ITは私達の日常にも深く入り込んでおり、現在は、IT関連の人材は引く手あまたです。
プログラマやSE(システムエンジニア)はIT関連の代表的な職種です。IT関連の業務は仕事や環境がきついとも言われ、その将来性を悲観する声も聞かれます。今後その需要や待遇はどうなっていくのでしょうか?
ここでは、SE(システムエンジニア)の将来性をIT業界の動向とともに説明します。
SEとしてのキャリアパスを考えるための参考に、ぜひ読んでみてください。
目次
IT業界の現状と動向
IT人材は今後も不足
ITは私達の日常にも深く入り込んでおり、IT業界は現在も成長している分野です。
5Gといった新しい通信規格の普及は、スマホの利便性が高まるのみならず、これまでは収集できなかった種々のデータの収集の可能性を拡大し、DX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進など新たな需要が呼び起しています。
また、AIも機械学習の成果などが着実に生活や産業にも応用されて広まっています。
2019年に経済産業省が公表したIT人材に関する調査「「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」」では、2030年度には約16万人から45万人、最大では79万人ものITエンジニアが不足すると予測しています。
この予測では、IT業界の効率性などについては現状をベースに予測していますので、そのまま当てはまるわけではないのですが、需要に追いつかないという傾向はこのまま継続する可能性が高いと考えられます。
ITの進展でIT業務はどう変わる
2015年12月に国内シンクタンクが英オックスフォード大学との共同研究の結果として、10~20年後には、日本国内では、従来の仕事の約半数はAI(人工知能)やロボットに取って代わられてしまうというショッキングなレポートを公表しました。
IT分野においても、定型的なコーディングやデバッグなどのおもにプログラマーの行なう業務は AIに代替されしまうと予測されています。
また、CMSツールの発展により、HTMLをあまりよく知らなくてもブログやホームページが作成できることにみられるように、専門的な知識がなくてもプログラムが作成可能なツールや開発環境が身近なものになりつつあり、その傾向はどんどん進むものと考えられます。
SEの現状
SEの業務
SEは設計が中心業務となります。
設計は企画段階の要求事項をソフトウェアで実現できるように変換することとも言えます。また、運用段階でユーザーの使いやすさや運用効率を勘案することも必要です。
したがって、SEには、設計以降に引き続くプログラミングやテスト、運用や保守に関する知見やスキルも重要です。
IT技術は急速に進歩していますが、企画・設計・開発・運用保守というシステムやソフトウェアの開発プロセスは基本的にはあまり変わっていません。
大規模システム開発ではウォーターフォール型開発、最近のWEB型システムではアジャイル型の開発と開発のスタイルは最新技術を取り入れて新たなものが出てきていますが、開発プロセスそのものを一新しているわけではありません。
SEはおもに設計・開発管理を担当しますが、この役割分担も開発スタイルが変わっても引き継がれていくでしょう。
SEの平均年収
2017年8月に経済産業省が公表したIT関連産業の給与等に関する実態調査結果によれば、IT関連の職の平均年収は以下のとおりです。
職種 | 平均給与 |
コンサルタント | 928.5万円 |
プロジェクトマネージャー | 891.5万円 |
IT技術スペシャリスト | 758.2万円 |
SE・プログラマー(組込みソフトウェアの開発・実装) | 603.9万円 |
SE・プログラマー(顧客向けシステムの開発・実装) | 593.7万円 |
SE・プログラマー(ソフトウェア製品の開発・実装) | 568.5万円 |
また、大手の人材・広告企業の調査によれば、
職種 | 平均年収 |
プロジェクトマネージャー(オープン・WEB) | 670万円 |
プリセールス | 599万円 |
社内システム企画 | 512万円 |
サーバーエンジニア | 462万円 |
システムエンジニア(制御・組み込み) | 455万円 |
出所 マイナビエージェント職種別平均年収ランキング【2020年版】
SEの将来性
SEのキャリアパス
SEはシステム開発の現場で開発に携わるわけですから、それなりの体力と気力も必要となります。
一般企業でも、一般の従業員→管理職→経営サイドの役員等といったキャリアパスを想定してステップアップを目指している方が多いでしょう。では、SE(システムエンジニア)の場合はどのようなキャリアパスが選択肢として考えられるのでしょうか。
①システムエンジニアとしてポジションを上げていく
システムエンジニアとして所属する部署のリーダ、さらに管理職や経営サイドのポストを狙うということになります。
このためには、エンジニアとしてのスキルはもちろん、企業経営に関するスキルやコミュニケーション能力も要求されます。
②システムエンジニアの経験を生かして他の職種に就く
IT関連の職種では、コンサルタントやプロジェクトマネージャはSEより年収などの待遇が良い場合が多いです。
SEとしてのスキルや知見、経験やノウハウを生かして、コンサルタントやプロジェクトマネージャあるいは、その他のエンジニアに転職するというケースもあります。
③フリーランスや起業する
IT関連企業に勤めている場合は、仕事の中で培ったスキルやコネクションを手掛かりに、フリーランスや起業するいう選択肢もあります。
もちろん、この場合は、仕事をこなすのみならず、営業や経営といったことも自分の責任で行なうことになりますので、それ相応の準備と決断が必要となります。
これからのSEに必要なスキル
①プログラミングスキル
急速に進展するIT技術に合わせて、プログラミング言語や開発環境もどんどん新たなものが現れてきます。そうした中で、SEは最終成果物であるプログラム(ソースコード)を自ら生み出す能力を有することが必要です。大規模システムではウォーターフォール型の開発も残るでしょうが、WEB型のシステムではアジャイル手法などスパイラルに機能や品質を高めることが求められ、SEには設計書を作るのみならず、必要に応じで自らプログラミングすることも必要になると想定されるからです。
②コンサルティングスキル
ITの進展に伴い、ユーザーはシステムに多くを求めます。ユーザー側の予算や運用スキルを勘案して本当にユーザーにマッチしたシステム要求の姿を提案し、ユーザーに納得してもらうことがますます重要になります。
これがまさに、コンサルティングスキルが必要とされるゆえんです。
なお、SEは設計を通じてユーザーの要求を具体的なシステムやソフトウェアに変換します。
③プロジェクトマネジメントスキル
システム構築運用には多くのリソースとステークホルダーが関係します。これらをうまくまとめてシステムをカットオーバーし円滑に運用に導くには開発プロジェクトをうまく運営するプロジェクトマネジメントに関するスキルが求められます。
これは、所与のプロジェクト環境のもとで、ユーザーやプログラマ、運用員など、自分以外の人にいかにうまく動いてもらうかということで、自分でコントロール可能なITスキルとは異なるスキルが要求されます。
④経営スキル
従来は、社内SEやSIerやソフトウェアハウスなどのIT関連企業に所属してSE業務を行なうことが主流でした。自分で作って販売したい、自分のスキルを商品化したい場合には起業することも視野に入ってきます。
こうした可能性があるなら、会計知識や会社運営などに関する経営ノウハウを身につけることも必要となります。
まとめ
いかがでしたか? 今回は、SEという職業の将来性について説明しました。ITはいまや身の回りのあらゆるところにに浸透しており、その傾向はますます顕著になってきます。それにともない、SEの重要性も高まってくるでしょう。
ただし、SEに期待されることもIT技術の進展に合わせて変化していきます。そうした変化を取り込んだキャリアパスの設定と自分自身のたゆまない成長が必要になりますね。
この記事が、IT業界を目指す方やSEからの転職をお考えの方のお役に立てば幸いです。