現在も急成長を続けているIT業界ですが、IT業界を支えるIT人材の需要は増えているにもかかわらず、供給は全く足りていないという話を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか?
そんな人気の業界に転職したいけどその実態を詳しく知らずに転職活動をするのは流石に不安ですよね。
今回の記事は
- 人気のある業界に転職したいけど将来性が不安
- IT業界って本当に需要があるの?
- IT業界の需要は本当になくらないの?
こういった疑問を持つ方向けに記事を書きました。
目次
IT業界の需要は増えている
結論から言いますと、IT業界の需要はあります。需要があるというのはもちろんですが、IT人材の供給が足りていないのです。
これは経済産業省による公式データでも公開されている事実で、少し前の調査データではありますが2016年時点では17.1万人不足、2020年には36.9万人不足、2030年には78.9万人のIT人材が不足するだろうと予測を立てています。参考:経済産業省(IT分野について)
では、なぜこのような事態が予測されているのでしょうか?そう言える理由は以下の3つになります。
- IT業界が成長している
- IT業界に対するネガティブなイメージ
- 技術の変化が早い
順番に詳しく説明していきます。
IT業界が成長している
IT業界(情報通信産業)の市場規模は、国内では最大の規模を誇っており、日本の産業の約10%を占めています。参考:(総務省「平成30年度 ICTの経済分析に関する調査」)
今やIT技術は我々の生活とは切っても切り離せないものとなっています。スマートフォンやインターネット、SNSはもちろんですが、これからは自動車や家電などの製造分野だけではなく、医療分野にもIT技術が応用され、進化していくだろうと予想されています。
つまり、IT技術は他のあらゆる業界においても必要とされる技術となるため、自然とIT人材の需要は増加していくのです。
IT業界に対するネガティブなイメージ
IT人材の供給が増えないという理由の中にはIT業界に対するネガティブなイメージがあるというものがあります。
一部ではIT業界は「新3K」(きつい、帰れない、給料が安い)と言われています。エンジニアの仕事の構造上、元請けから下請けに仕事を流すという形になっているため、下請けの会社の中には低い給料で長時間労働を強いられるエンジニアやプログラマーが生まれてしまいます。
そのようなIT業界のブラックな一面がネットの書き込みなどによって拡散され、ネガティブなイメージが定着してしまうほどになってしまったわけです。
技術の変化が早い
IT業界の技術は常に進化し続けています。特にWebアプリやIoT技術は凄まじい勢いで発展しており、エンジニアやプログラマーは常に新しい技術を身につけなければ仕事ができません。
高齢の技術者はそのような変化に対応できない人が多く、企業は若く優秀な技術者を求めているため、高単価な報酬を支払い、技術者の取り合いが起こってしまっています。
IT業界で今後も需要のある職種
IT業界で働く人はシステムエンジニアだけではありません。IT業界には様々な職種のお仕事やエンジニアの種類が存在します。
その中でも、今後需要が増えていくであろうと考えられている職種を3つ紹介します。
セキュリティエンジニア
今やほとんど全ての企業が個人情報や会社情報を取り扱っています。そのような厳重に管理する必要のある情報を保持する企業にとって、セキリュティ対策は必須です。
しかし、サイバーセキュリティを攻撃する技術も高度になってきており、近年では、企業の機密情報を盗み取られるという事件や銀行口座に不正にアクセスされるような犯罪事件が横行しています。
したがって、そのような高度な犯罪技術に対抗できるセキュリティエンジニアの需要が高まっているのです。
機械学習エンジニア
機械学習エンジニアとは、コンピューターに命令やデータを与え、知能を向上させる技術を持つエンジニアのことを指します。
AIは現在でも金融、流通、小売、医療、製造業など様々な業界で利用されている分野です。さらに、今後は身の回りのあらゆるものがAI化されていくだろうと言われているので、機械学習エンジニアの需要は増していくでしょう。
クラウドエンジニア
AIの分野と同じく、クラウドは現在注目されいます。なぜなら、様々な企業でインフラ環境をパブリッククラウドに移行するという事例が増えいるからです。パブリッククラウドに移行することで、企業はネットワーク機器やサーバなどを購入する費用を削減できるため、クラウド市場は今後も拡大していくと予想されます。
クラウド市場が伸びていく反面、クラウドに強みを持つクラウドエンジニアの数が圧倒的に足りていないため、将来は有望と言えるでしょう。
IT業界の課題
日本のトップ産業であり、華やかなイメージのあるIT業界ですが、そんなIT業界にもマイナスな一面はもちろんあります。1つずつ見ていきましょう。
人材の不足が続く
転職希望者にとってはチャンスではありますが、IT業界の慢性的な人手不足はこれからも続いていくとされています。
最近では、小学校でのプログラミング教育が義務化されるなどの対策が施されていますが、日本は少子高齢化ということもあり、その効果もあまり期待できないものかもしれません。
エンジニアの長時間労働
人手不足が原因で起こることの課題が、エンジニアの長時間労働です。現在いる限られた人数で仕事をこなさなければならないため、当然一人当たりの労働時間も増えてしまいます。
また、上でも説明しましたが、業界の構造が多重下請け構造になっているため、下請けに所属するエンジニアや営業が無理な納期設定の案件を請け負ってしまうことにより、エンジニアの労働時間が増えてしまうのです。
IT業界の需要は今後も無くならないのか?
ここまで、IT業界に需要がある理由について書いてきましたが、一部ではIT業界には未来がないという意見も存在します。それはどんな理由からなのでしょうか?
理由の一つにAIが仕事を奪うからというものがあります。これまで人間がしていた仕事をAIの登場によって単純な作業が代替されていくという流れは現代でも起きていますが、プログラマーの仕事もAIの登場によって徐々に減っていくだろうと考えられています。
しかし、全ての技術者の仕事を奪うわけではありません。確かに単純な作業は奪われるかもしれませんが、クリエイティブな仕事はAIにはできないからです。
プログラマーのような設計図通りにコーディングをしてく単純な仕事はAIに代替されやすいですが、システムエンジニアのようなコミュニケーションを重要とする仕事は今後も残り続けます。
システムエンジニアとは、簡単に言えばプログラマーに渡す設計図を作る仕事をする人です。その設計図を作るには、クライアントの要望を聞き出す、要望を満たすシステムを設計する、プロジェクトを達成するためにチームをまとめるなど、とてもAIにはできないような複雑な工程を要します。そのような複雑な仕事ができるAIは存在しないのです。
まとめ
IT業界は今後も成長していく可能性が高く、それとともにIT人材の需要も安定的に増えていくことが予想されます。さらに日本では少子高齢化の影響もあり、今後需要と供給はさらに乖離していくことから、転職希望者にとってはチャンスになるでしょう。
一方でAIの登場でプログラマーの単純な仕事が淘汰されていくという予測はありますが、それは他の業界でも同じことが言えます。そのような不安定な業界よりも将来性が、ある程度はっきりしているIT業界の方が安全と言えるのではないでしょうか。