住民税で副業がバレる?会社にバレない申告書の記入方法を解説

副業や兼業が促進されるようになり、会社員の中にも副業をする人が増えてきています。しかし、副業をしてその分の収入を得た場合は、その所得に応じた税金を支払う義務が生じます。

「住民税」は「所得税」と似ているため混同しやすく、副業を行っている人は特に見逃してしまいやすい税金ですが、住民税は確定申告の有無に関わらず支払わなければなりません。

この記事では、副業が会社にバレてしまう住民税の仕組みや、副業がバレないようにするための住民税申告時の記入の仕方、住民税申告時の注意点について解説していきます。

副業は住民税でバレる?

副業が会社にバレてしまう一番の原因は住民税です。住民税は基本的に会社の給与から天引きされるシステムとなっていて、本業以外の収入がある場合その所得が加算されて金額が決まります。そのため会社に内緒で副業をしている場合は本業の給与に見合わない金額となって副業がバレてしまう可能性が考えられます。

副業の種類によっては自分で納付することを選択できる場合もありますが、雇用先から給与として支払われている場合は原則として年末調整を行っている会社からの天引きとなります。会社に内緒で副業にアルバイトやパートをしているという人は、会社にバレてしまうことは避けられないでしょう。

また、住民税以外にも、会社の人に副業しているところを見られてしまったり、SNSから特定されてしまったりといった理由で副業がバレてしまう可能性も考えられます。

副業がバレないようにするためにはどうすれば良い?

副業していることを会社にバレないようにする確実な方法は残念ながらありません。しかし、住民税の納付方法によっては会社にバレにくくすることができます。

住民税の納付方法を「普通徴収」にする

住民税の納付方法を「普通徴収」にすることで会社にバレにくくすることは可能です。

しかし、現在は税金の滞納や遅延を防止するため特別徴収が徹底されています。特別な事情がない限り、会社から給与として支払われている場合は普通徴収に変更することは難しいでしょう。

なお、パートやアルバイトであっても例外的に納付方法を普通徴収にできる場合があります。

  • 従業員が2人以下の場合
  • 他の会社から特別徴収されている場合
  • 毎月の給与が少額または支払いが不定期の場合
  • 退職者または退職予定者の場合
  • 個人事業主の専従者となっている場合 など

参照:総務省「特別徴収の推進について」

条件は各自治体によっても異なりますが、特定の条件に当てはまる場合は住民税を普通徴収に切り替えられるケースもあります。

副業分の所得だけを「普通徴収」にする

上述のように、パートやアルバイトなどの副業の所得を普通徴収にすることは難しいですが、業務委託や成功報酬など個人で仕事を請け負っているものについては普通徴収を選択することができる場合もあります。

ただし、自治体によっては普通徴収を希望しても認められない場合もあるため、自分の市区町村が対応しているかどうか分からない場合は事前に確認することをおすすめします。

なお、会社にバレにくいおすすめの副業についてはこちらの記事でもご紹介していますので参考にしてみてください。

副業が会社にバレない方法はこれ!住民税の申告方法とお勧めの仕事

住民税申告と確定申告の違い

次に住民税申告と確定申告の違いについて解説していきましょう。所得に対してかかる代表的な税金には所得税と住民税があります。

基本的に個人で確定申告を行う場合は役所が住民税を計算するため、個別で住民税の申告は必要ありません。

税金の種類 支払先 管轄 算出方法
所得税 国(国税) 税務署 所得×税率=所得税
住民税 市区町村(地方税の一種) 市区町村の役所 所得割+均等割+利子割+配当割+株式等譲渡所得割=住民税

所得税

所得税は自分の所得に応じ国に納めなければならない税金であり、所得税を申告し納税するためのものが確定申告です。

副業の主な所得には、次の3つがあります。

  • 給与所得:アルバイトやパートなどで雇用され、給与として支払われた所得
  • 事業所得:不動産や農業、漁業などの自営業で得た所得
  • 雑所得:上記に当てはまらない副業などの所得

所得は「収入-必要経費」となるため、収入が20万円以上だったとしても経費を差し引いて20万円以下だった場合は原則として確定申告をする必要はありません。

給与所得の場合、所得税は源泉徴収されている場合がほとんどです。源泉徴収されている税金は控除前の支払額を基にして計算されている額のため、確定申告を行うことで払い過ぎていた税金が還付される可能性があります。

事業所得や雑所得に関しては必要経費が認められます。経費には事業にかかった消耗品費や書籍代金、交通費や通信費なども必要経費となるため、確定申告を行うことで所得を減らすことができ節税対策につなげられます。

なお、経費にできる項目についてはこちらの記事でも詳しく解説していますのでぜひ参考にしてみてください。

【在宅ワークの方必見】自宅での仕事で経費にできるのはどこまで?

住民税

住民税とは、都道府県民税と市区町村税を合わせた総称のことで、住んでいる地区町村に納める地方税の一種です。地域の行政サービスや日常生活に関わる事業などに利用されている税金です。

所得税とは異なり管轄は市区町村の役所です。前年の所得から算出された税金を元にして金額が決定されるため、現在の所得の有無に関わらず支払いの義務が生じます。一般的に会社に勤めている場合は毎月の給与から住民税が天引きされています。

住民税の納付先はその年の1月1日の時点で住んでいた市町村です。年度途中で引っ越した場合でも、1月1日に住所があった自治体に住民税を納める義務が生じます。

住民税の申告が必要なケース

住民税の申告が必要なケースは次のとおりです。

  • 副業などの年末調整していない所得があり、確定申告をしていない場合
  • 年度途中で会社を退職し年末調整を行っていない場合
  • 医療費控除や住宅ローン控除などの控除を申請する場合
  • 災害などの税金減免制度を利用する場合

本業以外にも所得がある場合は、その所得について確定申告を行う必要があります。また、年度途中で退職していて年末調整を行っていない場合は、所得税や住民税を納めすぎているケースもあるため確定申告を行う必要があります。

再就職している場合は住民税のデータが引き継がれ、再就職先で年末調整を行ってくれるため、確定申告や住民税の申告を行う必要はありません。

住民税の申告が必要ないケース

次のいずれかに該当する場合、基本的に住民税の申告は必要ありません。

  • 個人で確定申告を行った場合
  • 本業の会社で年末調整を行っている場合

本業の会社では年末調整を行っているため、本業以外に所得がない場合は確定申告や住民税の申告は不要となります。また、本業以外の所得について個人で確定申告を行っている場合にも、税務署からの所得税を基に役所が住民税を計算するため、住民税の申告は必要ありません。

副業している場合の住民税申告・記入の方法

では、ここからは副業をしている場合の住民税の手続きや記入の方法について解説します。

 副業の所得を確認する

まずは自分の前年の所得の確認をしましょう。年間所得が20万円を超える場合は確定申告を行う必要があります。確定申告をする場合は税務署から各自治体へ情報が送られるため、住民税の申告は必要ありません。

副業の所得が20万円を超えていない場合でも副業分の住民税の申告は必要です。各自治体の役所に住民税の申告をします。また、その年に支払う住民税は前年の所得に対して支払う税金となります。

住民税の支払い方法を選択する

住民税の支払い方法には、「普通徴収」と「特別徴収」の2種類があります。

  • 普通徴収:自宅に送られてきた納付書によって自分で住民税の支払いを行う方法。一括、または6月、8月、10月、翌年の1月の年4回に分けて支払う
  • 特別徴収:会社などで働いている場合に、1年分の住民税を12分割して毎月の給与から天引きし支払いを行う方法

支払い方法は各自治体によっても異なりますが、納付書に記載されている金融機関や郵便局窓口、コンビニなどで支払うことができます。

普通徴収にできるのは給与所得以外

会社に内緒で副業をしている場合、「会社にバレたくないから普通徴収にしたい」と思う人もいるでしょう。しかし、副業の住民税を普通徴収にできるのは副業の報酬が「給与所得」ではない場合に限られます。

アルバイトやパートなど、勤め先から給料として支払われている場合は「給与所得」となるため、普通徴収を選択することはできません。

口座振替やクレジットカードで支払うことも可能

多くの市町村では口座振替やクレジットカード決済で支払いをすることができます。平日の日中に金融機関や郵便局の窓口に行く時間がないという人や、クレジットカードでポイントをお得に貯めたいという人にはそちらもおすすめです。

住民税の申告方法

住民税を申告する際は住民税申告書を各自治体の役所に提出する必要があります。住民税の手続きは確定申告と同様2月16日から3月15日までとなっています。

住民税の申告は、各自治体の市役所や区役所などに、住民税申告書と必要な書類を提出して手続きを行います。住民税申告書は役所の窓口だけでなく、各自治体のホームページからでもダウンロードすることが可能です。

現在はインターネット上でも手続きができるようになってきていますが、各自治体によっても利用できるサービスが異なります。インターネットでの住民税の申告を考えている場合は事前に確認しておくようにしましょう。

住民税申告に必要なもの

住民税申告に必要な書類は、所得を証明するためのものと各控除に関連するもの、本人確認をするためのものが必要となります。

  • 住民税申告書
  • 給与所得や公的年金等の源泉徴収票
  • その他の所得の収入額が分かるもの
  • 必要経費の領収書や納品書・帳簿など
  • マイナンバーカード(マイナンバー通知カード)
  • 運転免許証等の本人確認書類
  • 生命保険や医療保険などの証明書
  • 各控除の領収書や明細書など

住民税の申告をするためには、所得の証拠となる源泉徴収票が必要となります。不動産所得や事業所得がある場合は、その金額を証明するための領収書や帳簿などの提出が必要です。

その他、各保険や控除などの証明書など必要に応じて証明書類を用意しましょう。

また、申告する際はマイナンバーが必要です。マイナンバーカードを持っていない場合は、マイナンバー通知カードの他に本人確認ができる運転免許証やパスポートといったものが必要となります。

申告書の記入の仕方

給与や公的年金等以外の所得に対する住民税については、徴収方法を「普通徴収」と「特別徴収」の2つから選択することができます。年末調整をした会社の給与から天引きする場合は「給与から差引き」に、天引きではなく納付書によって窓口等で納付することを希望する場合は「自分で納付」に丸を記入します。

参照:国税庁ホームページ「住民税に関する事項を記入する」

副業していることを会社側にバレたくないという場合は「自分で納付」を選択しましょう。ただし、自治体によっては認められないという場合もあります。

確定申告を行う場合

副業の確定申告を行う場合は、確定申告書の第一表、第二表を使用します。

参照:国税庁ホームページ「申告書の記載例」

確定申告を行う場合は、「確定申告書第二表」「住民税に関する事項」の「自分で納付」に丸をすると、普通徴収に変更できます。

住民税の申告や納付の際の注意点

住民税の手続きや納付を行う際には、気をつけなければならないポイントがあります。特に副業や兼業をしている場合は自分で確定申告や住民税の申告を行わなければならないため、手続きのポイントを抑えておきましょう。

年末調整は1ヶ所でしか受けられない

会社員やアルバイト・パートなどの企業に雇用されている労働者は、毎月の給料から所得税が差し引かれています。これを源泉徴収といい、年末調整は会社に勤めている人が1年間に源泉徴収された所得税額を算出して納税額を決定することを言います。

会社に努めている場合は基本的に会社側が年末調整を行ってくれるため個人での確定申告は必要ありません。ただし、ダブルワークを行っている場合や会社で働きながらアルバイトなどをしている場合は年末調整ができるのは1ヶ所のみになるため、所得の金額に関わらず確定申告が必要です。

また、年末調整では給与に対しての所得税の計算の他、生命保険や扶養などの控除に対しての計算も行ってくれます。ただし、医療費控除やふるさと納税の控除など一部対応していないものもあるため、年末調整を行っている場合でも確定申告を行わなければならない場合もあります。

副業所得が20万円以下でも住民税の手続きは必要

副業の所得が20万円以下の場合は税務署での確定申告は必要ありませんが、その場合でも住民税の手続きは必要です。住民税の管轄は税務署ではなく住んでいる市町村の役所となるため、間違えないようにしましょう。自治体ホームページから住民税申告書がダウンロードできる他、インターネットから住民税の手続きを行うことも可能です。

副業をバレないようにするには納付方法を「普通徴収」に

会社に副業をしていることを知られたくない場合は、住民税の納付方法を「普通徴収」にしておく必要があります。住民税の納付方法は年末調整を行った会社の毎月の給与から天引きされる「特別徴収」が一般的となっているため、副業の形態がパートやアルバイトの人は会社に副業がバレてしまう可能性が高く要注意です。

申告や支払いの期限に注意

住民税の手続き期間も確定申告と同じように3月15日までとなっています。副業所得が20万円以下ではなかった場合でも住民税の申告は必要になるため、忘れず行うようにしましょう。

申告が必要なのに申告をしていなかった場合や申告が遅れた場合には、延滞金だけでなく無申告加算税などのペナルティが発生する可能性があります。また、納付期限を過ぎ督促状が届いても納付されない場合には財産を差し押さえられ生活に影響が出てしまう可能性もあります。

申告や納付の期限はしっかりと守ることが大切です。何らかの事情があって申告の期限が過ぎてしまった場合は、近くの区役所または市役所などにできるだけ早く相談するようにしましょう。

副業を続けていくためのポイント

最近では厚生労働省から「副業・兼業の促進に関するガイドライン」が作成されたこともあり、副業や兼業を推進する動きが高まってきています。

しかし、未だに副業が禁止や制限されているという会社が多いのが現状です。その理由として、本業への影響や競合会社への情報漏洩のリスク、社会的信用の低下などが挙げられます。

ここからは、本業とうまく両立させながら副業を行うためのポイントについて解説します。

副業する前に就業規則を確認する

まずは副業を始める前に、会社の就業規則を確認しましょう。就業規則の中に副業禁止規定が設けられていた場合、副業がバレた際や副業に関して問題が起こった際に会社側とのトラブルに発展してしまう可能性もあります。

もしも就業規則に副業禁止規定がある場合は、副業を辞めるかバレずに副業をしていくことになります。バレずに副業を行う場合は、上述した住民税のシステムや給与所得となる副業の種類に注意が必要です。

副業していることは人に話さない

副業を会社にバレたくない場合は、会社の人に副業の話をしないようにしましょう。いくら仲の良い人であったとしても、口が滑ってしまうことや飲み会などでうっかり話してしまうこともあり得ます。

家族や友人など、副業のことを話す際は必要最低限に留めましょう。

SNSに気をつける

SNSは手軽で便利なツールですが、何気ないひとつの投稿から個人が特定されてしまう可能性は大いにあります。知り合いがフォロワーにいる場合、副業先の情報や写真投稿などから副業先がバレてしまうケースもあります。

アカウント名を本名にしないことはもちろんですが、副業先が分かってしまうような情報を投稿するのは控えましょう。

まとめ

今回は住民税で会社に副業がバレてしまう理由やバレないようにするための住民税の申告や記入の方法、住民税を申告する時の注意点などについて解説しました。

  • 住民税の額から会社に副業をしていることがバレる可能性がある
  • 副業所得が20万円以下の場合は確定申告は必要ないが住民税の申告は必要
  • 確定申告を行っていれば住民税の申告は不要
  • 住民税は基本的に会社の給料から天引きされる「特別徴収」という方法で支払われる
  • アルバイトやパートなど給与所得の場合は住民税の支払い方法を「普通徴収」にはできない
  • 住民税の管轄は市町村のため、住民税の申告は市町村の役所で行う
  • 住民税の申告期限は3月15日までとなっており、申告していない場合や遅れた場合は延滞金や追加徴税といったペナルティを受ける可能性がある

副業は、収入を増加できるだけでなく自分のスキルアップや新しい人脈形成などにつながるといったメリットがあります。

ただし、副業などで収入が増えた場合は、所得に応じて確定申告や住民税の申告も必要になってきます。期限間近になって慌てないよう、日頃から収入や経費を把握しておくことが大切です。住民税は所得額に関わらず申告が必要なので、期限を守って申告するようにしましょう。

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