いろいろな業界をSEとして渡り歩いてフリーランスになったエンジニアへインタビュー!会社員時代の不安やフリーランスになってからの年収も

フリーランスのエンジニアは会社員のエンジニアより不安定なイメージがあるかもしれませんが、中には安定するためにフリーランスになったという方もいます。

今回ご紹介するみのしま@コウシコ堂さんがその一人。12年間会社員のSEとしていろいろな会社を渡り歩いたのちにフリーランスに転身し、収入が倍近くにまで増えたそうです。

エンジニアとしての経験や困ったことそれにフリーランスになったきっかけを伺いながら、さらにこれからフリーランスで稼ごうとしている方達へのアドバイスもいただきました。

みのしま@コウシコ堂さん

ニックネームが路地裏さんで、30代後半です。学生時代にホームページ制作からこの業界に入りました。会社員としてSEの経験を10年余り経たのち、フリーランスとして独立しました。今はフリーランス2年生です。

フリーランスになるまでIT業界で実に7回も転職しています。仕事はずっとシステムエンジニアでしたが、振り返ってみるとかなり徒手空拳でスキルを身につけてきたかなと考えています。 今は自分がつくった会社で仕事を受注して働くことがメインです。

目次

フリーランスエンジニアになる前の職業について

これまでいろいろな会社で色々な業務を経験されていますね。

事務局

みのしま@コウシコ堂さん

元々の職業はかなり変わっているかなと思います。

元々の職業はかなり変わっているかなと思います。職種はいずれもエンジニアですが業界がかなりバラバラです。

ベンチャー企業に勤務した後、地元に帰って葬儀屋さんの社内SEとして、私が生まれる前に作られたメインフレーム機の中でCOBOLプログラムの開発や修正をしていました。若手だったので斎場の当直をよく任されていたといった具合に、なかなか波乱万丈です。

とはいえ職種としてはずっとITでした。マークアップから社内システムエンジニア、 Webアプリケーションの開発など様々な経験をしてきました。

これまで経験した中でIT業界といえる職種を紹介

これまでどんな職種を経験したのか教えてもらいました。

ホームページ制作会社で、ECサイトのロジックをPHPでひたすら作成

この時はメンバークラスでしたが、要件定義段階から係わったりしていました。

SES企業の大手でテスター業務

典型的な下流のSESで、OP~PGです。元々は最初はテスターから初めて徐々にプログラムの開発などに携わるという話だったんですが、なかなかテスト担当から抜け出せず。スキル面でも画面キャプチャの取り方にはなれましたが、それ以外はなかなかでした。

「とりあえず給料がもらえるからいいや」とも考えましたが(会社的には利益が出るのなら良いとは思いますが)。ただ一度はITベンチャーで働いていたので、ブラックボックス状態のどうしてそうなったかわからないシステムと格闘するのはどうなのかと矛盾を抱えながら働いていましたね。

介護系ベンチャー企業で新規事業開発

WordPressランディングページを量産したり、KintoneのAPIを操作したりしていました。一人エンジニアで、デザイナーなどが数名のグループでした。ポジションとしてはSEクラスです。

医療系クラウドシステムの開発

CakePHPやRuby on Railsなどで構成されたシステムを動かしながら開発を進めていました。エンジニアは4名くらいで始まり、最大で10名くらいでしたね。ポジションはSEです。アジャイル型開発だったため、要件定義からリリースまで担当していました。

エンジニアになったのは20代半ばの時

いつ頃からエンジニアとして働いていらっしゃるのでしょうか?

事務局

みのしま@コウシコ堂さん

20代半ばくらいからで、もう12年になります。

エンジニアとして業務に関わるようになったのは 20代半ばくらいの頃です。最初はECサイトのシステムをPHPで制作したりしてしました。提案資料の作成、開発環境の選定、DB設計、ソースコードの実装など、どれも担当していましたね。

今から思うと創業間もない制作会社であれもこれもと担当せざるを得ない環境は、スマートではないけれど働く側の力はつきやすかったかなと思います。

エンジニアとして働いてきた年数

エンジニアとして業務に従事した合計年数は延べ12年ほどです。

これまでエンジニアとして経験した仕事

仕事内容が本当に多彩ですね。

事務局

みのしま@コウシコ堂さん

10年程で7社に勤務しました

フリーランスになる前の仕事 10年で7社を渡り歩く

フリーランスになる前に経験された仕事について伺いました。

友人が作ったホームページ制作会社 10名ほど 正社員

開発規模としては3~5人程度でチームを作って並行開発という感じです。顧客に見せる企画書はしっかり作りますが、システムの仕様書や設計書はあまり厳密に作りませんでした。開発体制としては、どちらかといえばアジャイルっぽい感じです。

会社全体の雰囲気としては、体育会系のサークルのようでした。ここでまずかったのは、理想はあるけど、そこまでたどり着く道筋が想像できないことでした。

【アジャイル開発の基礎知識とメリデメ】 デメリットの緩和方法

公的機関(全体では数千人) 契約社員

臨時雇用です。課題に沿って黙々と作業を進めていく感じでした。

Webサービスを自社開発しているベンチャー企業 正社員

規模としてはエンジニア10名程度で、Webアプリケーション部分とバックで演算をする部分に分かれていました。私はWebアプリケーション側を担当しており、れまで実務経験が無かったRuby on Railsを使いひたすらフロント部分のコーディングやAPIの開発を行っていました。

RubyやRailsに関する知識はなかったものの既存のソースコードを読みながら、ここはどんな動作をしているのか?を考えることである程度は作成できました。

雰囲気としては、良くも悪くもスタートアップといった感じです。すべての部署が1つの部屋にまとまっており、ほかの部署の様々なやり取りが聞こえてきます。私にとってはうるさいというより生きた会社を感じられて良かったです。

元メガベンチャー勤務など、エンジニアとしては優秀と言われていた方が大勢いました。プロダクトを作り出す(ロジックを考えてコードに落とし込む力)はものすごいと思った反面、一匹狼タイプの人が多いと感じました。

というのもPL/PM的なビジネスオーナーとの期間や予算の折衝や、どのサブプロジェクトを優先させるかといった調整、新人をどうやって職場に慣れさせ戦力化していくかといったことに興味がある人はあまりいなという印象だったんです。

今から振り返ってみると彼らに出会ったのが、職人としての高みを目指すか折衝力を鍛えるかといったキャリアパスは、一人ひとり考える必要があると実感したきっかけですね。

地元の企業での社内SE 正社員

一般的な社内SEの「企画は考えて開発はベンダーに委託」とか「ユーザサポートが主な仕事」というのではなく、「自社で内製化した業務系システムの開発・保守」というものでした。エンジニアの方で「社内SE」という募集のケースでは、ケースごとに内容が全く異なることがザラなので、その部分はしっかり確認する必要があると思ました。

部署は8名ほどで、20代~60代までまんべんなくいました。役目としてはメンバークラスで、上長やユーザ部門のお題に沿ってひたすら開発するといった感じでした。

オフコン上で動くCOBOLで作られたシステムということもあり、参考にできる書類が少なかったですね。UI部分も独自のツールで作らざるを得ないなど、元々Web系からエンジニアを始めた身としては大きなギャップを感じました。

このシステムも、導入された当初は時代の先端を走っていたのかもしれません。しかし、時代が進みよりオープン化、クラウド化が進むにつれて技術的負債となってしまった、といった感じです。

部署内の空気は、「誰もがなんとなく不満を抱えている」といったことが感じられ、かなり風通しが悪いと感じました。休日は年間100日程度で、月々の稼働時間に直すと300~350時間くらいだったと思いますが、休日の半分くらいは当直明けでしたよ。

SES企業 正社員

面接を受けたとき、正社員のほかに契約社員の提案も受けました。前者は、給与が控えめだが案件が無い待機状態でも雇用と基本給は保証される。後者は報酬が多いが、案件の切れ目が縁の切れ目といった感じです。

元請けの協力会社といった立場で大手メーカー内のプロジェクトに関わりました。商流的にはかなり深いところのようでした。

プロジェクトの規模ですが、全体では数百、数千人レベルかもしれませんが、現場レベルでは10人程度のチームでした。逆に言えばメンバークラスの場合、概ね実際の作業はこのくらいの規模で行うことが多いです。役割としては、テスターからPGくらいでした。確かに直前がCOBOLプログラマーで、半年くらいニートをしていたのでやむを得なかったと思います。

雰囲気は、プロジェクトの炎上具合によるといった感じです。炎上している場合、稼働時間も夜10時くらいまでの残業はザラで、雰囲気もピリピリとしていました。

自社サービスの開発(新規事業寄り) 正社員

初のエンジニア&CTO候補という名目で入社しました。エンジニアのほかにも、新規事業の立ち上げといったニュアンスがありました。会社から求められていたのは、より事業企画的な面でした。

最初は一人エンジニアで、デザイナーなどが徐々にアサインしていき最大で5人ほどでした。ポジションとしてはSEクラスです。

職場の雰囲気は、ベンチャーという割には穏やかで落ち着いていたかなと思います。元々は別の事業を行っており、新しい事業の柱も作成していた会社でしたが、エンジニアが1名しかいないことや、システム開発とコスト面で割に合うかどうかといった感覚が乏しかった面もありました。

自社サービスの開発(クラウド型) 正社員

プロジェクト規模は入社当初は4人、退職時は10人ほどでした。プロジェクトの進め方はアジャイルで、月次でスプリントを切り、各自がRedmine上のチケットをこなしてgithub上のリポジトリにプルリクエストを出し、レビュー後マージ、テストしてリリース、といった流れをこなすといった感じでした。

雰囲気としては当初はよかったものの徐々に殺伐としてきた、という感じです。ほぼ対等な立場だったところが、人数が増えてきてだれがマネージャーになるかという課題が発生しました。

SE辞めたい!辞めるべき7つの理由と退職後にオススメの職業 SE辞めたい!辞めるべき7つの理由と退職後にオススメの職業

フリーランスになった後の仕事 4件中2件はリモートワーク

フリーランスになってか仕事内容に変化はありましたか?

事務局

みのしま@コウシコ堂さん

4件中2件がリモートワークでした。

フリーランスになったってからは4案件くらい担当しました。うち、現行案件含め2つはリモートワークです。

イベント向けのシステム開発 業務委託

顧客向けのカスタムメイドで開発チームはそれぞれ5~10名程度ですが、開発部分のうちいくらかはオフショアでした。ポジションとしてはSE~PL相当で、繁忙化していたPMの業務のうち担当できるところは極力巻き取るという感じでした。

LAMP環境で、このプロジェクトではLaravel/PostgreSQLを利用しており、この部分がピッタリ当てはまったわけではありませんでしたがマネージャーとウマが合ったのも採用の決め手の1つだったようです。場の環境自体は落ち着いた感じでした。

eラーニング向けのシステム開発 契約社員

元請け企業は大手SIerで、商流制限上「上位企業の契約社員となった」ケースです。上位企業も私もできれば業務委託で契約したかったのですが。

プロジェクト全体では100名くらいいたと思いますが、チームとしては15~20名程度でした。プロジェクトの雰囲気としては、コロナ問題でリモートワーク化したことにより、ギクシャクしたかなというのが正直な感想です。

勤怠管理システムの検証 業務委託

スポット業務です。状況がひっ迫したところに火消しに入った感じです。プロジェクト全体では50人ほど、チームでは10人ほどでした。

雰囲気的には、本当に切羽詰まった状態だったのでむしろ落ち着いていたという感じでした。フリーランスの強みは、こういう無茶ぶりでも受注できることもあると思います。

社内向けシステムの開発 業務委託

ほぼほぼリモートといった案件です。元請けとエンド顧客の距離が近く、やりとりは緊密な感じです。

アジャイル型開発で、現状ではメンバーは開発側が5名、エンド側も5名ほどです。雰囲気としては、各メンバーの距離が近いかなと感じます。エンドや元請け企業の社風に影響されているかなと思います。

フリーランスになろうと思ったのは2年前

2年前です。コロナ問題が発生する「前」です。

フリーランスになったのは安定を求めて

フリーランスになったきっかけは何だったんでしょうか?

事務局

みのしま@コウシコ堂さん

安定するためです。一見会社員のほうが安定しているかと思いますが、会社に依存しすぎていてその会社がとんでもないことになったらどうするのか?と感じました。

フリーランスになったのは気持ちの問題ですね。独立する前の企業で、フリーランスで常駐している人がいたのも影響したかもしれません。フリーランスになろうと思ったきっかけは1つ、むしろ安定するためです。

一見会社員のほうが安定しているかと思いますが、会社に依存しすぎていてその会社がとんでもないことになったらどうするのかと感じました。倒産やリストラなどのリスクを考えると、フリーランスとなり仕事を受注し、収入を得るほうが安全かなと考えたんです。

確かに契約が終わったら売上もなくなるのと、案件の年齢制限などのリスクはあります。ただジョブ型雇用への移行が進んでいることから、私の場合は独立することにしました。

また会社や職場のミスマッチが発生した場合フリーランスのほうが我慢できるし、どうしても合わなければこちらから辞退しやすいこともあります。

フリーランスだと大きな責任も伴うが収入は全体的に増え、しかも自分の裁量で扱えます。多くの人が考えている以上に人を雇うことには、お金がかかります。まず給与のほかに労使で折半する社会保険の会社負担分がかかりますよね。その額は概ね総支給額の15%ほどです。(月給200万円とか、極端に収入が多いと負担率はむしろ下がります)

フリーランスとなった場合、この額を直接受け取れることになります。対策がうまくできるのであれば非常に有益です。

市場の歪みをついたとも思っています。これはよくよく考えてみれば、すでに出ていた答えかもしれません。自社サービスの開発に携わっていた時のことです。その時職場にいた人の話で、もしWebデザイン、システム開発、事業企画のすべてができたとしたら、こんな人は独立してフリーになりますという話を聞きました。

その当時から、デザインそのものはともかく、HTMLなどの記述、PHPなどを使ったサーバサイドのプログラミングといったことは一通り経験していたので、フリーランスになる素養はあったかもしれませんね。

これまで現場で不満に思ったこと

会社員だったころは会社や上司に色々思うところがあったようですね。

事務局

みのしま@コウシコ堂さん

フリーランスになってからは雇用契約や重要な資料にふれられないもどかしさもあります。

フリーランスになる前 不本意な仕事に携わったことも

フリーランスになる前に感じた不満について伺いました。

IT業界じゃない会社の情報システム部門で働いていた時のこと

会社の中で稼ぐ、これ以上収入が増える将来が描けないし、自分の力ではどうすることもできないということを感じていました。そして扱っていたシステムの利用言語、運用環境が独自すぎて資料も乏しい。そのシステムを開発した上司も覚えきれていない部分がありましたね。

そして何より、キャリアパスとしては破綻していました。この会社の中で私がどうやって活躍していくかが全く想像できなかったんです。確かに事業内容から察するに会社自体は存続する可能性が高い、しかしその中で自分が活躍しているところは、まったく想像できませんでした。

自社開発で不満に思っていたこと

必ずしも、上層部がITに詳しいというわけではないということに気付きました。「何がやりたいか」がわかるが、「どうやって実現するか」のツメが甘かったです。あまり裁量権がない中、しぶしぶ開発に携わざるを得ませんでした。

SES企業で働いていた時のこと

正社員でしたが、自社とのやり取りはほぼほぼ勤怠報告だけでした。やっていることも、テスト項目の実施、作成などがほとんどだったんです。確かに仕様書から確認すべき項目を洗い出し、確実に実施することも大切だと思います。しかし、元々プログラマー相当からキャリアを始めたので「どうやって動いているのかは、ソースコードを読んだ方が早い」と感じていました。

フリーランスになった後 プロジェクトのコアな部分には関われないことも

フリーランスになってからはどんな不満があったのでしょうか。

雇用契約の問題

あまりあることとは思いませんが、とある案件では上位商流の契約社員という建前を取らざるを得なかったケースもありました。手続きが面倒になります。

コアな部分に携わりにくいことも

このあたりは、SES企業と共通します。商流が深い場所ですと重要な部分の仕様決定などに携わりにくい面もあります。

エンジニアをしていて良かったこと困ったこと

エンジニアをしていて良かったこともあれば困ったこともあったのではないでしょうか?

事務局

みのしま@コウシコ堂さん

自分の技術にまだ気になるところはあるものの、自分の力で何かを創造できるという事は良かったです。

エンジニアそのものに対してやっていて良かったと思うのは、実現したいものを再現するにはどうすればいいのかという事をひたすら考えて、考え抜いて作っていくということです。自分の力で何かを創造できるという事ですね。

そして人生そのものを切り開くことができた、ということもあります。

一方技術面や働く環境で困ったことは、ここまで徒手空拳で働いて技術を身に着けてきたので、今一つ体系的でないことです。

サーバ回りの設定もある程度できるもののシステム開発に付随して行っているという具合なので、ベストな形でチューニングされていないと感じます。JavaScriptなども触れていますが、表示の制御などはできるものの洗練されていないといった問題もあります。

フリーランスになって良かったこと

フリーランスになって仕事のストレスが減ったようですね。

事務局

みのしま@コウシコ堂さん

はい。フリーランスになる前の会社員時代は、自分の力ではどうすることもできない会社レベルでの問題の前に自身の無力感を感じることが多々ありました。

仕事のストレスが軽減

まず、仕事でのストレスをあまり感じなくなりました。おそらくこれは、自分以外の問題でどうしようもなくなる事態が少なくなったからだと思います。

フリーランスになる前の会社員時代は、自分の力ではどうすることもできない会社レベルでの問題の前に自身の無力感を感じることが多々ありました。

一方フリーランスになってからは、そのような問題はだいぶ少なくなりました。(あげるなら新型コロナ問題ですが、それでもうまく立ち回り生活を維持し、より良い働き方ができるようになりました)

働き方や人との接し方に変化も

働き方という点では、リモートワークが普及したこともありますが、仕事と生活の境目があいまいになってきたという感じです。昔読んだドラッカーの本に、「かつて、仕事といえば農業で、生活そのものだった。」とありましたがまさしくこんな感じですね。

また、内勤だった会社員時代と比べ、仕事でかかわる人に対しても対等に接していると感じるようになりました。
自由さという点では、時間的な自由は、あまり変わらないかなと思います。正味の労働時間は減りましたが、会計入力など事務的な仕事が増えました。これは受注する案件と事務をどこまでアウトソーシングするかにもよります。

フリーランスで困ったこと

フリーランスになるにあたって法人を立ち上げられたそうですね。

事務局

みのしま@コウシコ堂さん

法人持ちのフリーランスの場合、給料(役員報酬)は低く社宅は自分の会社持ちなどの工夫が使えます。税金対策にも関連しますが、日本の税制を考えると「給与は低く、福利厚生が充実しているほうが、会社としては都合がよい」となるため、私はその仕組みを活かすことにしました。

法人持ちのフリーランスならではの困ったこと

法人持ちのフリーランスになると収入面で厄介なことはいくつかあります。例えば派遣契約でないとアサインできない商流制限があった場合です。

私の場合自分の法人を持ち、そこから役員報酬を受け取っている関係で業務委託契約が望ましいです。もしもほかの会社の契約社員という立場を取り自分の会社の売り上げが発生しない場合、売り上げがない会社から自分に対して給与を支払うなどの変な事態が発生することもあります。(法人を持たない人の場合、そこまで深刻な問題になることは少ないと思いますが)

法人持ちのフリーランスの場合、給料(役員報酬)は低く社宅は自分の会社持ちなどの工夫が使えます。税金対策にも関連しますが、日本の税制を考えると「給与は低く、福利厚生が充実しているほうが、会社としては都合がよい」となるため、私はその仕組みを活かすことにしました。

なお税金や社会保険の負担額は額面概ね30%前後で、労使と折半となることに注意してください。仮に給料を月50万円支給する場合、社会保険料は総額15万円程度で、会社側の総負担額は約月57.5万円といった具合になります。

また役員報酬は税金制度の問題で事業年度の中で変更する事が難しいいう問題もあります。これはどういうことかというと、売上が急に増えたり減ったりした時に給料を調節することが難しいんです。もちろん、控除される厚生年金保険料額が多い場合、後々支給される年金額にも反映されます。

一方個人事業主の場合、こうした調整が不要になる反面課税所得は高くなりがちかなと思います。営業面の問題では、現状では案件の受注にエージェントを介していることが多いです。その分マージンが発生するため収入は減少します。一方売上の回収などの手間が比較的少ないため、その意味ではマージンが発生してもエージェントを介した方が良いかなと考えています。

営業も自分ですることに

自分で仕事を受注する場合、人づてやクラウドワークスなどを利用しています。コロナ禍の中直接会って話をして仕事を取ってくるということが難しいという状況なのでその意味では大変です。

リモートワーク化したことによって、客先常駐に比べて客先での営業はやりにくくなったという問題はあるかなと思います 。また私自身の性格もあるかもしれませんが、ゴリゴリと攻めるような営業をやろうとするとしり込みしてしまします。

とは言えフリーランスとして稼ぐためには 営業力は欠かせません

事務仕事に時間をとられる

事務仕事としては経費などの仕分けが1番大きいです。おそらくマネーフォワードなどの会計ソフトがなければ 私にはできなかったでしょう。

帳簿付けを自分で行う場合、レシートや領収書を撮影してひたすらアップロードしたり、オンラインの領収書を同様に読み込ませるとかの作業が発生します。これのコツは発生したらできるだけ早く、入力したり処理することが大切かなと思いますね。まとまればまとまるほど作業に対する負担が大きくなったり、肝心のエビデンスを紛失したりする危険があります。

ここでそれらの入力を税理士に任せた場合との比較を考えてみると、内製化した場合オンラインソフトの契約料金が月3,000円程度+入力作業が1~2時間程度でした。一方税理士に任せた場合、仕分け作業で5,000~10,000円程度発生するかなと思います。このあたりは「自分の時給がいくらか?」を考えると良いかもしれません。

フリーランスになって収入がどれくらい上がったか

フリーランスになって収入は上がりましたか?

事務局

みのしま@コウシコ堂さん

フリーランス1年目で 、年収400万円から年商750万円になりました。

会社員からフリーランス1年目で 、年収400万円から年商750万円になりました。先ほど書いた社会保険などの面を考えても大きく伸びたと思います。

2年生の今は、法人としての売上は800から900万円くらいになると思います。時間契約型の案件のほかに、クライアントから直接受注するものが増えたためです。

大学以外でプログラミングを学んだ場合、学習をどうやってし、1日とれくらい学習時間していたか

プログラミングはどのように勉強されましたか?

事務局

みのしま@コウシコ堂さん

ほぼ独学です。勉強時間は1日2時間くらいだったと思います。

大学は情報系の分野だったので、理論面はそこで勉強しました。それ以外の特にWebサイトを作るようなプログラミングなどは、ほぼほぼ独学です。CDが付いたプログラムの本をよんでサンプロコードをいじくりながら体で覚えたといった感じです。もう10年以上前の話ですが。

学習時間としては、1日2時間くらいだったと思います。仕事の後とか学生時代とかに、パソコンで apache動かしてPHPやMySQLでWebサイトを作ったりしていました。

独学で学ぶ場合、個人的には課題の設定と行き詰ったときに相談しにくいことが問題だと思います。あとはOJTというか仕事を通してソースコード読んだり、いろんな説明書を見たりして見よう見まねで勉強してきたという感じです。

プログラミングスクールも利用されたんですか?

事務局

みのしま@コウシコ堂さん

短期間ですが参加しました

プログラミングスクールにも参加しました。あれで一気にMVCモデルの内容理解できました。私の場合、個々のプログラミングを行うスキルと、昔に打ち負かされたことがトラウマだったのでそれを取り除くことができました。

お金もそれなりにかかりましたが、短い時間でこれまでやりたかったことを強制的に体験できたことは非常に価値があったと思います。スクールなどの使いどころはノウハウを自らに刷り込むことだと思いますが、選び方の工夫としては「若い時の(駆け出しなど)の苦労は買ってでもしろ」だと思います。

私の場合学生時代からのITパスポートや基本情報処理技術者の試験に出てくるような基礎知識をのんびりと数年がかりで身に着けたという面がありますが、現在ほかに何か仕事をしている方でエンジニアになりたい方の場合そこに費やすことができる時間はかなり限られていると思います。

その場合内容としてはハードですが短時間で多くのスキルを身に着けられる方法を選択するのがベストだと思います。

プログラミングスクールは必要ない?独学での勉強の進め方

フリーランスで稼ぐためには何が必要だと思うか

フリーランスで稼ぐにはお客さんに対していかに価値を提供できるかだとおっしゃっていましたね。

事務局

みのしま@コウシコ堂さん

はい。さらに技術力を身に着けるためのインセンティブは、会社員よりも断然高いかなと思います。

稼ぐためには何が必要かと言いますと、いかにお客さんに対して価値を提供できるかというところですね。そのために課題そのものを解決するための技術力も必要ですが、課題を発見し解決する力も必要だと思います。技術力営業力どちらも必要です。

技術力が高ければ難しい案件を解決する、素早く仕事を片づけることによって稼ぐことができると思います。フリーランスだと技術力を身に着けるためのインセンティブは、会社員よりも断然高いかなと思います。

営業力があれば良い案件や好きな仕事を受注することができます。ソフトウェアやサービスを作って販売する場合も、より多くの売上を出すことができるでしょう。

営業テクニック寄りですが、価値の歪みを利用することも重要です。山の上では飲み物が高い。運ぶのも大変だが、高くても買う人がいる。こうした部分を活用することも大切だと思います。価値の歪という意味では変なことを言っているお客さんが来たらチャンスかもしれない、と考えています。

フリーランスでこれから稼ごうとする人へのアドバイス

これからフリーランスになろうと考えているエンジニアの方にアドバイスをいただけますか?

事務局

みのしま@コウシコ堂さん

スクールなど、何らかのコミュニティに参加することも重要だと思います。また信用を得て、実績を積み重ねることも大切です。

スクールなど、何らかのコミュニティに参加することも重要だと思います。理由はいくつかあります。

・土台となるスキルを素早く身に着けることができる

特にスクールに入る場合実務が可能になるまでの体系化した、つまりある程度洗練されたスキルを身に着けることができます。

 

・孤独の解消

フリーランスの場合所属する会社がない分自由ではある反面、孤独な存在でもあります。こうした孤独さは時として心理的なストレス源になります。これを解消するためにも、スクールなどに「所属」することは重要です。

 

・案件の受発注の機会を増やす

接する人情報が増えるため仕事を受注する=売上を増やす機会も増えます。発注する側にとっては相手が信用できるか、つまり確実に業務を遂行してくれるかは大事なことです。

 

一方で受注先を確保する機会も増やすことができます。特にデザイナーとエンジニア、エンジニアでもネイティブアプリとWebアプリの場合など、あなたに仕事の話を持ち掛けてくるフリーランスの方は時としてあなたの発注先になるケースもあります。

フリーランスで稼ぐための心構え

最後にフリーランスで稼ぐための心構えについてもお伺いしました。

信用を得て、実績を積み重ねる

一つ一つの案件の成果物を確実に仕上げて納品することです。信用を得ることで、仕事が終わったときに次回もあなたに発注しますといった形で、直接指名を受けたりすることもあります。

そしてそれは実績として積み重なり、仕事を取りやすくなります。そうなると正味の仕事により集中することができて、売り上げが伸びるといったメリットもあります。

作業をいかに効率よく進められるか?

仕事をいかに効率的に進められるかということも大事かなと思います。

ルーチンワークは型を作って手早く

事務処理についてですが先にあげた仕分け入力が典型例です。口座振替などの処理はAPI連携をセットしたり、仕訳辞書を作ったりすることで処理に費やす時間を大幅に短縮できます。

クライアントは何にこだわっているか?を考える

特に商談が始まる前などの「クライアント自身が、何を作りたいかがまだ定まりきってない」状態で発生します。お客さんがこだわるところに注力し、それ以外の部分はパターンに当てはめるといった工夫も必要と思います。

まとめ

フリーランスのエンジニアに転身して2年。エージェントを介して受注した仕事で着実に成果を積み上げていっているみのしま@コウシコ堂さんですが、年収が早くも会社員だったころと比べて2倍ほどに上がっているようですね。

個人事業主ではなく法人を設立したり、税制のこともきちんと考えて仕事をされています。税制やフリーランスになることで発生する営業や事務作業については会社員だとなかなかイメージしにくいので、参考になったという方も多いのではないでしょうか。

フリーランスになって困ったことも確かにあるようですが、会社員だったころのストレスからは解放されているようですね。

BLOGコンテンツをパーソナライズします

あなたは現在「プログラミング学習者」ですか?