本業とは別の形で仕事をしたり、収入を得たりしている場合のことを一般的に「副業」といい、コロナ禍による給料削減や物価高、厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」の策定などにより、副業をする人の数も増加傾向にあります。
副業を解禁する会社の数も増えてきてはいますが、それでも未だに副業を禁止している会社も多いのが現状です。
副業が禁止されていても、収入面や自分のスキルアップのため、将来の転職や企業のために副業をしたいと考える人もいるでしょう。この記事では、副業がバレてしまう原因や副業をバレずに行うためのポイントについて解説します。
目次
副業をバレずに行うことは可能?
会社に副業を100%バレずに行う方法というのは今の所ありません。副業で稼いだ金額は税金や保険にも関係してくるため、遅かれ早かれ副業が本業の会社にバレてしまう可能性はあります。
ただし、後述する「副業をバレにくくするポイント」をおさえておけば副業をバレにくくすることも可能です。
副業がバレやすい原因
会社に副業がバレてしまうのはどういった原因が挙げられるのでしょうか。副業がバレてしまう原因にはいくつかの項目がありますが、多くの場合税金が関係してきます。
住民税額でバレる
住民税の金額が多くなったことによってバレてしまうというのが一番多いケースです。住民税は前年の所得の金額によって変わりますが、一般的に住民税は会社から天引きされる形で徴収されており、市町村から本業の会社へ住民税額決定通知が届くことになります。
基本的に本業と副業の所得は合算されて住民税に反映されます。副業をして所得が高くなるとその分住民税の額も増加するので、本業の他にも収入があるということが分かってしまいます。
社会保険でバレる
アルバイトやパートを副業にしている場合でも、雇用先の勤務条件によっては一定の勤務時間を超えると社会保険に加入する義務が生じます。本業の会社では既に社会保険に加入しているため社会保険に二重に加入することになってしまいます。そして社会保険加入通知は本業の会社にも届けられるため副業していることがバレてしまうのです。
会社の人に副業しているところを見られてバレる
会社の人や関係者に副業している姿を見られてバレてしまうというケースもあります。特に、家や会社の近くの店などでアルバイトやパートをしている場合は注意が必要です。人目につきやすく、不特定多数の人と関わるサービス業や接客などもバレやすい副業になるでしょう。
SNSでバレる
SNSで副業の様子を投稿していたり、会社の人と相互フォロー関係になっていたりした場合、投稿内容から副業がバレてしまう可能性があります。
また、アカウント名や位置情報が分かってしまう画像などでも特定されてしまう可能性があるため注意が必要です。
副業が会社にバレた時はどうなる?
会社が副業を禁止していた場合、副業がバレてしまうとどうなるのでしょうか。会社員の場合と公務員の場合それぞれについて解説します。
会社員の場合
会社によっては就業規則に副業禁止規定が設けられている場合があります。副業が禁止されているのに副業していることがバレてしまった場合は、規定内容により懲戒処分を受ける可能性があります。
ただし、法律では副業を禁止することは認められていないため、副業が原因で受けた処分については無効になるケースもあります。副業によって処分を受けるケースとしては、企業機密が漏洩した場合や競合会社で働くことによって本業に損害を与えた場合などがあります。
公務員の場合
公務員は、国や国民のために働く「奉仕者」としての責務を負っています。ゆえにその仕事に集中すべきであり、他の仕事に従事することは原則として禁止されています。
法律でも「国家公務員法」と「地方公務員法」の2つで副業が禁止または制限されており、いずれも所轄の長の許可なしに副業や兼業を行うことはできません。
私企業からの隔離(国家公務員法第103条)
職員は、営利を目的とする私企業(以下「営利企業」という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員等の職を兼ね、又は自ら営利企業を営んではならない。他の事業又は事務の関与制限(国家公務員法第104条)
職員が報酬を得て、営利企業の役員等の兼業以外を行う場合には、内閣総理大臣及び所轄庁の長の許可を要する。
営利企業への従事等の制限(地方公務員法第38条)
職員は、任命権者の許可を受けなければ、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下この項及び次条第一項において「営利企業」という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則(人事委員会をおかない地方公共団体においては、地方公共団体の規則)で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。
公務員の副業や兼業がバレた場合は、減給や戒告、懲戒免職などの処分を受ける可能性があります。
会社が副業を禁止するのはなぜ?
政府は副業を促進しているのに、会社が副業を禁止しようとするのはなぜなのでしょうか。副業を禁止している会社の場合、副業禁止規定は就業規則に盛り込まれていますが、そこには副業を禁止する理由としてこのような項目があります。
本業に支障をきたす可能性があるため
副業を行うことで労働過多となり、睡眠不足や体調不良などを引き起こしてしまう可能性があり、その結果、本業の仕事に支障をきたしてしまうということが考えられます。
競合会社の副業によって情報漏洩の可能性があるため
自分の持っているスキルを活かして、同じ職種や競合会社での副業を考えるという場合もあるかと思いますが、競合会社での副業は本業の会社の機密情報の漏洩や本業の会社へ損害を与えてしまう可能性があります。
会社の社会的信用を低下させるおそれがある
副業の種類によっては会社の社会的信用を低下させてしまう原因になります。また、優秀な社員が副業をきっかけに転職や離職してしまうケースも考えられるため、会社のイメージや評判が悪くなってしまう可能性もあります。
会社にバレやすい副業の種類
本業の会社にバレやすい副業は、給与所得の仕事です。基本的にパートやアルバイトといった雇用形態の収入は給与所得になるため、翌年の住民税額に反映されて副業がバレてしまう可能性が高くなります。また、近所の飲食店やコンビニなどでの仕事は、会社の人に姿を見られてしまうケースもあるため副業がバレてしまう原因となります。
- パートやアルバイトなどの給与所得の仕事
- 飲食店やコンビニ、スーパーなど人目につきやすい仕事
給与所得とは?
給与所得とは、会社から給与という形で給料を受け取っている場合の所得のことです。給与所得には毎月の給料や賞与が含まれます。副業でアルバイトやパートをして2ヶ所以上の会社から給与を受け取っている場合は確定申告時に給与所得として合算されるため、翌年の住民税額に反映されて副業がバレてしまう可能性も大きくなります。
給与所得は雑所得の副業とは違い、原則として自分で納付することはできません。会社にバレる可能性を少しでも減らしたいなら給与所得以外の仕事を選ぶようにしましょう。
会社にバレにくい副業の種類
副業を会社にバレにくくするためには、上記のバレやすい仕事を避けることが大切です。バレにくい副業の例として次のような種類があります。
- クラウドソーシング
- 株式やFXなどの投資
- せどり・ハンドメイド販売
- 不用品販売
バレにくい副業の種類として、クラウドソーシングやハンドメイド販売、投資などの在宅ワークが挙げられます。これらは会社に所属して行う仕事ではなく個人で行う仕事で、在宅で行うため人に見られる心配がないため、会社にバレてしまう可能性を低くすることができます。
また、クラウドソーシングなどの在宅ワークの場合は就業時間が決められていないことが多く、スキマ時間を使って自分のペースで仕事を行うことも可能です。ハンドメイド販売は趣味の延長としてもできる仕事で、会社によっては副業とみなされない場合もあります。
不用品販売であれば生活上の不用品を売却するだけなので副業にはあたらないため、売上額が税金に影響することはありません。
副業をバレにくくするためのポイント
ここからは、会社にバレずに副業していくためのポイントについて解説します。会社にバレない可能性をゼロにすることは難しいですが、ポイントを抑えておくことで会社にバレにくくすることも可能です。
住民税を普通徴収にする
上述したように、住民税が本業の会社から天引きされる特別徴収によって副業がバレてしまう可能性が高くなります。副業をバレにくくするためには、確定申告や住民税の申告時に記載する住民税の納付方法を、自分で納付する「普通徴収」にしておくことが大切です。
会社に副業していることをバレにくくする住民税申告の仕方はこちらの記事でも解説していますのでぜひ参考にしてみてください。
副業していることを口外しない
副業していることは会社の人や関係者に話さないようにしましょう。思わぬところから会話を聞かれれてしまったり、飲み会などの場でうっかり話してしまったりする可能性もあります。
副業していることを誰にも話さないように注意し、日頃から口を滑らせないように注意することが大切です。また、仕事の休憩中に副業をしている場合なども、人に見られてしまう可能性があるため注意しましょう。
SNSの使い方に気をつける
副業でSNSを利用するという場合にはプライベートとは別のアカウントを新しく作るかビジネスアカウントを作成することをおすすめします。また、アカウント名をハンドルネームにしたり自分だとわからないようなアイコンを設定したりするなどの対策を取ることが大切です。
副業所得を20万円以内にする
副業の所得を20万円以内におさめることで、確定申告の手続きが不要になります。副業の所得や所得税を会社に知られたくない場合に有効な方法です。
ただし、副業所得の金額に関わらず住民税の申告は必要になります。給与所得以外の雑所得や事業所得の場合は、住民税の納付方法を「普通徴収」にすることで、自分で納付書を使って支払いを行う形になるため、副業がバレたくない場合は普通徴収を選択しましょう。
会社によっては副業とみなされない種類もある
収入を得ている全てが副業になるとは限りません。例えば不用品の販売は営利目的ではないため売上は非課税となり、副業とはなりません。また、ハンドメイド販売は趣味の延長と捉えられるケースもあり、副業にはあたらない場合があります。
株式やFXなどの投資も基本的に自分の資産運用となるため、副業とはみなされない場合もあります。
まとめ
今回は副業がバレてしまう原因やバレやすい副業の種類、副業をバレにくくするポイントについて解説しました。
- 副業は住民税や保険関係から会社にバレてしまう可能性が高い
- 会社の人に副業しているところを見られてしまうケースや、SNSの投稿から特定されてバレてしまうケースもある
- 会社員には副業を禁止する法律はないため処分されないケースもあるが、公務員は法律で副業が制限されているため、勝手に副業していた場合懲戒処分を受ける可能性がある
- 給与所得のアルバイトやパートなどは住民税の納付方法を普通徴収にすることができないため会社に副業がバレてしまう可能性が高い
- 副業をバレにくくするためには、クラウドソーシングやハンドメイド販売、投資などの在宅ワークがおすすめ
- 不用品販売は副業にはあたらない
- 副業していることを他人に口外しないことや、SNSの使い方にも注意が必要
- 投資やハンドメイド販売などは副業とはみなされないケースもある
- 年間所得を20万円以内におさえれば確定申告は不要
就業規則で副業が禁止されていても、さまざまな理由から副業を考える人もいるでしょう。副業が会社に絶対バレないという方法は残念ながらありませんが、副業の選び方ややり方によってはバレにくくするということも可能です。
会社にバレにくい副業をしたい場合は給与所得ではない副業を選び、住民税の納付方法を「普通徴収」にしておきましょう。