私たちは、ビジネスや自己研鑽などにおいては目的や目標を持って活動しています。そして目的を達成するには、漫然と活動するのではなキチンとした管理プロセスを導入して活動するのが早道です。
PDCAサイクルは管理手法として日本ではなじみの深いものです。しかし、PDCAのやり方によってはコストも手間もかかり、言うは易し行うは難しといった事になりかねません。
ここでは、PDCAサイクルを効果的に実施するための進め方および書き方を説明します。
PDCAサイクルを導入して効果を得るための参考として、ぜひ読んでみてください。
PDCAとは?
PDCAは「Plan(実施計画)」、「Do(計画実行)」、「Check(実行結果のチェック)」、「Action(改善)」の4つのステップの頭文字をつなげたもので、目標達成や業務改善、成果向上のための管理手法で、「PDCAサイクル」とも呼ばれますす。
PDCAサイクルというと、科学的な管理手法と難しく考えがちです。しかし、私たち人間は、実は日常の暮らしや活動の中で自然にPDCAを回しているとも言えるのです。
私たちの身体は自然とPDCAサイクルを回している
例えば人間の身体は歩いている間にPDCAサイクルを回して、ばったりと倒れないように、蛇行しないように、足を運んで目的地まで進んでいるとも言えます。
- ・目的に向かって歩くために、歩行スピードや歩行経路を決めて歩き方を決める。
- ・実際に、左右の足を順に運んで歩を進める。
- ・問題なく足が運べて、思ったどおりに進めているかチェックする。
- ・足の運びなど、到着に間に合うように、楽に歩けるように歩き方を修正する。
- ・上記のステップを目的地に到着するまで繰り返す。
このように、私たちは無意識のうちにPDCAサイクルを回しているのがお判りいただけると思います。
ほうれん草はPDCA記録の一環
新人研修などでは、ビジネスマナーとしてホウレンソウ(報告、連絡、相談)が重要であることを学びます。実は、このホウレンソウはPDCAサイクルにおける記録のコツを示すものとも言えるです。
- ・ホウレンソウを行なわない人はPDCAの記録を行なわないのと同じ
- ・どうでもいい事までホウレンソウの対象とするのは「記録のための記録」と同じ
- ・的を得たホウレンソウができる人は無理なく(=低コスト)かつ効果的にPDCAが回わせる
いかがですか? 進捗報告などの場面を思い浮かべると納得していただけるのではないでしょうか。
CheckやActionの手間がないのが理想だが
最初のPlanをその通りに実行することで目標が達成できてしまい、CheckやActionのステップでPlanやDoのステップを修正する必要がないのが理想的な計画ですね。しかし、現実にはそううまくはいきません。
環境変化などを反映する必要性などとも相まって、CheckとActionのステップにおいてPlanやDoのステップに修正が加わるので現実です。
PDCAサイクルをうまく回せない原因
PDCAサイクルをうまく回せない要因は、個別事情にもよりいろいろあるでしょう。以下によく見受けられるものをピックアップします。
そもそも何を目標にPDCAサイクルを回すのかがあいまい
管理のための管理にならないようにするには、目標を誰もが分かるように記述する必要がありますね。
- ・目標の記述が定性的な表現で読む人によって解釈が異なる
- ・目標を達成の判定基準がそもそも設定されていない
- ・目標達成基準がぐたいてきでなかったり、定量化されない
Planが具体的でなく何をすればよいかが明確でない
Planが明確で具体的でない場合、人によって的外れな行動を行なう可能性も。
- ・実施項目の記載が具体的でなく、何をすればよいかわからない
- ・実施項目が実際に実施可能なレベルまで具体化されていない
PDCAサイクルとしてやることが多すぎる
PDCAは管理のためのツールです。本末転倒とならないように注意しましょう。
- ・実施項目が多すぎると本来やるべきことを圧迫する
- ・実施項目が多すぎると消化できずPDCAサイクルが回らない
PDCA活動で記録項目多すぎる。
あまり細かく綿密に記録することを求めるとあぶはち取らずになってしまう可能性も。
- ・活動記録の負担が多すぎて記録に漏れができてしまう。
- ・PDCA記録があいまいなため、CheckやActionで有効な結果が得られない
PDCAサイクルをうまく回すためのポイント
記載に当たっての留意事項
PDCAは目標達成のための継続的な管理手法
PDCAサイクルをうまく回すためのポイントは継続です。
PDCAは1サイクルで終わるものではなく、目標を達成するまでの期間、何サイクルも回すことが必要。
例えば、プログラミングスキルの向上であれば、向上させたいスキルなどを目標の対象として、継続的なプログラミングの実践に適用するのがよいでしょう。
適用対象の業務にマッチしたテンプレートの採用
いろんなPDCAテンプレートが提案さていますが、対象業務に応じた選択肢を定めるなどで業務特性を反映した記録ができるテンプレートを用意することが望ましいですね。
これにより、記録の手間を減らせますし、改善事項などの把握を容易にすることが可能です。
記録する事項を必要最低限に留める
管理のためのツールですので、記録するのため情報収集などに手間がかかり過ぎたりでは、負担が増すからで長続きしませんよね。負担を軽減するために記録すべき事項はなるべく最小限に絞るようにしましょう。
記録の頻度は本来業務の合間に無理なく実施可能な頻度とする
管理作業の負担を軽減する工夫がされていて、継続的な記録を可能としましょう。例えば、日次、週次、月次といった管理リサイクルを併用する
PDCA各ステップのポイント
Plan 記述のポイント
Planでは、まず対象とする業務や達成すべき目標を具体的にしたうえで計画をたてます。
以下の項目について記載します。
- ・目標内容の記載:いつまでに、なにを、どこまで
- ・実施事項の記載:どのような方法で取り組むかの基本方針
- ・スケジュールの記載:やることとスケジュール
- ・想定されるリスクや障害の記載:実施時のリスク管理
記載に当たっては以下の点に留意しましょう。
- ・「誰が(Who)」「いつ(When)」「どこで(Where)」「何を(What)」「なぜ(Why)」「どのように(How)」「いくらで(How much)」といった5W2Hを参考に具体化する
- ・目標の実施規模や実施期間によって目標の細分化を図り、ToDoリストなどに落とし込む
- ・数値目標などで具体的に設定する
- ・やらないことを明確にしておく
- ・緻密にし過ぎない。また、仮説でもよいと考えて記載しておく
- ・スケジュールには余裕をいれておく。
Do記述のポイント
Planで明らかにした計画を順に実行していきます。
- ・目標に対しての進捗度や結果を可能なら数値を入れて定量的な表現で記録する
- ・計画通りに進まない場合にも、その旨を記録して次の項目実施へ移る
Check記述のポイント
Doで実施したことの結果を整理し、結果の分析内容を記録します。
- ・実施結果の達成度を具体的に記述する。
- ・できた理由、できなかった理由などの分析結果を記述する
- ・分析に際しては分析の視点も記述しておく
- ・可能なら複数の視点での分析結果を記述する
Action記述のポイント
分析結果に基づき、継続的すべき事項、改善すべき点を考え、次のPlanに反映します。
- ・改善点を次サイクル以降のPlanに反映した形で記述する
- ・改善点は具体的・個別的に記述し、できないことを書かない。
まとめ
いかがでしたか? 今回は、PDCAを回すための工夫、特に、PDCAに係る記録の仕方について説明しました。
PDCAという管理リサイクルは日本ではなじみのあるものですが、管理手法であるがゆえ、おざなりになりがちなこともあります。
IT関連プロジェクトにおいては、適切な管理方法を導入しないと失敗に終わる可能性が高いです。PDCAサイクルを参考に、効率的で効果的な管理を行ないましょう。
この記事が、管理手法としてのPDCAの適用についてお役に立てば幸いです。