会社員が副業をすると節税対策になる。こんな話を聞いたことはありませんか?
年々税金は上がり、手元に残る収入は減っていく一方ですから、税金を少しでも安くすることができるなら自分も副業を始めたいと言う人も多いと思います。
ここでは、
- 会社員は副業で節税対策ができるのか
- 節税対策になる副業とはどういうものか
など具体的に書いていきます。
節税対策の為に、副業を初めてみようかと思っている人のお役に立てれば幸いです。
目次
副業をすると会社員は節税対策になるのか?
会社員が副業すると節税対策になると言われるのは、副業で出た利益より経費が多くかかった場合、その赤字額を会社の給与収入と合算して相殺し、その年度の収入のトータルを低くするすることができるからです。
それを損益通算と言います。
例えば、年収が400万円の会社員の場合、赤字額が30万円なら、
- 400万円‐30万円=370万円
となり、370万円に対して税金がかけられるようになります。
所得税はその人に対してかけられる税金なので、「給与収入と副業収入」は全てまとめて計算されます。
実際には年収400万円に対しての税金は源泉徴収と言う形で、毎月納めていますので、次の年の3月15日までに副業の収入(赤字)を確定申告することで、納め過ぎた税金の還付を受けることができます。
この仕組みが副業をすると税金対策になると言われるからくりです。
ただし、副業の収入が雑所得に該当する場合は、この損益通算は適用されません。損益通算が使えるのは副業の収入が「事業所得」に該当する時です。
会社員なら誰でも副業をして節税対策できるのか?
副業をして赤字を出すと節税対策になる、こんなおいしい仕組みは使わなきゃ損と言う気がしますが、現実は甘くはありません。
副業の赤字分を申告して還付する方法は、すでに多くの人が知っていますし、もちろん税務署もこの点についてはかなり注目しています。
副業をしていると言っても実体がない場合は、ビジネスとして認められないこともあります。
例えば、ミーティングをしたという名目で飲食代を経費にした場合、それが認められたら誰でも領収書をもらうようになってしまいますよね。
会社員が副業をしている場合それが認められるのは、以下に該当して事業所得と認められた時です。
- 実際にビジネス活動をしている
利益を追求するビジネスであること
商業的に合理的な努力をしている
継続的に活動をしている
実際にビジネス活動をしている
赤字を申告するためには、副業で実際に営業活動を行っていることが必要です。つまり、何か事業を行って、収入もあったけど経費が上回り赤字になったと言うことです。
それを確認するために、ビジネスプランやマーケティング戦略、取引記録などを提供することが税務署から求められることもあるかもしれません。
利益を追求するビジネスであること
赤字を申告するためには、副業が利益を追求する意図で行われていることが肝心です。
趣味や娯楽目的の活動ではなく、ビジネスとしての性格があることが重要です。残念ながら、自分の特技をココナラなどで販売して得た副業収入などは、趣味の範囲として扱われます。
そして何年も赤字が続いて、それを改善する努力もないとなると、節税目的の副業と思われる可能性があります。
商業的に合理的な努力をしている
赤字を申告するためには、副業を運営する上で商業的に合理的な努力を行っていることが証明できないといけません。
効率的な経営やコスト管理、市場調査などを行っている事実を、確認できるようにしておいた方が無難です。
継続的に活動をしている
赤字を申告するためには、副業が一時的なものではなく、継続的な活動であることが求められる場合があります。
長期的なビジネスプランや将来の収益性の見通しを示すことが重要です。
いつ税務署から聞かれても、自分の副業のビジネスがどういうものか、現状はどうなっているのか、経費はどんな場面で使われたのかなど、論理的に答えられるように普段から説明できるように準備しておきます。
副業と言う名目で赤字を出すように計算していると思われると、還付の対象にならない場合があります。
事業所得として認められる新たな基準
会社員の副業は「事業所得」になるか「雑所得」になるかで、節税ができるかどうかが変わります。
以前は、この線引きがあいまいで収入が少なくても、事業所得として認められることもありました。
ですが、そうした節税対策が続くと、国としては入ってくる税金が減ってしまいます。そこで、国税庁は新たに2022年10月7日にこの基準について通達改正しています。
その内容によりますと、
「その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかにより判定する」
かつ、帳簿保存がない場合は雑所得(=帳簿保存がある場合は事業所得)と判定する
(ただし、帳簿保存がない場合でも収入金額が300万円を超え、かつ事業として認められる事実がある場合は事業所得となります)
となっています。
参考
国税庁
つまり、上記で事業所得として認められるには、前述で紹介したビジネスの継続等の条件と共に、帳簿の保存、300万円以上の収入、などが新たに条件として加わっているということです。
例えば、会社から帰って寝るまでの数時間に、ライティングの副業をして月に数万円収入があってもそれは「雑所得」となり、ライティングをするために多くの経費がかかり赤字でも、節税には使えないと言うことです。
この基準は、かなり厳しいと言えます。会社員をしつつ年に300万円以上の利益をあげるビジネスと継続して展開するのは、かなり大変ですよね。
逆にこれをクリアできて、自分の副業を今後更に大きな事業として展開していく予定の人は、積極的に節税対策を行って良いと思います。
副業で節税対策をする具体的な流れ
所得税の還付を受けるためには、以下の流れで確定申告を済ませる必要があります。
- 必要な書類を準備する
- 確定申告書を提出する
- 確定申告の審査
- 還付金を受け取る
確定申告に必要な書類は、
- 収入証明書(源泉徴収票や給与明細書など)
- 副業や事業による収入がある場合収入の詳細を示す書類
- 経費の領収書(領収書、請求書、交通費の明細)
- 通信費(電話代、インターネット料金など)の明細
- 控除に関連する書類(住宅ローンの利子控除など)
- 医療費領収書
などがあります。
経費として認められるものは、
- 文房具、書籍代、セミナー参加費、交通費、打合せや情報交換のための飲食代、
営業先へのお土産、副業分に該当する家賃、水道光熱費、インターネット代、スマホ代
などがあります。
確定申告の流れ
必要な書類が準備できたら、以下の流れで確定申告をしてください。
- STEP.1確定申告書を提出する確定申告書は、税務署やインターネットを通じて提出します。
個人事業主の届け出をしている場合、確定申告書は税務署から送られてきます。
提出期限は毎年3月15日です。 - STEP.2確定申告の審査確定申告書が提出されると、副業の赤字が所得税の還付に繋がるのか税務署で審査が行われます。
申告内容の妥当性や正確性が確認されます。審査が終了するまでには時間がかかることがあります。 - STEP.3還付金の受け取り確定申告書の審査が終了し、還付金が発生した場合、
税務署から還付金が支払われます。還付金は、指定した銀行口座に振り込まれることが一般的です。
以上が確定申告から税金の還付の流れになります。
まとめ
- 副業の節税対策はまず継続したビジネスと税務署に認識される必要がある
- 副業の収入が事業所得として認められる場合は損益通算ができ節税対策に繋がる
- 副業を事業所得として認められ節税対策を行えるかの基準は国税庁により通達されている
- 節税対策として副業をする場合はしっかりとしたビジネスとして始める