ネットワークエンジニアに必要なクラウドスキルは?学習方法は?

「ネットワークエンジニアの需要が減っている」という声をよく聞きます。その要因の一つには、クラウドサービスの増加が挙げられます。また、クラウドサービスの増加に伴い、ネットワークエンジニアを取り巻く環境や役割が変わりつつあります。

では、ネットワークエンジニアを取り巻く環境は、どのように変化しているのでしょうか?また、ネットワークエンジニアには、どのようなクラウドスキルが必要なのでしょうか?

この記事では、ネットワークエンジニアに必要なクラウドスキルと学習方法について解説します。

ネットワークエンジニアを取り巻く環境の変化

まずはネットワークエンジニアを取り巻く環境について解説します。

時代はクラウドサービス全盛に

2020年10月、日本政府は情報システム基盤の運用を開始しました。このニュースはIT業界の中では注目を集めた出来事として知られています。

なぜなら、日本政府の情報システム基盤のプラットフォームは、Amazonが提供するクラウドサービスAWS(Amazon Web Service)で構築されたからです。また、AWS以外にも、GoogleはGCP(Google Cloud Platform)をMicrosoftはAzureを提供しています。

一方、国内のクラウド市場は今後も拡大すると予想されています。ICT市場調査コンサルティング会社である株式会社MM総研が2020年6月に発表したレポートによると、国内クラウド市場は以下のように予想されています。

  • 2019年度:23,572億円
  • 2020年度:28,649億円
  • 2021年度:34,282億円
  • 2022年度:40,128億円
  • 2023年度:46,471億円
  • 2024年度:53,970億円

これによると、2019年度は23,572億円が2024年度には53,970億円と、国内クラウド市場規模が2倍以上になると予想されています。

また、AWS、GCP、Microsoft Azureとも、2019年から2020年にかけて、利用が増加しています。これらのクラウドサービスの利用は、勢いに衰えを見せておらず、今後もさらに高まるものと予想されています。

企業もクラウドサービスの利用が増加

総務省が発表した「令和2年 情報崇信白書」によると、2019年にクラウドサービスを利用している企業は、全体の64.2%となっています。また、企業の導入も5年連続で導入が増加しています。

また、2019年における企業のクラウドサービスの導入理由の上位3つを見ると、以下のようになっています。

  • 社内、保守体制を持つ必要がないから:45.9%
  • 場所、機器を選ばずに利用できるから:43.3%
  • 安定運用、可溶性が高くなるから(アベイラビリティ):36.8%

ここで注目すべきは、第1位となっている「社内、保守体制を持つ必要がないから」です。このことから、クラウドサービスの利用は、企業の保守・運用コストを抑えたいという意向が伺えます。

今後のネットワークエンジニアにクラウドスキルが必要

このように、クラウドサービスが全盛となる中、ネットワークエンジニアの役割にも変化が生じています。それは、これまでのネットワークエンジニアのスキルとは、異なってきています。

ネットワークエンジニアの役割の変化

これまでのネットワークエンジニアの役割は、ネットワーク機器の調達、ネットワーク環境の構築、トラブル発生時には即時の復旧が主な仕事でした。また、オンプレミスでの構築が主体のため、データセンターに常駐し、作業をすることが一般的でした。

しかし、クラウド全盛時代となり、ネットワークエンジニアを取り巻く環境も変わっています。オンプレミスでの構築がクラウドサービスでの構築に変わることにより、主な仕事場であったデータセンターの縮小や廃止が発生しています。これにより、ネットワークエンジニアの募集が減少しているようです。

ネットワークエンジニアの役割も変わりつつあります。主な仕事であった物理的なネットワーク環境の構築が減少し、クラウドサービスでのネットワーク環境の設定に変わってきています。

レバテック キャリアのネットワークエンジニアの募集要項を見ると、ネットワークに関する好きルはもちろん、クラウドサービスに対応するスキルが求められています。もちろん、これはクラウドサービスの需要が高まっているから。

このため、ネットワークエンジニアの求められるスキルに変化が生じており、対応する必要があるのです。

ネットワークエンジニアに必要なクラウドスキルとは?

ここでは、ネットワークエンジニアに求められるクラウドスキルについて解説します。

主要クラウドサービスに関する知識や構築スキル

先にも述べたように、現在は、AWS、GCP、Microsoft Azureが主要クラウドサービスとなっています。また、企業もこれらのクラウドサービスを利用し、アプリケーション開発、自社サービスの提供・運用が増加しています。今後も一層加速すると予想されるため、主要クラウドサービスに関する知識や構築スキルは、必須と言えるでしょう。

また、クラウドサービスのシステム開発では、インフラエンジニアやアプリケーションエンジニアとのコミュニケーションが必要になります。そのため、ネットワーク以外の分野であっても、他のエンジニアとのコミュニケーションが取れるレベルの知識やスキルが必要なのです。

ネットワーク仮想化に関するスキル

ネットワーク仮想化の代表的な概念の1つに「SDN(Software Defined Networking)」があります。これは、「ソフトウェアを用いて、1つのネットワークを複数のネットワークに、あるいは複数のネットワークを1つのネットワークにする技術」。

近年はクラウドサービスが普及するに連れ、ネットワーク仮想化が普及してきました。このため、クラウド上でのネットワーク環境構築に当たり、ネットワーク仮想化技術は習得すべき必須のスキルと言えます。

その中でも、VPN(Virtual Private Network)は身につけておきたい仮想化技術の一つです。主要クラウドサービスでは、以下のサービスを提供しているので、学習することをおすすめします。

  • Amazon VPC(Virtual Private Cloud)
  • Azure VPN Gateway
  • Google Cloud VPN

クラウドスキルを身につける方法とは?

では、ネットワークエンジニアに必要なクラウドサービスの知識やスキルを身につけるためにはどうすればよいのでしょうか?ここでは、2つの方法を紹介します。

書籍で学習する

1つめは「書籍で学習する」です。クラウドサービス全盛の現在において、主要クラウドサービスを解説した技術書は、入門レベルから応用レベルまで、幅広く出版されています。その中でもネットワークに関連した書籍としては、以下がおすすめです。

Amazon Web Services 基礎からのネットワーク&サーバー構築

「Amazon Web Serviceを用いてネットワークを学び直す」ことをコンセプトに編集された本です。AWSを用いて、自分自身でネットワークやサーバーの構築をできるようになることを目的としています。AWSに触れたことがないネットワークエンジニアにおすすめの本です。

主要クラウドサービスの学習プログラム

主要クラウドサービスにはe-Learningサービスを提供しており、これを利用してクラウドサービスを学習することができます。

AWSトレーニングと設定

AWS(Amazon Web Service)では、「AWSトレーニングと設定」という学習プログラムが提供しています。カリキュラムは、無料のデジタルトレーニングと有償のトレーニングで構成されています。また、AWS認定資格取得に必要な学習もこのトレーニングを利用して学習することができます。

Google Cloud認定トレーニング

GCP(Google Cloud Service)の学習プログラムとして「Google Cloud認定トレーニング」があります。これは、Googleが作成したプログラムに従い、Google認定のパートナーが提供している学習プログラムです。GCPを学習したい人は、「Google Cloud認定トレーニング」を利用して学習するのがよいでしょう。

Microsoft Learn

「Microsoft Learn」とは、マイクロソフト社が提供する学習プログラムです。マイクロソフト社の製品をスキルレベルに応じて学習することができます。Microsoft Azureも、「Microsoft Learn」を通じて学習することができます。

まとめ

この記事では、ネットワークエンジニアに必要なクラウドスキルと学習方法について解説しました。

クラウドサービスが増加する中、今後もネットワークエンジニアとして活躍するためには、クラウドサービスに関する知識や構築スキルは必須と言えます。

クラウドスキルを身につけるためには、書籍での学習に加え、主要クラウドサービスを学ぶことができる学習プログラムを利用するとよいでしょう。

ネットワークエンジニアとして活躍するためにも、是非、クラウドスキルを身につけて行きましょう。

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