皆さんこんにちは。
フリーランスのエンジニアとしてキャリアをスタートする時に健康保険をどうしようか悩むこともありますよね。これまで会社勤めだった方は特に、これまであまり健康保険について考えたことがなかったのではないでしょうか。
ここではフリーランスとして働くエンジニアが加入できる健康保険について、保険料の節約方法なども含めて紹介していきます。
目次
フリーランスのエンジニアが入ることができる健康保険
会社員だと会社を通して健康保険に加入し、会社から保険証をもらいますよね。フリーランスになるために会社を辞めると原則その保険証は会社に返さないといけません。それと同時にフリーランスでも加入できる保険に加入する必要があります。
フリーランスのエンジニアが確実に入ることができる健康保険は国民健康保険です。
国民健康保険は各市町村が管轄している公的な健康保険で、会社の健康保険など国民健康保険以外の健康保険に加入していない人は国民健康保険に加入する義務があります。フリーランスだけでなく自営業の人や無職の人も対象になりますよ。
国民健康保険と会社の健康保険を比べた時のメリットとデメリット
国民健康保険と会社の健康保険を比べた時のメリットとデメリットをあげながら、どんな違いがあるのか見ていくことにしましょう。
国民健康保険のメリット
・市役所で誰でも簡単に手続きができる
・前年度の収入が減ると保険料を減免してもらえる
国民健康保険のデメリット
・会社の健康保険のように扶養がないので家族がいる場合は保険料が大幅に上がってしまう
・前年度の収入で保険料が決まるのでフリーランスで収入が減った時は大変に
会社員の時は健康保険料の半分を会社が支払ってくれていて、なおかつ扶養家族の分の保険料を加算されることもありませんでした。ただ国民健康保険は全額自分で支払い、家族の分の保険料も発生します。
ただ収入に応じて保険料が決まるので、前年度の収入が少ないと保険料が下がったり減免してもらえたりしますよ。
国民健康保険の保険料
国民健康保険の保険料は市町村や収入によって変わります。ここでは東京都新宿区令和2年度の保険料を参考に見ていきましょう。
前年度の年収400万円の場合の1か月の国民健康保険料
39歳まで 33,240円
40歳以上 40,534円 (40歳以上は介護保険料が加算されるため)
配偶者と子ども2人がいる場合(全員所得0)の1世帯の健康保険料
世帯主と配偶者が39歳まで 46,440円
世帯主と配偶者が40歳以上 50,034円
収入が大幅に減った場合は健康保険料の減免制度もありますが、フリーランス1年目は会社勤めをしていた前年度の年収で保険料が算出されます。減免してもらえるとしたら2年目からになるケースが多いので、1年分の健康保険料は退職前に用意しておくようにしてくださいね。
逆に年収が高くなると保険料はもっと上がっていきます。
フリーランスのエンジニアが条件によって入ることができる健康保険
国民健康保険以外にも条件によってはフリーランスのエンジニアが加盟できる健康保険がいくつかあります。
・任意継続の健康保健 → 会社を辞めてから2年以内
・扶養家族になる → 扶養家族の要件を満たす場合
・文芸美術国民健康保険組合 → Webデザインの仕事もしている場合
それぞれの健康保険の特徴や加入条件を詳しく見ていきましょう。
任意継続の健康保健
任意継続の健康保険というのは会社員時代の健康保険を退職後も引き継ぐ方法です。エンジニアがフリーランスになる場合任意継続を希望するなら、退職から20日以内に手続きしてください。ただ会社員時代と全く同じ条件で継続できるわけにではないので気を付けてください。
・保険料が2倍になる
・継続できる期間は2年間
保険料が2倍になるのは会社員時代は会社が半分負担してくれていたのが、退職後は全額自分で支払わないといけなくなるからです。それでも扶養家族もそのまま任意継続できるため家族が多い場合は国民健康保険より保険料を抑えられる可能性があります。さらに任意継続中に子供が増えた場合その子も扶養家族に入ることができますよ。
また手続きの窓口は勤めていた会社ではなくその会社が加盟している健康保険組合です。健康保険組合や全国健康保険協会支部が主流ですが、退職前に会社に問い合わせておくようにしてくださいね。組合が分かったら自分でお近くの事務所に任意継続被保険者資格取得申出書と扶養家族がいる場合はそれを証明できる書類を一緒に郵送するようにしてください。
扶養家族になる
エンジニアがフリーランスになるとして、もし家族に会社勤めしている人がいるなら扶養に入れてもらうという手もあります。ただ扶養に入る条件はかなり厳しいので注意してください。
・配偶者か3親等以内の親族
・扶養に入りたい人の年収が130万円以下でなおかつ被保険者の年収の半分未満
会社勤めをしていたエンジニアが年収130万円以下つまり月収108,333円なわけないと思うかもしれませんが、この場合の年収はきっちり前年度の年収のことではありません。仕事を辞めた次の月から稼げるだろう見込みの年収で判断されます。
・フリーランスになって最初の月の月収が108,333円以下でそれがしばらく持続する見込み → 扶養に入ることができる
・一旦扶養になっても仕事が安定し継続して月収108,333円以上稼げそうになった → すぐ扶養を抜ける
というのがルールになっています。
なのでフリーランスのエンジニアとしてこれからもしっかり稼ぎたいと考えている方には向かない方法になりますね。逆に扶養の範囲で仕事がしたいと考えている方は年間で130万円以上稼がないようにしてください。
文芸美術国民健康保険組合
フリーランスのエンジニアだと文芸美術国民健康保険組合を利用できる可能性もなくはありません。ただこの文芸美術国民健康保険組合はこの組合に加盟している団体に所属して初めて申請できますが、現時点でデザイン系の団体しかありません。フリーランスのエンジニアでもシステム開発だけでなくWebデザインの仕事もしているという方が対象になります。
国民健康保険と違って収入に関係なく保険料が変わらないので、収入が多い方によりおすすめです。
文芸美術国民健康保険組合の保険料(令和2年度)
組合員 19,900円
家族 1人につき 10,600円
40歳以上の保険加入者は介護保険料分が4,000円上乗せされる。
この保険料に加えて自分が所属する団体に組合費を支払う必要がありますよ。
フリーランスのエンジニアが健康保険に加入しないと大変なことに
フリーランスになってすぐの頃は収入が安定しないなどの理由で健康保険料を支払うのが負担に感じるエンジニアの方もいるかもしれません。ただ会社や組合の健康保険に加入していない場合、国民健康保険に加入するのは義務になっています。加入するかどうか任意で決められるものではないため、加入しなかったり加入手続きをした後に保険料を滞納したりしていると後々大きなトラブルに発展する可能性があります。
・フリーランスに転身後国民健康保険の加入手続きをしていない場合
→ けがや病気で国民健康保険に加入しようとした時に退職した時点に遡ってその間の保険料を全額請求される。
・フリーランスに転身し国民保険に加入した後保険料を滞納した場合
→ 保険料に延滞金が上乗せされ市役所から督促状が届く。それでも支払わないと財産が差し押さえられることも。
国民健康保険は加入手続きをした月から保険料が請求されるのではありません。フリーランスになるために会社を辞めてから国民健康保険加入手続きをするまでに空白の期間があった場合は、その期間の分の保険料もまとめて請求されることになります。
会社を辞めてから1年間国民健康保険の加入手続きをしていなかった場合、安くても40万円ほどの保険料を支払わないといけないことになります。そうそう一括で支払える金額ではないので、どうせならきちんと手続きし毎月支払っておく方が安心ですね。
保険料の支払いが負担に感じたら役所に相談を
市町村によっては健康保険料の支払い場合に、分割払いや減免などの救済措置を用意してくれているところもあります。支払いが苦しいなと感じたら一度お住まいの地域の役所の窓口で相談するようにしてくださいね。
もし退職後健康保険を任意継続せずにすぐに国民健康保険に加入しようと考えている場合は、退職する前に役所に行きだいたいの保険料や利用できる減額制度の有無についてあらかじめ把握しておくのをおすすめします。
フリーランス確定申告の方法で健康保険料が変わる
何らかの健康保険に入るのは義務と言われても、できるだけ保険料は抑えたいものですよね。エンジニアの方がフリーランスになると毎年確定申告をすることになりますが、実は確定申告の方法によって次の年の健康保険料が変わります。
確定申告には白色申告と青色申告がありますが、国民健康保険料を節約できるのは青色申告です。青色申告にすると帳簿の記載方法によって所得から10万円もしくは65万円が控除されます。控除された分だけ節税になるのはもちろん、住民税や国民健康保険料はこの控除された後の所得をもとに算出されるためその分保険料が下がります。
また確定申告時にその年に支払った国民健康保険料を控除できることも覚えておいてくださいね。
まとめ
いかがでしたか?今回はフリーランスのエンジニアが加入できる健康保険について紹介しました。
健康保険など社会保険の手続きはフリーランスになるうえで少し面倒なプロセスかもしれません。ただ加入しないと後々トラブルになることもあるので、早めに手続きを済ませてしまってくださいね。
この記事が、これからフリーランスになるというエンジニアの方の健康保険選びの助けになれば幸いです。