今回はより人生を過ごしやすくする「思考方法」についてのお話です。問題解決までの道のりを短縮させる考え方、その名もクリティカルシンキング。
ではクリティカルシンキングとは一体何なのか?
クリティカルシンキングはどのように身につけるのか?
この記事では、クリティカルシンキングを身につけるための例題も踏まえながら、クリティカルシンキングについて解説をしていきます。
目次
クリティカルシンキングを理解しよう
まずはクリティカルシンキングが何なのか、どんな思考法のことを指すのか、しっかりと基本を理解しておきましょう。
クリティカルシンキングの基本
クリティカルシンキング(批判的思考)とは、様々な問題について詳細まで分析を繰り返し、最適解にたどり着くための思考法。
この分析は、思いついた意見に対してひたすら「本当にそうなのか?」と批判を重ねていきます。要は仮説を立て、その仮説を磨き上げていくのがクリティカルシンキングなのです。
ロジカルシンキングとの違い
クリティカルシンキングに似た言葉に「ロジカルシンキング」と呼ばれる考え方があります。混同しがちですがこの2つ思考法は全く違います。
ロジカルシンキング(論理的思考)は、ある問題について考えるときに意見ごとのまとまりを意識しながら順を追って結論を導き出す思考法。
問題に対して重複がない解決策を上げていき、多角的な視点から上げた解決策によって最適解を求めます。ロジカルシンキングの要は「筋道を立てながら矛盾のない推測を上げていく」点です。
少し分かりづらいので図を見て確認してみましょう。
こうして図にしてみると2つとも結論を導き出すための思考法ですが、導き出し方に多くの違いがあることが分かります。
ロジカルシンキングは一度立てた仮説を疑うことなく、さらに「Why?」を突き詰めていきますが、クリティカルシンキングは一度立てた仮説に対して疑いをかけています。
【例題】クリティカルシンキングを実践する
ではここからは実際にクリティカルシンキングを例題を解きながら実践していきましょう。このような思考法はとにかく実践あるのみ!最初は上手くできなかったとしても、回数をこなすうちに次第にできるようになります。
【例題】
利用者が少なく存続の危機が迫っている図書館があります。この図書館はなぜ利用者が少ないのでしょうか?図書館は人口が多い市にあることが前提です。
まずは3つの仮説を立てました。ここから仮説に対する否定的意見を考え、より結論を精査していきます。
自分の意見に批判を述べていくため少し難しく感じるかもしれませんが、「本当にそうか?」と問いかけることで批判的意見が浮かんでくるはず。
クリティカルシンキングを上手く行うためのコツは、自分の中に数人の登場人物を作ってそれぞれで討論させることです。Aが仮説を立て、それに対してBが反論。「本当にそうか?」と問いかけを続けていくようにしましょう。
【問題1】
A社の営業部では常にオフィスが散らかっており、部長が清掃を呼び掛けても社員には全くその意識が身につきません。整理整頓の意識が営業部の社員にないのはなぜでしょうか?
仮説2:物の収納スペースが少なく、整理整頓しようとしてもできない状態にある。
・そこまで時間がないのであれば営業効率や仕事の方法など、業務そのものを見直すべきではないか
・スペースがないのは本当か?私物を持ち込んでいたり、共有できるものを個人持ちにしていたり、無駄はないか
以上が回答の一例です。課題に対する答えは一つとは限りませんので、もちろん例とは異なる回答が出ても結構です。大切なのは、たてた仮説が本当に正しいのか「疑い」を繰り返すことです。
【問題2】
夫婦共働きの家庭の主婦Aさんは2人の子供と夫が、家事に非協力的な状況に悩みを抱えています。子供は2人とも小学校高学年で夫は30代後半。Aさんと夫の出勤時間と帰宅時間はほぼ一緒ですが、家事をこなすのはAさんだけです。家族に家事の当事者意識がないのはなぜでしょうか?また状況を変えるためにAさんはどうすれば良いのでしょうか?
仮説2:家事のおかげで生活できていることが分かっていないため、Aさんは自分に関すること以外の家事をしない
・家事をいきなりやめるのではなく、事前に申告して止めるべきではないのか?
・以前にも家事に対する問題を家族間で話し合ったことはあるのか?
とても難しい問題ですよね。先述した通り回答は一例です。状況を変えるために仮説と共に「案」を出しましたが、クリティカルシンキングではこの仮説と案に対してひたすら問いかけを続けます。
少しずつクリティカルシンキングの概要が理解できてきたでしょうか?こうして問いかけを続けることで、考えも洗練され、より優れた回答が導き出せるのです。
クリティカルシンキングのメリット
ここまでクリティカルシンキングの考え方と、その実践方法について学んできましたが、クリティカルシンキングを行うことで何が得られるのでしょうか?ここではクリティカルシンキングによるメリットをご紹介します。
様々な視点から考えられるようになる
実践した段階で気付いた方もいると思いますが、「疑問を持つ」ことでより多くの人の目線から課題をとらえられるようになります。
よって一つの意見に偏らず、より受け入れてもらいやすい納得のいく結論を導き出せるのです。
課題の本質を見抜ける
仮説に対してひたすら疑問を持ち続けると、課題の本質を見抜けます。普通は結論が出ればそこで終わりですが、クリティカルシンキングはいきなり結論を出さずに仮説を通して結論を導き出します。
また疑いを持つ中で「課題の発生原因はこれだ」といきなり本質を見抜けることも。課題に対して考えを深めるのがポイントです。
課題に対して優れた対策がとれる
クリティカルシンキングの最大のメリットは「優れた結論」を導き出せる点です。何回も考え直すため、最善策と言える結論を導き出し課題を確実に解決する対策がとれるのです。
まとめ
今回はクリティカルシンキングについてご紹介しました。例題付きで解説しましたが、クリティカルシンキングに対する理解は深まったでしょうか?
このような思考法を学び、自然と行えるように身につけておくことで、課題に直面した場合でも臆することなく解決できます。最後にクリティカルシンキングの実行法について再確認しておきましょう。
・考えた仮説が正しいか多角的に捉えなおす
・さらに考え直した仮説が正しいかをさらに検証を重ねる
このようにクリティカルシンキングは、とにかく考え直して思考を洗練させていくことが大切。仮説を立て、それが正しいかを考えるだけでもクリティカルシンキングは成り立ちます。まずはこの2ステップから始めてみましょう!