ITに興味があるけど、IT業界の今後ってどうなっていくんだろう?」
「IT業界に転職したいんだけど、どの分野が伸びるんだろう?」
「ITの仕事したいけど、変化が激しそうだから何を目指すべきかわからない・・・」
AI、ディープラーニング、ビッグデータ、ブロックチェーン・・・。
次々と新しいテクノロジーが開発されるIT業界。いくら注目されているITだっていつか廃れちゃうんじゃ・・・。
栄枯盛衰・・・世の中の常かもしれません。果たしてこの先、本当に伸び続ける産業なのでしょうか?
というわけで今回は、ITの今後がどうなっていくのか解説します。
ITに興味のある初心者、未経験者の方は、ぜひ参考にしてみてください。
ITが発展してきた経緯
ITという言葉が浸透するようになったのは、携帯電話の急速な普及と、インターネットの商用利用を開始した1990年から2000年の間です。その時期は後に「IT革命」と呼ばれるようになります。「IT革命」が2000年の流行語大賞にも選ばれるなどして、「IT」が日本中に浸透しました。
ここで、ITの今後についてお話する前に、ITが発展してきた経緯を年代順にご紹介します。
・1993年:インターネットの商用利用開始
・1995年:Windows95の登場によりパソコンの使い勝手が向上
・1995年:Netscape NavigatorやInternet Explorer等のウェブブラウザの普及
・1996年:NTTがインターネット接続サービスOCNを開始
・1997年:長距離系NCC3社(※1)と地域系NCC4社(※2)が、インターネット接続サービスを開始。
・2000年:「IT戦略会議」設置が閣議決定、3Gスタート、Google日本語検索サービス開始
・2000年~:ダイヤルアップ接続から、CATVインターネットやデジタル加入者回線(DSL)へ移行、
・2003年:光ファイバサービス開始、ブロードバンド時代へ
・2004年:SNS開始(mixi、Facebook)
・2005年:YouTube設立
・2006年:Twiter、Amazonサービス開始
・2008年:iPhone3G登場、携帯からスマートフォンへ、Twitter日本語版
・2011年:LINEサービス
・2012年:4Gスタート
・2019年:「働き方改革」の関連法案が施行
・2020年:5Gスタート、コロナ禍によるワークスタイルの変化
インターネットの普及により、インターネット上に新しいビジネスが登場し、IT = ICT (情報通信産業)(※3)の大きな構造転換が始まりました。インターネット上での認証・決済セキュリティの確保等、様々な関連サービスの新規ビジネス、楽天やAmazonが参入したのもこの時期です。携帯電話からスマートフォンへ移り変わり、通信システムが3Gから5Gまで進化しました。
そして2019年から施行された「働き方改革」により、仕事の効率化を図る必要がでてきた各企業に、効率化のためのITが取り込まれます。
翌年2020年の新型コロナウィルスの影響とともに、テレワーク、副業・兼業、フリーランス等の柔軟な働き方が進められるなど、これまでのワークスタイルが一気に変化しました。
ワークスタイルの変化によって、日常的に身近にITを感じることが多くなりました。
※1:DDI(現KDDI)、日本高速通信(1998年KDDと合併、現KDDI)、日本テレコム(現ソフトバンクモバイル)の3社
※2:TTNet(東京電力系)、大阪メディアポート(関西電力系)、中部テレコミュニケーション(中部電力系)、四国情報通信ネットワーク(四国電力系)の4社
※3:IT(情報技術)とICT(情報通信技術)は現在同じ意味でとらえられており、 経済産業省がIT、総務省がICTを用いています。
参考:総務省|平成27年版情報通信白書、厚労省|「IT革命」が我が国の労働に与える影響についての調査研究報告書
IT産業の現状
続いて、IT産業の現在の状況について解説します。
国内の産業規模を表す「国内生産額」で、情報通信産業とその他の産業を比較したものを図1に示します。
情報通信産業は、2001年以降生産額が上がり続けました。しかし2008年のリーマンショックの影響でやや下がり傾向となりましたが、2013年からまた右肩上がりで伸び続けています。また国内産業としては商業を抑えて最大規模を維持しています。
では次に、情報通信産業を営む企業の業種ごとの売上高(2018年度)を図2に示します。
情報通信業を営む企業の売上高は50兆円を超え、企業数は 5,819社にのぼります。
構成割合をみると、NTT、KDDI、ソフトバンクなどの電気通信業が34.6%、日本オラクル、トレンドマイクロといったソフトウェア業が30.4%、マイクロソフト、富士通、NECなどの情報処理・提供サービス業が14.4%と続きます。
これら大手企業が、ITをけん引しています。
ITの今後のビジョン
現在も、着実に市場を伸ばしつづけているIT業界は、今後もさらに市場を拡大し続くと考えられます。
今後はどのように進化していくのか?総務省では具体的に2030年に向けたICT進化の方向性を探るため、ICTを専門とする有識者10人に対するインタビュー調査を実施しました。キーワードごとに有識者による予測・展望の要旨を紹介します。
IoT
IoTでは情報を取得し、取得された情報をもとに最後に人が判断しているが、今後はIoTシステムが判断を必要とする時に人工知能システムから制御・アクションを起こす方向にある。端末(入力系)の機能は情報を取得することであったが、そこが知性を持つようになり、得た情報についての取捨選択の判断をセンサー自身ができるようになるだろう。
AI
人間の脳には様々なものがノウハウとして蓄積されている。これを人工知能に適用していけば、高齢者が持っている知的資産を社会で活用できるだろう。
人間というものは諦めてしまうことがあるが、AIは諦めることはない。そのため、人間が全くかなわない領域が出てくる。
ICT社会の更なる進化のためには、AIの性能向上に加えて、ICTを活用した社会システムをデザインしていくことが求められている。AIの能力は今後向上していくので、それをうまく活用できる社会的な制度を決めていく必要がある。例えば、AIが提示する選択肢の一つを、自動的(無条件)に組織や社会の意思決定とする際に、どのくらいの確率を求めるか(○%以上)は、領域や用途によってきめ細やかに規定しなければならないであろう。コミュニケーションやエンターテインメント用途であったら8割程度でも許容されそうだが、完全自動運転のような人命にかかわる分野の場合はファイブナイン(99.999%)以上が求められる可能性がある。
2021年人工知能が東京大学の入学試験に合格、2030年に人工知能が人間と自然な会話ができるようになる。
自動走行車
都市空間を変化させる要因として、自動走行車に注目している。自動運転の水準で状況は異なるが、たとえば、高齢者と共働き世帯の女性の生活は大きく変わるだろうし、自動走行車が普及すると、駅勢圏(鉄道駅を中心としてその駅を利用すると期待され需要が存在する範囲)はかなり広がるだろう。
2025年自動走行車が市場に登場、2026年に追従運転、自動走行を可能にする自動車-基地局間、自動車-自動車間の通信システムが実用化、2030年完全自動で走行。
クラウド
2025年頃には企業システムは、いろいろな業種が同じクラウドサービスにより協業する異業種クラウドや、業務クラ ウド(たとえば出張業務のために飛行機予約、宿泊予約、地上交通の予約などが必要だが、それらサービスの提供者である各企業が参加するクラウドサービス)により重層的につながってくる。
引用:総務省|「情報通信白書平成27年版/ICTの更なる進化」
IT人材の不足
将来的にも期待されるIT関連も、一方では今現在も「人材不足」という慢性的な課題を抱えています。
今後も少子高齢化が進み、さらに人材確保が難しい状況がこの先どこまで拡大するかについて、経済産業省で分析予測を行いました。
IT人材の需給ギャップの推移(2018 年から2030 年までの予測)を図3に示します。
図中、折れ線は2018年を100とした場合の市場規模を表し、人材数に関しては、生産性上昇率が「0.7%」、IT 需要の伸びが「中位」(中程度の伸びを想定)の条件で求められています。
IT関連の市場規模は、2030年には37.4%拡大すると予測されています。しかしこの市場拡大に対して、2018年で22 万人の不足が2030年では45万人と、2018年の2倍を超える不足数になると予想しています。
このIT人材の需給ギャップを減らすため、政府による先端ITなど専門教育の充実や、各企業内での人材育成といった対策が取られ始めています。
しかし「人材不足」だからといって、企業が未経験者や知識のない人材を無条件で採用するというわけではありません。
自身で専門スキルを磨き、積極的にアピールできる人材こそ、IT企業が求めているのです。
参考: 経済産業省|「IT人材需給に関する調査」
まとめ
今回は、ITの今後についてご紹介しました。
近頃の働き方改革やコロナの影響によって、人々のワークスタイルが一変し、ますます「効率化、安全のためのIT」が取り入れられることになりました。
そしてITは、今後もさらに伸び続けていきます。
有識者による2030年のビジョンでは、特にAI関連や自動走行、クラウドといった分野がとり挙げられています。一方で、IT産業が抱える「人材不足」も問題も説明しました。
IT関連企業は、単に人がほしいのではなく、優秀なエンジニアを求めています。
自身でスキルを磨きアピールすることができれば、IT関連企業へ就職、転職する際には大きな武器となるでしょう。またITの専門スキルは、常にブラッシュアップしていくことも必要です。
この記事が、IT関連の仕事を目指す方々のお役に立てれば嬉しいです。