが無難だといえるでしょう。
人工知能開発で活躍中の「Python」
人工知能開発や機械学習の分野で活躍しているプログラミング言語がPythonです。Pythonは、シンプルな文法で読みやすいコードを書くことができ、データ処理に優れた言語なので、複雑な計算が行われる人工知能開発などの分野で活躍しているプログラミング言語です。
最先端技術の担い手としてプログラミングを学びたいのであれば、Pythonがおすすめの言語だといえます。難易度自体もそれほど難しいわけではないので、初心者でも安心して始められます。
アプリやソフトウェアの開発はOSで選ぶ
Apple社は、Apple製品用の開発言語としてSwiftを開発しました。そのため、iPhoneアプリの開発やmacOS向けのソフトウェア開発をするのであれば、Swiftがおすすめです。
一方、Google社がAndroidの公式開発言語として採用したのはKotlinです。また、Windows向けのソフトウェア開発であれば、Microsoft社が開発したC#がおすすめだといえます。
このように、アプリやソフトウェアの開発をする際には、サービスが使われるデバイスやOSで開発言語を選ぶと効率良く開発できるでしょう。
Webシステムなら「HTML」は必須
Webブラウザを介したサービスを展開するのであれば、HTMLの習得は必須といっていいでしょう。HTMLは、厳密にはプログラミング言語ではなく、コンテンツの構造を決めるためのマークアップ言語です。
そして、JavaScriptやPHPといったプログラミング言語を使用することで、Webサイトに動きを加えることができます。特に、サーバサイドで動作するPHPは、選択した商品情報を元にページを作成するECサイトなどで活躍しています。
Webシステムは、習得する言語が多くなるため、手を出しづらいと感じるかもしれません。しかし、Webシステムで使用する各言語の難易度は低く、ツールなどを利用して簡略化することもできるので、実はそこまで敷居は高くありません。
実行速度が重要なオンラインゲームは「C言語」
C言語は、古くから存在するプログラミング言語です。新しく開発されたプログラミング言語に比べると、難易度が高く、煩雑な処理が多くなってしまいます。プログラミングに、難しいイメージがあるのはC言語の影響が大きいでしょう。
C言語はメモリの管理などが必要な分、処理の実行速度が速いのが特徴です。そのため、リアルタイム処理の欠かせないオンラインゲームなどの開発現場で活躍しています。
なお、C言語にオブジェクト指向を加えたC++という言語があったり、Javaと互換性があったりと、他の言語のベースともいえる言語です。プログラマーとして実力をつけたいのであれば、C言語を理解することでプログラミングの理解を深めることができるでしょう。
まとめ
プログラミングは、システム開発工程の中の1つです。システム開発に携わりたいのであれば、まずはプログラマーとしての実力をつけることから始めましょう。
プログラマーは、設計書の内容を機械語に翻訳するのが仕事です。その機械語のことをプログラミング言語といいます。
プログラミング言語は、多くの種類があり、特徴や得意分野が異なります。プログラマーがどんなシステム開発をしたいかで、選ぶ言語は変わります。これからプログラミングを学びたいと考えているのであれば、まずは何を開発したいのかを明確にすると良いでしょう。
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