「副業で少しでも生活費を稼ぎたい!」「自分のお小遣いを副業で稼ぎたい!」
このような理由で副業を始める人が多いと思います。稼ぐならたくさん稼ぎたくなりますが、現在旦那さんの扶養に入っている人は要注意ですよ。
「○○円の壁」という言葉を聞いたことがありませんか?一定以上の収入を得てしまうと扶養ではなく健康保険に加入する必要が出てきます。
せっかく副業で稼いでも保険に加入することで思ったほどの収入にならなかった、といったことがないように記事を読んで扶養の範囲を確認しておきましょう。
目次
現在扶養されている人は要注意!壁って一体何?
「少しでも家計の足しに・・・・・・」と副業やダブルワークをしている人もいるかと思いますが、一定以上収入を得てしまうと社会保険に加入する必要が出てきます。
そうなると扶養に入っていた人は扶養からはずれて、自分の分も社会保険料を支払うことに。頑張って稼いでも保険料を支払うとそんなに収入が増えなかったなんてこともあり得るので注意が必要です!
社会保険に加入するということは扶養から外れるということ。どうしても扶養内で働きたいという人は気をつけましょう。
よく「○○円の壁」と聞きますが、実は壁には以下の2種類あります。
- 社会保険の壁
- 配偶者控除の壁
それぞれ詳しく解説していくので、自分はどのように働きたいのかを確認してみてください。
社会保険の壁
扶養控除のひとつとして「社会保険上の扶養」があります。ある一定の条件を満たすまでは、社会保険上も納税者の扶養に入ることができる制度です。
「106万円の壁」と「130万円の壁」に注意が必要です。
106万円の壁とは
106万円の壁とは、「年収が106万円を超えると、健康保険や厚生年金の加入義務が発生する可能性がありますよ」というラインになります。実際には以下のようないくつかの条件があります。
- 所定労働時間が週20時間以上
- 1ヶ月の賃金が8.8万円(年収106万円)以上
(賞与や残業手当、通勤手当などを含まない) - 2ヶ月以上の雇用期間が見込まれている
- 学生(夜間・通信制・定時制を除く)ではない
- 従業員数が101人以上、または100人以下でも社会保険加入に合意している
※2024年10月以降、従業員数101人以上から51人以上へと範囲が拡大される予定
健康保険や厚生年金に加入すると、給料が保険料から天引きされてしまうため手取り収入が減少します。
しかし、実は将来もらえる年金が増えたり、傷病により休業した時などに手当が支給されたりするなどのメリットもあります。
130万円の壁とは
前述した「106万円の壁」の条件に該当しない人は130万円までは稼ぐことができます。
しかし、年収が130万円を超えると納税者(扶養者)の扶養から外れてしまうことに。扶養から外れると、健康保険と年金はご自身で加入して支払わなければなりません。
健康保険は国民健康保険か勤務先の健康保険に。年金は国民年金か勤務先の厚生年金に加入し、保険料を支払う必要があります。
配偶者控除の壁
配偶者控除を受けることができる目安として、「103万円の壁」「150万円の壁」「201万円の壁」というものがあります。
配偶者控除は「配偶者控除」と「配偶者特別控除」の2種類に分かれます。
- 配偶者控除:配偶者の年収が103万円以下の場合、納税者の税金が年間で最大38万円の控除を受けられる
- 配偶者特別控除:配偶者の年収が103万円超えて201万円以下の場合、納税者の税金が年間で最大38万円の控除を受けられる
どちらも納税者の年収が1,220万円を超えると控除されなくなります。
配偶者特別控除の場合、150万円までは最大38万円控除されます。ただし103万円を超えると所得税が発生。150万円を超えると徐々に控除額は減っていき、201.6万円を超えるとゼロになります。
配偶者控除の対象
配偶者控除の対象は、年収と次の条件を全て満たしている必要があります。
- 民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しない)
- 納税者と生計を共にしていること
- 年間の給与収入が103万円以下(合計所得金額が48万円以下)
- 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと、または白色申告者の事業専従者でないこと
2018年以降は納税者の年収が1000万円を超えると配偶者控除を受けることができなくなりました。
参考 配偶者控除国税庁社会保険に加入する条件とは
扶養内で生活していたけど収入が増えて社会保険に加入する必要が出てくる可能性もありますよね。社会保険に加入する条件を確認していきましょう。
- 1週間の所定労働時間および1ヶ月の所定労働日数が、一般社員の3/4以上
- 以下の短時間労働者の要件に全て該当すること
- 所定労働時間が週20時間以上
- 月額給与が8.8万円(残業・通勤・ボーナス等含まない)以上
- 2ヶ月以上の雇用が見込まれること
- 常時101名以上雇用している企業に勤めていること
- 学生でないこと
現行は「常時101名以上雇用している企業に勤めていること」ですが、2023年10月以降は「常時51名以上雇用している企業に勤めていること」に変更されます。
従業員数がそこまで多くない企業に勤めているパート、アルバイトの人は社会保険に加入する必要が出てくる可能性があるので注意しましょう。
副業で社会保険に加入するメリット・デメリット
社会保険に加入するとなると収入が減るためデメリットしかない感じもしますが、実はメリットもあります。メリット・デメリットについて確認してみましょう。
メリット
副業で社会保険に加入するメリットとして以下の2つがあげられます。
- 国民健康保険にはない給付をうけることができる
- 将来もらえる年金が増える
国民健康保険にはない給付をうけることができる
社会保険に加入すると「傷病手当金」や「出産手当金」の給付を受けることができます。これらは社会保険に加入すると「雇用保険」という制度がありこちらから給付されるものになります。
傷病手当金など聞いたことがある人もいると思いますが、国民健康保険の人にはない制度となります。
- 傷病手当金:ケガや病気で長期間働けなくなった場合の保障
- 出産手当金:出産のために働けなくなった場合の産休中の保障
加入する保険者にもよりますが、多くの場合休む前に支給されていた給与の2/3の金額が支給されます。
どちらもやむを得ない理由での休業なので保障があるのはありがたいですよね。その他、人間ドックを受ける場合の補助金など手厚い補助を受けることができます。
将来もらえる年金が増える
社会保険に加入すると厚生年金を支払うことになるので、おのずと将来もらえる年金支給額が増えます。
厚生年金は加入期間が長ければ長いほど年金額が増えるためメリットとしては大きいでしょう。
もし副業やダブルワークを辞めたとしても社会保険に加入できるところを選んでおくと将来安心ですよ。
デメリット
副業で社会保険に加入するデメリットとして以下の2つがあげられます。
- 手取り収入が減ってしまう
- 副業が会社にバレる可能性がある
手取り収入が減ってしまう
給料から社会保険料が引かれてしまうため、手取り収入が減ってしまいます。私もパートで働いていますが、毎月なぜこんなに引かれるのかと悲しくなってしまいます。
2つの職場で社会保険に加入した場合は、それぞれの職場の報酬月額を合算した金額を元に社会保険料を算出するため余計に多く保険料を支払うことに。
例として、職場Aの報酬月額が18万円、職場Bの報酬月額が12万円だった場合の社会保険料は下記のようになります。
報酬月額合計(18万円+12万円=30万円)×社会保険料(約14%)=社会保険料(約4.2万円)
月に30万円稼いだとしても社会保険料で毎月約4.2万円が給料から天引きされてしまいます。
多くの人が今の収入を増やしたいと考えて副業をしているため、いくら働いてもその分多い金額が引かれてしまうと意味がないですよね。
いくら将来年金が多くもらえるとわかっていても大きなデメリットとなります。
副業が会社にバレる可能性がある
副業としてダブルワークをして両方の会社の社会保険に加入している場合は会社にバレます。
複数の社会保険に加入すると「健康保険・厚生年金保険被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」をそれぞれの会社経由で保険者へ提出する必要があるからです。
近年、働き方改革により副業や兼業を認める会社は増えてきていますが、実際はまだ7割以上の企業はダブルワークを認めていません。
副業を認めている企業なら大丈夫ですが、認めていない会社の場合は副業がバレてしまうと注意勧告やそれ以上の処分を受ける可能性もあります。
副業やダブルワークを始める前には必ず会社の就業規則を確認しましょう。
参考 副業がバレやすい原因とは?バレずに副業するためのポイントも解説ウェブカツBLOG新たに健康保険に加入しないで副業する方法
副業やダブルワークで2つの社会保険に加入するメリット・デメリットを確認しましたが、実は社会保険に加入しなくても副業をする方法があります。
副業で得る所得が「事業所得」や「雑所得」となる場合は、新たに社会保険に加入する必要はありません。本業の社会保険にのみ加入するため手続きは不要で、社会保険料が増える心配もありません。
もし副業の収入が増えて、本業を辞めることになった場合は国民健康保険と国民年金に加入する必要があるので気をつけましょう。
個人事業主の場合
前述していますが「事業所得」として所得を得る、「個人事業主」であれば新たに社会保険に加入する必要はありません。
個人事業主の種類は以下のようなものがあります。
- 画家、写真家、作曲家
- 株やFXなどを売買する投資家
- フリマサイトなどでの販売
- (自分自身で)通販サイトやアフィリエイトサイトの運営
最近では副業も多様化しているため自宅にいながらでも十分に稼ぐことができます。
社会保険の手続きは必要ないですが、収入があれば所得税や住民税が変わります。確定申告が必要になるので気をつけましょう。
「社会保険適用条件」に該当しないように働く
パートやアルバイトで働いたとしても、前述した「社会保険適用条件」の条件を満たさなければ社会保険に加入する必要はありません。
そうなると労働時間はかなり限られてしまうためたくさん稼ぎたい人にはおすすめできません。
まとめ
今回は副業やダブルワークで扶養内で働く場合の注意点や2つ以上の社会保険に加入した場合のメリットやデメリットについて紹介してきました。まとめると以下のようになります。
- 扶養内で働く場合は「社会保険の壁」と「配偶者控除の壁」の2種類がある
- 社会保険の壁は、106万円と130万円で、130万円を超えると健康保険に加入する必要がある
- 配偶者控除の壁は、103万円と150万円、201万円がある
- 103万円は配偶者控除、150万円~201万円は配偶者特別控除で年間で最大38万円の控除を受けられる
- 社会保険の加入のメリットとして、保障と年金支給額の増加がある
- 社会保険加入のデメリットとして、手取りが減ることと会社にバレる可能性がある
- 副業で得る所得が「事業所得」や「雑所得」となる場合は、新たに社会保険に加入する必要はない
物価の高騰が続く中で、家計を少しでも楽にしたいと副業を始める人が増えています。現在扶養されている人は働き方に気をつけて損をしない収入で働きましょう。
ダブルワークで2つ以上の社会保険に加入する場合はメリット・デメリットをしっかり把握した上で加入しましょう。あとあと後悔しない働き方を見つけて暮らしを豊かにしたいですね。