住民税の均等割とは?副業にも住民税は関係するのか徹底解説!

副業を解禁する企業も多くなる中、新しく副業を始めたという人も増えてきています。副業は収入を増やせるという以外にも、自分のスキルアップや自己実現につながるというメリットもあります。

ただし、副業をする場合は増えた所得分の税金を納める必要が出てきます。特に所得税と住民税は混同しやすい税金です。副業の所得金額によって申告の有無が変わる所得税と違い、住民税は所得金額に関わらず申告しなければなりません。

それぞれで申告方法も異なるため仕組みや納税方法について理解しておくことが必要です。この記事では、住民税の仕組みや均等割や所得割といった計算方法、副業時の住民税の納税の仕方について解説します。

副業する際にかかる税金について理解を深め、節税対策を行っていきましょう。

住民税の均等割とは何か?

住民税には、所得金額に応じて負担する「所得割」と、所得金額に関わらず決められた額を負担する「均等割」とがあります。

均等割は副業所得によって変動するわけではなく、いわば地域ごとに決められている会費のようなものです。所得割と均等割を合わせた住民税が、日々の生活の中で利用している公共施設の運営費やごみ処理費用、学校教育など、住民の生活のための行政サービス活動費として使用されています。

均等割は市町村民税3,500円と道府県民税1,500円を合わせて通常5,000円とされていますが、その金額は各都道府県や市区町村によって異なります。東日本大震災後の平成26年からは、地方団体の防災費用の拡充のために市町村民税と道府県民税ともに500円ずつ引き上げられました。

各市町村に納税した住民税の中から、各市町村によって道府県民税が道府県に支払われる形となっています。

参照:総務省ホームページ「個人住民税」

住民税の仕組み

住民税は、所得がある場合その所得額に応じて収める必要のある税金です。本業の住民税は原則として会社から天引きされる形となるため手続きを行う必要はありませんが、副業をしている場合は自分自身で申告をする必要があります。

所得税との違い

まずは混同しやすい住民税と所得税の違いについて解説します。

所得税

「所得税」は、国に納める税金でありその管轄は税務署です。所得税を申告して納税するためには税務署へ「確定申告」を行い、年間の所得を申告します。

所得税の算出方法は次のようになります。

所得金額×税率−控除額=所得税

所得というのは、収入から必要経費を差し引いた金額のことです。所得税は本業と副業を合わせた全ての所得となるため、本業と副業によってそれぞれ所得税が変わるというわけではありません。

また、所得税の対象となるのは本業や副業の給与だけでなく、それぞれの分野で10種類に分けられています。

  • 利子所得:預金利息や一部の投資信託の分配金など。あらかじめ源泉徴収されているものもあるため、所得税の課税対象にはならない
  • 配当所得:企業からの配当金や特定投資信託の分配金など
  • 不動産所得:アパートやマンションの部屋や土地などの賃貸業で得た所得
  • 事業所得:個人事業主が農業・漁業・製造業・卸売業・小売業・サービス業その他の事業で得た所得
  • 給与所得:本業での給与や賞与、副業でパートやアルバイトで得た給与。合計した給与所得からあらかじめ決まっている給与所得控除額が差し引かれた金額が課税対象の所得税となる
  • 退職所得:会社を退職する時に支払われる退職手当や一時金のこと
  • 山林所得:山林を伐採して譲渡した際に生じる所得のこと
  • 譲渡所得:土地や建物などの資産を譲渡して得た所得
  • 一時所得:懸賞や福引の賞金や、競馬・競輪の払戻金など一時的な所得のこと。営利目的でないという性質がある
  • 雑所得:公的年金や副業所得など、上記の所得のいずれにも該当しない所得のこと

参照:国税庁ホームページ「No.1300 所得の区分のあらまし」

日本では所得税には累進課税制度が取られているため、所得金額に応じて税率が異なり、5%から7%まで7段階に区分されます。上記の所得額の合計に応じた税率をかけることで所得税を求めることが可能です。

課税対象の所得金額 税率 控除額
1,000〜1,949,000円 5% 0円
1,950,000〜3,299,000円 10% 97,500円
3,300,000〜6,949,000円 20% 427,500円
6,950,000〜8,999,000円 23% 636,000円
9,000,000〜17,999,000円 33% 1,536,000円
18,000,000〜39,999,000円 40% 2,796,000円
40,000,000円以上 45% 4,796,000円

参照:国税庁ホームページ「No.2260 所得税の税率」

副業などの所得がある場合、確定申告で所得税を求め所得税を支払う義務が生じますが、本業以外の所得が20万円未満の場合は所得税率が上がるケースは少ないため、基本的に確定申告をする必要はありません。

ただし、本業以外の所得が20万円以上ある場合や副業がアルバイトやパートで給与所得になっている場合には所得税が加算されるため確定申告が必要です。副業の収入が20万円以下であっても、本業の収入が2,000万円以上の場合や、医療費控除・住宅ローン控除などを受ける場合などにも確定申告をする必要があります。

また、基本的に本業の会社では年末調整を行ってくれますが、何らかの事情で年末調整できていない場合は、本業と副業の所得を合わせて申告することが必要です。

副業の確定申告の方法には「青色申告」や「白色申告」といった種類があります。青色申告の方が税制上優遇されていますが、申告書の書き方が複雑であったり個人事業主としての登録が必要だったりなど手間がかかるというデメリットもあります。

白色申告は手続きの仕方がシンプルで簡単というメリットがある分、青色申告のような特典は受けることができません。確定申告を行う場合は、日頃から経費や収支の把握をしておき、スムーズに確定申告の手続きが行えるようにしておきましょう。

住民税

住民税は住んでいる地域に支払う税金であり、その管轄は各市町村になります。前年の所得に応じて決められる所得割と、地域によってあらかじめ決まっている均等割によって住民税額が決定されるので、現在の所得の有無に関わらず納税が必要な税金です。

住民税額は基本的に「所得割+均等割」から算出されますが、利子所得や配当所得、譲渡所得等の特定所得がある場合はその金額が加算されて住民税額を決定します。

所得割は給与所得から所得控除を差し引き、県民税4%・市民税6%の合計10%の税額をかけて算出されます。また、控除項目がある場合は、所得割から控除を差し引いて計算します。

住民税の計算方法

住民税の金額は所得の約1割がだいたいの目安です。住民税は所得割と均等割の合計から算出され、特定の所得がある場合に税額に加算される仕組みとなっています。

住民税=所得割+均等割+利子割+配当割+株式等譲渡所得割

住民税を計算する際は、まず自分の本業と副業の所得を合計した総所得金額を求めましょう。その所得金額から所得控除を差し引くと課税所得額が分かります。

副業時の住民税の納付方法

副業分の所得についても住民税の対象となるため、正しい所得を申告して納税することが必要です。

とはいえ、すでに住民税は本業の会社から天引きされているので、副業分の住民税が会社から追加で天引きされるのか、あるいは自分で直接支払う必要があるのか納付の仕組みが分からないという人もいるのではないでしょうか。

ここからは副業分の住民税の手続きや納税方法について解説していきます。

住民税の詳しい申告の仕方については以下の記事でも解説していますので、合わせて御覧ください。

住民税で副業がバレる?会社にバレない申告書の記入方法を解説

副業の所得の種類を確認する

まずは自分の所得がどの種類にあたるのかを確認しましょう。副業の所得は主に3種類に分けられます。

  • 給与所得
  • 事業所得
  • 雑所得

給与所得として申告する場合はそれぞれの会社からもらう源泉徴収票が必要です。平成31年度の税制改正から源泉徴収票の添付は不要となり、保存する義務もなくなってはいますが、確定申告書に源泉徴収票の内容を記載しなければならないため、確定申告には源泉徴収票が必要不可欠となります。

副業のアルバイトやパートなどであっても、雇い主は全ての従業員に源泉徴収票を発行する義務があるため、もしも発行されていないという場合は申請して発行してもらいましょう。

給与所得以外の業務委託契約などの副業の場合は源泉徴収の義務はないため、収入や経費を自分で計算する必要があります。事業所得や雑所得では、副業に使った経費を確認する領収書やレシートを利用して所得を計算します。

副業所得の申告を行う

副業の所得がある場合は、まず所得金額に応じた場所で申告を行う必要があります。

副業の所得が20万円以上ならば、税務署で確定申告を行いましょう。確定申告をすることで税務署から市町村に対して住民税額が伝えられるため、わざわざ役所に出向いて住民税の申告を行う必要はありません。

副業の所得が20万円に満たない場合は確定申告を行う必要はないですが、役所へ行って所得を申告する必要が出てきます。期限は確定申告と同様で、基本的に2月16日〜3月15日までの間です。

確定申告が必要ないため、住民税の手続きもいらないと思っている人が多いですが、住民税は所得金額に関わらず支払わなければならないので注意しましょう。

住民税の申告の際は、源泉徴収票などの所得を証明する書類のほか、各控除書類やマイナンバーカードなどの本人確認書類が必要です。

住民税の支払い方法は2種類

住民税の支払い方法は以下の2種類に分けられています。

特別徴収

特別徴収とは、本業の会社の給料から毎月天引きされる形で納税する方法です。副業でもアルバイトやパートなどの給与所得の場合は原則として特別徴収となっており、毎月の給料明細に記載されています。

特別徴収では例年6月〜翌年の5月にかけて12分割された金額が徴収されます。住民税の未払いや払い忘れなどのリスクを減らすことができるため国が推奨している方法でもあり、納税者の負担を軽減できるといったメリットもあります。

本業の会社に内緒で副業をしている場合は、住民税額の増加から副業がばれてしまう可能性もあるため注意が必要です。

普通徴収

普通徴収は、送られてきた納付書を使って自分で支払いをする納税方法です。住民税の納付書は4期に分けられており、第1期が6月末、第2期が8月末、第3期が10月末、第4期が1月末と期限が設けられていますが、一括でも支払うことはできます。銀行窓口やコンビニでの支払いや口座振替などで支払うことが可能です。

納税方法を普通徴収にする場合は、確定申告の「第二表 住民税に関する事項」の表の中にある「自分で納付」の隣の欄に丸を記入します。

参照:国税庁ホームページ「住民税に関する事項を記入する」

納税方法を普通徴収にしたとしても、給与所得の場合は基本的に自分で納付することはできません。

住民税額を確認する方法

住民税額は、申告された所得を基に市町村が決定します。決まった住民税額は例年6月頃に市町村から送られてくる「住民税額決定通知書」で確認することが可能です。

副業時の住民税納付の注意点

副業している場合、住民税の納付をする際に気をつけたいポイントを解説します。

住民税の納税先は1月1日に住所がある市区町村になる

年の途中で別の県へ引っ越ししているケースでは、1月1日時点で住所があった自治体に住民税を納めます。

引越し先で転出・転入届を提出しておけば、役所が納税先の切り替えや計算を行ってくれるため、個人で特別な手続きをする必要はありません。

ただし、届け出を出さずに以前の住所のままになっている場合、以前の住所がある自治体に住民税を納めることになり、現在の住所の自治体へ支払うべき住民税を納めていないことになるために過料が掛かるケースもあります。

退職時は納付の仕方が異なる場合もある

会社を退職する場合、そのタイミングによっては納付の仕方が異なる場合もあります。

1月1日〜5月31日の間に退職する場合

1月1日〜5月31日までの間に本業の会社を退職する場合は、退職日から5月までの住民税が給与から一括で徴収されます。例として3月31日で退職するといった場合は4月に支払われる給料や退職金から4月分と5月分の住民税が一括で徴収されるという仕組みです。

一括徴収できなかった場合は普通徴収に切り替わるため、副業分の住民税とあわせて納税を行う必要があります。

6月1日〜12月31日の間に退職する場合

6月1日〜12月31日までの間に本業の会社を退職する場合は原則として普通徴収になりますが、すぐに転職した場合は前会社から引き継いで特別徴収にすることも可能です。副業分の住民税を普通徴収にしている場合は、住民税の納付書に従って住民税の支払いを行う必要があります。

また、退職前に会社に申し出ることで、翌年5月までの住民税額を給与から一括で徴収してもらうこともできる場合もあります。

クレジット払いは領収書が発行されない

自治体によっては、住民税をクレジットカードで支払うことができる場合もあります。クレジット払いができればカードのポイントを貯めることができるのでお得ですよね。

ただし、クレジット払いの場合は領収書が発行されません。支払いの内容を確認するためには、カードの利用明細からの確認や役所で納税証明書発行の手続きを行うという方法があります。

住民税の未申告は脱税行為になるため注意

確定申告と住民税の申告を同じように考えている人も多いですが、副業の収入が少額だったとしても住民税の申告は必要です。住民税は所得金額に関わらず納めなければならない税金なので、所得があるのにそれに応じた住民税を納めないのは脱税という犯罪行為にあたります。

もしも申告していない所得があることが分かれば延滞金を課される可能性もあり、その場合税率は最大14,6%に跳ね上がってしまいます。申告が遅くなるほど延滞料金も多くなってしまうため、適切な所得を忘れずに申告するようにしましょう。

住民税に影響しない副業はある?

上述したように副業での収入が少しでもある場合は住民税の対象となりますが、一般的に副業とみなされない方法で収入を得られるとして次のようなものがあります。

不用品の販売

フリマアプリなどを使用して、生活の中で不要になった物を販売するという行為は副業にはあたらず、非課税となります。そのため、不用品を販売して得た収入については申告する必要がないため、住民税の対象とはなりません。

ただし、不用品販売に似ている副業として「せどり」があります。せどりは安く仕入れた物を高く売って利益を得る営利目的の仕事となるため、雑所得に含まれます。住民税の申告を行うことはもちろんのこと、年間所得が20万円を超えた場合は確定申告も必要になります。

株式や投資信託

株式や投資信託などの資産運用も一般的に副業とみなされないことが多いため、副業が禁止されている場合にもおすすめです。

投資を始める場合はまず証券会社に口座を作りますが、口座の種類には「特定口座」と「一般口座」の2種類があり、特定口座には源泉徴収の有り無しを選ぶことができます。

特定口座で源泉徴収を有りにすると利益分の税金があらかじめ源泉徴収されるため、確定申告は不要です。

まとめ

今回は住民税の均等割についてや住民税の仕組み、所得税と住民税の違いなどについて解説しました。

  • 住民税の均等割は、副業しているいないに関わらず負担しなければならないものである
  • 均等割の金額は市町村ごとに一定額が決められており、所得によって変わるものではない
  • 所得税と住民税は混同しやすいが全く異なるものである
  • 年末調整していない所得が20万円以上なら確定申告が必要になり、その場合は住民税の申告は必要ない
  • 年末調整していない所得が20万円未満で確定申告を行っていない場合は市町村役場に住民税の申告を行うことが必要
  • 住民税は「所得割+均等割」から税額が決定され、その他の所得がある場合は追加して計算を行う
  • 住民税の金額は所得の約1割が目安
  • 住民税の納税方法には「特別徴収」と「普通徴収」の2種類がある
  • 副業していることが本業の会社にバレたくない場合は自分で納付する方法を選択するのがベター
  • 給与所得の副業の場合は普通徴収を選択することができない
  • 住民税の未申告は脱税行為に当たり、延滞金を請求される可能性もあるため注意する
  • 住民税の納付先は1月1日に住所があった自治体となる
  • 会社を退職した場合は、その日付によって支払い方法が異なる場合がある
  • 住民税は口座振替やクレジットカード払いで支払うことも可能

住民税の均等割は、所得に関わらずその地域ごとに金額が決められています。住民税は福祉や教育、行政サービスなどに利用される地域の人々の暮らしを守るためのものです。

副業で得た収入は、その金額に関わらず住民税に反映されます。確定申告が必要ない場合は住民税の申告を忘れてしまいがちですが、住民税の納税は国民の義務であるためきちんと申告・納税するようにしましょう。

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