IT企業が人手不足なのは本当? 理由と現状を解説

こんにちは。

コロナ禍の中、新型コロナ感染拡大の影響を受けた業界と、比較的影響が少ない業界がはっきりと分かれています。IT業界は比較的影響が少ない業界と言われています。このため、これを機会に他の業界からIT業界に転職を考えている方もいるのではないでしょうか?

この記事ではIT企業が人手不足となっている理由と最新のIT業界の転職市場の状況を紹介しながら、IT企業の現状について解説します。

IT企業が人手不足なのは本当か?

 

IT企業の人手不足は深刻な状況となっています。

経済産業省が2019年3月に公開した「IT人材需給に関する調査」では、それが浮き彫りとなりました。

この報告書によると、ITエンジニアの不足は2018年では22万人、2019年では26万人、2020年では30万人と報告しています。そして、そしてITエンジニアの不足は右肩上がりで上昇し、2030年には45万人が不足すると予測しています。しかもこれは中位のシナリオで、高位のシナリオでは、2030年のITエンジニアの不足人数は、最大79万人と報告しています。

また、この報告書では、29歳以下を「若手層」、30〜49歳を「中間層」、50歳以上を「シニア層」とITエンジニアを区分けし、年齢分布の推移を記載しています。それによると、2020年は、若手層が22.2%、中間層が54.8%、シニア層が23.2%と中間層が半数以上となっています。それが2030年には、若手層が24.1%、中間層が48.8%、シニア層が27%と中間層が半分以下になるとの予測が出ています。

この報告書で公表された数値からも分かるように、IT企業はもちろん、日本全体でITエンジニアが不足しているといえます。そして、今後は中間層を中心にIT企業の人手不足が深刻になるものと予想されます。

IT企業が人手不足の3つの理由

では、IT企業が人手不足となっているのはなぜでしょうか?

ここではその理由について、3つ紹介します。

IT市場の急成長

1つめの理由は「IT市場の急成長」です。

最近はスマホアプリの拡充により、 ITサービスはあらゆる業界で急速に導入が進んでいます。

その一例がEC取引の急拡大です。

経済産業省が2020年7月に発表した「電子商取引に関する市場調査の結果のとりまとめ」では、以下の通り、EC取引が右肩上がりで拡大しています。

  • 2018年:17兆9,845億円
  • 2019年:19兆3,609億円
  • 伸び率:7.65%

特にコロナ禍でEC取引の需要が拡大しています。

このため、ITエンジニアの求人情報を見ると、マイナビニュースでは「ECの人材は取り合いに」2020年10月30日の記事で報じています。

また、各企業は「2025年の崖」を乗り越えるべく、DX推進の人材を確保しようと採用活動を行なっています。

このように、IT基盤の整備や拡大に伴ってITエンジニアの需要が高まっていることが、IT企業の人手不足の要因になっています。

少子高齢化に伴う労働力不足

2つめの理由は「少子高齢化に伴う労働力不足」です。

内閣府が発表した「令和元年版高齢社会白書」によると、2005年以降、労働力人口はほぼ横ばいの状況が続いています。

しかし、65歳以上の割合は、右肩上がりとなっています。

2018年では、労働力人口、65歳以上の割合は以下の通りです。

  • 労働力人口(2018年):6,830万人
  • 65歳以上の割合(2018年):12.8%

このように、65歳未満の労働力人口は低下しており、少子高齢化に伴う労働力不足が顕著となっています。

各企業では社員の高齢化や定年に伴う退職が増える一方で、入社する社員が少なくなっています。

また、同報告書によると、非正規社員の割合が男女ともに半数を超えています。特に女性の方がその割合が高く、60〜64歳では77.1%、65〜69歳では83.3%となっています。

これは、IT企業も同様であり、社員の高齢化や定年に伴う退職が増える一方で、入社する社員が少ないのが現状です。

このように、少子高齢化がIT企業の人手不足の一因となっています。

新しい技術に対応したエンジニアの不足

3つめの理由は「新しい技術に対応したエンジニアの不足」です。

最近は、AIやIoTなどのIT技術が注目を集めています。また、プログラミング言語では、Python、Go、TypeScriptなどが注目を集めています。しかし、企業が新しい技術を取り入れルためにエンジニアを採用しようとするも、新しい技術に対応したエンジニアが不足しているのが現状です。

その要因の一つは、「新しい技術を習得するのには時間がかかるため」です。

一般的に、プログラミング言語の習得に必要な時間は200〜250時間と言われています。これは、平日で1日3時間、土日で5時間をプログラミング言語習得の学習時間に充てると、半年で習得できる計算になります。現役エンジニアの場合、もっと短い時間で習得できるでしょう。とはいえ、現役エンジニアであっても、新しいプログラミング言語を習得するには、それなりの時間が必要です。

最近注目を集めているAIとなれば、習得に時間がかかるのはなおさらでしょう。AIの習得には、Pythonといったプログラミング言語はもちろん、数学、機械学習、深層学習といった分野を学習する必要があります。幅広い分野を習得する必要があるため、開発現場で活用できるレベルになるためには時間がかかります。

企業も新しい技術に対応しようと自社のエンジニアに学習支援を行なっていますが、追いついていません。

ITエンジニアの転職市場は売り手市場

では、コロナ禍である現在のITエンジニアの転職市場はどのような状況でしょうか?

ほとんどの転職支援会社は、転職市場におけるITエンジニアの求人状況はコロナ禍の最中である現在でも売り手市場が続くと考えています。

その理由は、EC市場の拡大、DXの推進、AIやIoTといった技術への対応など、企業のIT投資への意欲が旺盛だからです。

DODAが2020年7月15日に発表した「転職市場予測2020年下期」によると、「計画の見直しはあるが、多くの企業が採用を継続中」と述べています。特に、IT・インターネット業界が伸びているため、企業には「人手を増やしたい」というニーズがあるようです。

その一方で、コロナ禍を契機に「経験者採用」に採用計画を見直している企業も多いようです。

とはいえ、エンジニア職未経験者には全くチャンスがないという訳ではなく、プログラミング学習の経験や、成果物などのポートフォリオの公開がチャンス拡大につながります。

まとめ

この記事ではIT企業が人手不足となっている理由と最新のIT業界の転職市場の状況を紹介しながら、IT企業の現状について紹介しましたが、いかがでしたか?

IT企業は人手不足が続いています。また、経済産業省が発表した「IT人材需給に関する調査」によると、今後もIT人材不足が続くと予想しています。

IT企業が人手不足が続いている理由には、「IT市場の急成長」、「少子高齢化に伴う労働力不足」、「新しい技術に対応したエンジニアの不足」があります。

また、DODAが発表した「転職市場予測2020下半期」によると、IT業界の転職市場は、今後も売り手市場が続くと予想しています。だが、企業も現在は経験者採用を中心に見直しています。とはいえ、エンジニア職未経験者に全くチャンスがないという訳ではなく、プログラミング学習の経験や、成果物などのポートフォリオの公開がチャンス拡大につながります。

このため、コロナ禍を機会にIT業界での転職を考えている方は、ぜひ求人情報を調べてみてください。

 

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